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【DEEP85】大塚隆史を前蹴りでKO、ビクター・ヘンリー「キムラって何? ダブルリストロックだよ」

Victor Henry【写真】DEEPバンタム級タイトル戦線に名乗りを挙げたビクター・ヘンリー(C)MMAPLANET

26日(日)に文京区後楽園ホールで開催されたDeep85レポート。最後はメインイベントのバンタム級戦=ビクター・ヘンリー×大塚隆史戦と、試合後のヘンリー&ジョシュ・バーネットの師弟コンビの質疑応答の模様をお送りしたい。(※要約)


<バンタム/5分3R>
ビクター・ヘンリー(米国)
Def.3R1分36秒 by KO
大塚隆史(日本)

01序盤から子気味良い打撃を見せる両者、大塚がテイクダウンを狙うがヘンリーが切ってヒザを蹴り上げる。大塚はそのままケージにヘンリーを押し込んでダブルアンダーフックから、テイクダウンに成功する。

バックを譲って立ち上がったヘンリーが胸を合わせると、大塚が離れて打撃の間合いに。ヘンリーの右ハイをガードし、左フックを振るう大塚。ヘンリーはそこに右ストレートを合わせようとするなど、互角の序盤戦が続いた。

02右ハイをブロックし大塚のボディががら空きになり、ヘンリーがボディロックから小外掛けを仕掛ける。小手を決め、内股で抵抗する大塚。同体から立ち上がり再び試合は打撃戦へ。

左右の蹴りを上下に散らすヘンリーに対し、大塚は踏み込んでワンツーからローを蹴る。テイクダウン対策かヘンリーが右アッパーを狙い、体を起こした大塚に右ハイを放っていく。

03やがて接近戦からクリンチの攻防となり、大塚が大内刈りでテイクダウンに成功。ガードを取ったヘンリーにパウンドを落としたところで初回が終わった。

042R、左ミドルを蹴ったヘンリーが右ストレート、大塚は左フックの間隙をつかれる。前蹴りやボディストレートから、頭を狙うヘンリー。

顔面のガードを固めた大塚が一気にシングルレッグを仕掛け、ヘンリーのバックに回り込む。ヘンリーはキムラロックに取り、真後ろに倒すよう小外刈りを狙う。ここは大塚が踏み止まり、前傾姿勢になるとヘンリーはすかさずキムラクラッチを支点に後方回転。大塚は左腿を抱えてサイドを許さなかったが、ヘンリーが力を入れてアームロックを仕掛けると、太腿を取っていた腕が外れサイドから抑え込まれる。

頭を跨いでフィニッシュしようとしたヘンリーだったが、大塚は腹這いになり足を取ってリバーサルを決めた。と、思いきやヘンリーのロールから両者腹這いになって同時に立ち上がる。ここで右を当てたヘンリーが組んで、大塚の姿勢を崩させる。大塚は立ち上がらずガードを取り、足を捌かれて右のパンチを被弾。亀になった大塚のバックを制したヘンリーが背中を伸ばさせ、RNCへ。

06アゴの上からのフェイスロック状態になるも、大塚は起き上がろうとして、すぐに体を反転させて胸を合わせにいく。反応したヘンリーはバックに回らせずに、正面に立ってスタンドへ戻るや、首相撲を取った大塚のボディに細かいパンチを入れていく。

一旦離れた大塚も打ち合いに応じるが、顔面よりも腹を狙ったヘンリーは大塚はガードの下、ベルトラインの上に拳を打ちつける。大塚は首相撲から、顔面にパンチを返そうとしたが不発に終わり、この回を落とした。

08タッチグローブで始まった最終回。中間距離の打撃戦から一瞬の組みを経て、下がったヘンリーに大塚がワンツーを打っていく。右に回りこんで、ケージ中央に戻ったヘンリーは左ジャブ&右のコンビネーション。大塚も右ストレーに続き、左フックを狙い首相撲へ。

離れたヘンリーが左前蹴り、続いて右ストレートを狙う。大塚が左フックを伸ばしたところで、ヘンリーはクリンチ。自ら離れたヘンリーは顔面へのパンチから、ローを蹴る。

09頭をぶつけるような姿勢の接近戦から離れようとした大塚を追いかけて、ヘンリーが右フック、そして左ストレートを伸ばす。直後に右の前蹴りをボディに受けた大塚が、動きを止めて両ヒザをマットに着き、前のめりになる。詰めてパンチを落としたヘンリーが、熱戦に終止符を打ち勝利の雄叫びをあげた。

10■試合後のビクター・ヘンリーの質疑応答

──フィニッシュの前蹴りはどのような手応えがありましたか。

07「3Rになりオオツカはとても重いパンチを打ってきた。僕もそうだ。だから、とにかく殴り続けること──ペースが大切だった。

でも、スパーリングで胃を蹴るなんてことはしたことがなかったんだ。最後の一発は決めたかったけど、あれだけで勝てたのではなくて、そこまでの全てのボディショットがあの結末を導いてくれたんだよ。スクランブル、スタミナ、全ての要素があって最後の前蹴りが決まった。全てを間断なく攻撃することで、最後の瞬間が訪れ、彼の胃は耐えられなくなったのさ」

ジョシュ・バーネット 今夜はキャッチレスリングとムエタイを融合させて戦ったんだ。ダブルリストロック・スロー、ボディロック・プット・スウィープ、フェイスロック・チョークなんかを使って。でもオオツカはタフだった。オオツカをフィニッシュすることは本当に難しい。誰もサブミットできていない。だから、これまでやってきた全てを使った。ボディショットで彼のスタミナを切れさせてね。ビクターはしっかりと戦ったよ。

──キムラロックに入った時……。

05「キムラ? キムラって何? ダブルリストロックだよ(笑)」

──OK、そこはアームロックとしましょう(笑)。頭も跨いで、万全の態勢になったと思ったのですが、大塚選手はエスケープに成功しました。

「最初、僕もオオツカもケージに触れるような状態でいた。だから、あまりそこに集中するとケージを使ってバックに回れるかもしれないと思ったんだ。でも、彼がそこに意識が行き過ぎると僕がアームロックを取れる。ケージから離れた後は、ヒザを抜いてサイドからコントロールできるようにまず考えた。

ただヒザを抜くと、腰が浮いてしまってね。もっとオオツカのヒジをマットにつけ、肩を抑えるべきだった。重心が軽くなったから、大塚は動くことができたんだ。肩をつけていれば、頭を跨いで極めることができていたはずだよ。そうなればダブルリストロックが完成していたんだ(笑)」

──前王者に勝利し、ベルトを目指すことを宣言していました。

「そうだね。栄光を手にするときがきた。血反吐を吐いてきた、代償としてね。僕は日本のファンのために戦い続ける。日本人キラーなんて呼ばれて、アメリカ×日本のように思われているけど、そういう捉え方は好きじゃない。僕の多くのルーツは日本にある。ジョシュを通して、アントニオ猪木など日本の流れを積んだトレーニングをしてきた。

米国生まれだけど、日本人選手がただ勝利を狙った試合をするのを見て来た。僕はそんな風には戦わない。フィニッシュして勝ちたいんだ。それが良い試合になるし、UWFスプリットだよ」

バーネット 僕らは挑戦の機会を得ることになる。そしてチャンピオンになる。DEEPは素晴らしい団体で、ケージでもリングでも強い選手が揃っている。誰とでも、誰だろうがビクターと戦う意志を持っている選手と戦う。『カカッテコイ』。ガッツがあるなら、タイトルファイトをやろう。

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