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【ONE79】青木真也と対戦するエブ・ティン─01─「NZの戦闘意欲とアジアのパッションの融合」

Ev Ting【写真】なぜ、エブ・ティンがこれまで結果を残せてきたのか──彼の話を聞いていると理解できるようになった気がする(C)MMAPLAET

6日(土・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE79「Kingdom of Heroes」で、青木真也と対戦するエブ・ティンはNZ在住の中国系マレーシア人ファイターだ。

ダン・フッカー、イスラエル・アデサニャらUFCでも注目されるファイターを生んだニュージーランドから、エブはONEを舞台にフェザー級とライト級で常に厳しい試合を勝ち残ってきた。アジアの血を持ち、マオリ文化のニュージーランドで育つことでMMAファイターたるファイティングスピリットを持ちえた。青木戦を前にエブのMMA歴と未知のニュージーランドMMA事情を尋ねた。


──MMAPLANETでは2012年頃から活躍をフォローさせてもらってきたのですが、実は名前の発音があまり明確ではありませんでした。どのように発音すれば良いのか、教えてもらえないでしょうか。

「全てを教えるよ(笑)。僕の中国名はティン・チャンスィンというんだ。チャンスィンの意味を英語にするとエバーニュー(ever new)、いつだって新しいってことになる。で、僕の友人はエバーニューの最初の2文字をとってEV──エブって呼ぶようになった。だから僕の名前の発音方法はエブ・ティンだね」

──了解しました。我々も今後はエブ・ティンという発音に従った明記にするようにします。そのエブは土曜日に青木選手と対戦します。今の調子は?

「シンヤ・アオキという本当のレジェンドと戦うことができて、凄く光栄だと最初に言っておきたい。そして肉体的にはしっかりとキャンプを張り、ピークにある。こんなに体調が良かったことは過去にない。気持ち的にいつも通りハングリーだし、何かも最高の状態だよ」

──マレーシア系ニュージーランド人ということで、生まれたのもニュージーランドなのでしょうか

「マレーシアで生まれ、6歳の時にニュージーランドに移り住んだんだ。レジェンドFCで戦っているときは、ずっとニュージーランドをベースにしていたけど、レジェンドが活動停止し多くのトップファイター達と同様にONEで戦うようになった。

それからマレーシアのクリンチMMAで2年半ほど指導をして、アギラン・タニやキアヌ・スッパが育ってくれたこともあり、ONEとも緊密になれて今があるって感じかな。今でも生活拠点はニュージーランドだけど、トレーニングはマレーシア、バリ、サイゴン、ニュージーランドでキャンプを張れるようになっているんだ」

──なんともワールドワイドというか、エイジア・ワイドですね(笑)。

「マレーシアはクリンチMMAで。バリは元々ニュージーランドでのコーチがオークランドからバリに移って、バリMMAで指導をしているんだ。バリではレオーネ兄弟なんかと一緒に柔術やカレッジレスリングのトレーニングができて、凄く良い環境が整っている。NCAA D-1レスラーの指導を受けることができるからね。バリMMAはニュージーランドと同様に自分の本拠地のようなものかな。

それとベトナムのサイゴンではマレーシアのようにコーチをしていて、今の関係を築くことができた。設備は十分に整っているけど、サイゴンの場合はチームで行って練習しないと、まだベトナム人ファイターはそこまで力をつけていないという感じかな」

──ニュージーランドは英国連邦王国に俗しており、欧米文化の国の一つだと理解しているのですが、エブはアジア諸国で練習しているということですね。

「ニュージーランドはね、凄くゆっくりしている風光明媚な島国なんだけど、ファイティングスピリットが根付いているという一面もある。そこにアジアの情熱という側面を融合させ、とても素晴らしい環境に身を置くことできていると思う。皆が一つの目標に向かって、一体となって努力できるんだ」

──その状況を創る第一歩となったのはMMAファイターを目指した時だと思います、エブはなぜMMAの練習をするようになったのですか。

「高校を卒業し大学に進学してからは、MMAの練習と勉強を両立させていたような日々だった。きっかけはPRIDE FC(でエメリヤーエンコ・ヒョードルの試合を見たからなんだ。僕もできるかな……どうすれば、あんな風に戦えるようになるのかって思うようになった。PRIDEには凄く影響を受けたよ」

──なるほどぉ。MMAを始める以前に格闘技経験はあったのでしょうか。

「う~ん……、ストリートファイティングだね(微笑)」

──アハハハ。そうなるのですか。

「僕が子供の頃、ニュージーランドはまだアジア系の住人は少なかったんだ。今では凄く多くなったけどね。当時は少なかったから、どうしてもね」

──つまりは虐めにあっていたということですか。

「まぁ、そういうことかな。でも、ずっと同じ人間がしてくるってことではなくて、色々な人間がちょっかいを出してきた。それがあって立ち向かってけるよう気も強くなったと思っている。

ニュージーランドで育ち、色々な文化や習慣を学ぶことができて良かった。それにニュージーランドのオリジンであるマオリの人たちは、アジア人に通じるところが多くあったからね。大家族で、その絆が深いところは中国系と同じだし、加えて彼らは戦闘意欲が高い」

──そういうバックボーンがあり、MMAを戦う素養がエブには備わったのですね。

「それにね、MMAはニュージーランドで盛んだったんだ」

──えぇ、そうだったのですか。それは知りませんでした。

「社会的な影響を与えるビジネスってことではないけど、誰もがMMAを知っていた。ニュージーランドで最初のバーリトゥード……ミックスルール・イベントが開かれたのは1996年なんだよ」

──バーリトゥードという単語が出てくることで、その歴史がうかがえます。ただ日本では長い間、ニュージーランドとMMAが重なるというイメージがなかったです。

「ハカは知っている?」

──オールブラックスが試合前に、勇ましい姿で相手を威嚇するように舞うウォークライのことですね。

「そう英語ではウォークライ(WAR CRY)と呼ばれているけど、あれこそがマオリの人たちのスピリットの象徴だよ。トンガやサモア、フィジーに共通する伝統だ」

<この項、続く

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