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【JBJJF】中井祐樹会長に聞く、2019年の活動。「一つひとつの大会をしっかりと開催していく」

Yuki Nakai with Quintet【写真】Quintetを始め、他団体との協力関係のゴールはWINWINで格闘技を盛んにし、ブラジリアン柔術を普及させることだ (C)MMAPLANET

2018年は全日本格、国際トーナメント、地方大会と並びパンクラス、QUINTET、RIZINなど他団体と積極的に交わることが多かった全日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)。

2019年は、どのような仕掛けが用意されているのだろうか。JBJJFの中井祐樹会長にこれからの展望を訊くと、一切浮つくことのない地に足がついた答えが返ってきた。そして──その言葉の裏にあったのは、ブラジリアン柔術のたしかな可能性と揺るがない自信だった。
Text by Takao Matsui


――少しタイミングが遅くなりましたが、昨年末は那須川天心選手とメイウェザー選手の試合を会場で観戦されたと思います。率直な感想をお願いできますか。

「終わってみれば、そうなるよなという結果だったと思います。試合が終わってからの意見はすべて結果論からの後付けになりますので、本意ではない部分もありますが、戦前はもしかしたらという大きな期待が皆さんにあったと思います。で、終わったら、そうだよなとなった試合でしたね。あれだけの体重差があり、天心選手にとって不利なルールでしたから」

――戦前から不利だと思っていたわけですね。

「期待はありましたが、冷静に分析すれば当然ですよね。ただ彼は格闘技界の宝なので、大切にしてほしいなと思います。選手生命の方が、僕は心配でした」

――いきなり関係ない話ですみません。体格差を超えた試合をしてきた中井会長は、どう見られたのか見解をお聞きしたかったので。

「いえいえ、僕は何でも応えられますから問題ありませんよ。でも彼とは面識がないので離れた立場からの意見になりますし、あれだけの強打をもらっても大丈夫ということは体の強い選手なんだなと思いました」

――JBJJFは、RIZINと絡んで大会を開いていますのでまったく無関係ではないですね。

「そうですね。JBJJFとしてはRIZINもそうですし、パンクラスにしてもそうなんですけど、それぞれの冠がついた柔術の大会で出場選手が変わってくることを感じています。それは、たまたま時期によってそうなっているのかもしれませんが、QUINTETへの協力も含めて市場を刺激しているのではないかとも思っています。いくら器が変わっても基本の柔術ルールは変わりませんので、僕らなりに底辺を支える役割を果たしているという自負もあります」

――たしかに、柔術ルールそのものの形が変わることはありませんね。

「それこそが、私たちの強みですね。今年のJBJJFは、どんなことをしていくのかと訊かれれば、面白くない答えになるかもしれませんが、一つひとつの大会をしっかりと開催していくことです。継続するということです。競技人口が何人になったら達成するというゴールはありませんので、大会を開催して、間口を広くして入りやすくしつつ、みなさんの帯を上げていく努力を続けることを未来永劫続けて行く、それこそがJBJJF、そして私の使命です」

――中井会長は、かねてよりオープンなスタンスで柔術の草野球化を推進しています。最近では、柔術を広めるために書かれた『新バイタル柔術』(日貿出版社)が重版になっているようですね。

「15年前に書いた『バイタル柔術』は、柔術を広めていくための要素が強かったんですが、全国に道場が拡散しつつある今、現代版として新しく世に出しました。技術書ではありますが、初心者から上級者まで突き刺さる仕掛けがしてあります。

例えば柔術を習っている人の中で、グレイシーを知らない世代も増えてきました。そうした人たちに向けてのメッセージも入っています。私は、柔術の愛好家だけではなく、何も知らない初心者も楽しめるのが柔術だと思っています。そのくらい魅力のある競技が、ブラジリアン柔術なんです。すべての人たちに向けてつくったのが、今回の『新バイタル柔術』です。JBJJFの事務局員から見たら、『これはちょっと(汗)』という過激な内容もあったようですけど(笑)」

――それは興味深いですね。書籍の宣伝のインタビューになってしまいますが(苦笑)。

「世界のトップ選手が、反則ギリギリのことをやっていますよとか。それが現実ですよとか。ストレートに表現すると角が立ちそうなことも書いています。でも、IBJJFルールのみが最高とは思っていません。あくまでも柔術ルールが根っこの部分にあって、ノーギ、グラップリングといった展開もある。もしくは、柔術の技術を活かした柔道だってある。

柔術を利用し、様々な競技を高めて行ける可能性はたくさんあります。アート、スポーツ、教育、政府との絡みも含めて、無限の可能性があるのが柔術だと私は思っています」

――実際に中井会長は、柔道の全日本女子代表に柔術の技術を指導して、大きな話題になっています。

「今回で3年目、3回目になりましたが、柔術の技術は今の柔道に必要なものだと思います。寝技の時間も長く見るようになりましたし、何より海外では柔術家にテクニックを学ぶ柔道家が増えています。東京五輪で勝つためにも、ぜひお力になりたいですね」

――女子の柔道選手の寝技におけるポテンシャルは、どう感じていますか。

「トップアスリートが集まっていますので、もちろん高いですよ。一般の方でもある程度はマスターできるわけですから、彼女たちができないはずはありません。ただ、本人たちしか分からない寝技の壁があるのも事実です。その壁を破るために考えて取り組むことで、成果は必ず出ると思います」

――東京五輪での女子柔道選手の寝技に注目ですね。

「結果が出れば、私も嬉しいですね。柔術がお役に立てるのであれば、どんどん利用していただいて構いません。柔道でも、MMAでも、他のスポーツでも。柔術をより深く広く。たかだか20数年で日本の柔術はここまで来たんですから、あと50年、100年もすれば、ブラジリアン柔術は文化としてしっかりと定着していると信じています」

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