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【JBJJF】四国柔術選手権──出場予定も1人エントリーとなった吉岡優幸の柔術道─01─

W Yoshioka【写真】師・吉岡崇人とダブル吉岡で 。山本博斗や吉永力らと切磋琢磨し橋本知之、芝本幸司、澤田伸大らの戦いに加わる日に期待(C)MASAYUKI YOSHIOKA

7日(日)、徳島県の徳島県立中央武道館でJBJJF主催「第10回四国柔術選手権」が開催される。

同大会のアダルト茶帯ライトフェザー級にエントリーしている徳島柔術所属の吉岡優幸は、2017年のJBJJF茶帯ランキングで1位に輝き、今年の世界選手権3位、全日本選手権では優勝を果たした。

そんな旬な男に大会への意気込みを訊く予定だったが、あいにくの1人トーナメントとなったため、彼の柔術道について話してもらった。
Text by Tsubasa Ito


――今年は初めてムンジアルに出場しました。そこに至るまでの経緯を教えてください。

「去年のムンジアルに僕と同じ茶帯ルースターの日本人選手がたくさん出ていたんです。それまでも出てみたいなとはぼんやり思っていたんですけど、僕の中では夢のような世界だったんですよね。その時は日本人選手がみんな一回戦負けとか二回戦負けとかで、何というか、ホッとするような気持ちがあって……。

自分が行けなくてひがんでいたんですよね。やっぱり出場しているのはライバルたちなので。でもそんな自分が嫌になって、だったら自分が出てみようと。世界との距離を確かめるために日本のあちこち、やりたいなと思う選手のところに出稽古に行かせてもらいました。それで年末の忘年会の時、道場の人たちに『ムンジアルを目指します』と宣言したんです」

――出稽古はどちらに行かれたのですか。

「軽量級は軽量級ならではの動きや展開があるので、軽い階級の選手がいる道場が中心です。あの人はこっち向きのパスがうまそうだな、とか思ったらその人のところに行って。

今年の全日本選手権の決勝でも戦った、奈良にあるNR柔術の松本一郎選手のところにも行かせてもらいました。僕は松本選手をパスガードしたことがなかったので、松本選手をパスできれば世界と戦う上でひとつの武器になるかなと思いました。今でも仲良くさせてもらっています」

――普段はどのような練習をされているのですか。

「道場でもガッツリやっているんですけど、働いている整骨院の1時間の昼休みを利用して、吉岡崇人先生とマンツーマンでスパーをやっています。整骨院のベッドをどかしてマットを敷いて」

――お仕事は柔道整復師をされているそうですね。

「はい。徳島県の阿南市で『あなん整骨院』を経営しています。僕は出身が岡山県なので、岡山で何年か柔道整復師の修行をさせてもらって、そこから妻の実家がある徳島で開業しました。昼練を始めたのは2、3年前からですね。吉岡先生がこっちに来てくれるんですよ」

――優幸選手の強化のためにやっている部分もあるでしょうが、吉岡先生としては自分のための練習でもあるのでしょうね。

「その通りです。先生も自分のことしか考えていない人なので(笑)。お互いを利用し合っている感じですね。その1時間は会話もなく、ただひたすらタイマーの音と水を『ドン』と置く音だけが流れる独特の雰囲気なので、誰かが見たらドン引きするんじゃないですかね(笑)。

練習が終わったら汗がビショビショのままスラックスに履き替えて白衣を着て、ハアハア言いながら問診を再開するんですよ。自分でも頭がおかしいなと思いますけどね(笑)」

――患者さんは先生に何があったのだろうと思いますよね(笑)。

「それが昼練で、多い時は週5回やります。仕事をしている割にはけっこう練習しているほうじゃないですかね。吉岡先生はアメリカとか中国に行かれたりしているので、その期間は昼練が休みになるんですけど。夜は20時半から22時過ぎくらいまで、道場のクラスに参加しています」

――ムンジアルに出場する際は、仕事を休まなければいけません。

「そこだけが問題だったんです。それまで病気になっても一日も仕事を休んだことはなかったですし、患者さんに柔術をしていることも話していなかったんですよ。でも、自分がしていることは恥ずかしいことでも何でもないし、覚悟を決めていくわけなので、『世界選手権出場のためお休みさせていただきます』と貼り紙を作って、院内で告知しました。

口実としては、全日本選手権優勝や年間ランキングで1位になったこととかをうまく利用させていただいた形です。日本代表というわけではないですけど、そういう気持ちで臨もうと思いますと説明させていただきました。

正直、患者さんから『こっちは体が痛いのに、4~5日も我慢しなきゃいけないのか』とか言われるかなと思っていたんです。でも実際は『すごいことですね』『がんばってきてください』と快く送り出してくれました。

そこからコミュニケーションも取りやすくなりましたね。仕事をしていても微妙な空気になる時があるんですけど、患者さんから柔術の話を聞かれて会話が弾んだりするようにもなったんです」

――ムンジアルは24人参加のトーナメントで3位でした。誇れる成績だと思います。

「普段の大会で金メダルを獲ったら吉岡先生は『よし、次行こう』と言うんですけど、金じゃなかったら決まって『ゴミ箱に捨てて帰ってください』と言うんですよ。もちろん、冗談の部分もあると思うんですけど。要するに、絶対に金メダルを獲れる練習を毎日していこうという強い意志ですよね。

でもムンジアルで3位になった時は、吉岡先生から『よくがんばりました』と言われました。練習でもいろいろあったので……。心が折れて泣いたこともありました」

<この項、続く

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