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【Pancrase295】サパ戦へ、北岡悟―01―「次の試合は強くなくても良いから勝ちたい」

Satoru Kitaoka【写真】北岡の存在証明となるサパ戦まで2週間を切った(C)MMAPLANET

15日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase295で2016年10月以来、1年半ぶりに北岡悟がパンクラスに出場する。

ウクライナのタラス・サパと対戦する北岡の1日をameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。

MMAPLANETでは本来、同番組で収録したファイターの言葉から、試合にフォーカスした部分を切り取ってきたが、今回は北岡単独モノとしてはレオナルド・マフラ戦後以来となるので、RIZINでの3試合などこの間の北岡について話を訊いた。


――現時点でRIZINの3試合とは北岡選手にとって、どのようなモノだったと振り返ることができますか。

「一言では言えないですよね」」

――日本で一番大きなステージで戦うことには、北岡選手はこだわったと思われます。

「そうですね、ハイ。そうだったと思います」

――ダロン・クルックシャンク、矢地祐介戦を経てストラッサー起一戦を迎える時の心境を改めて教えてもらえますか。

「う~ん、何とかしたいと思っていました」

――矢地選手に敗れ、ストラッサー選手と75キロと戦う。RIZINでなくて、北岡悟という選手のキャリアを尊重してくれる場で一拍置くのもありではないかという気もしました。

「ファイトマネーが違いますからね。何をもって大事というかはそれぞれでしょうが、ファイトマネーの額が大きいのは大事にしてくれているといえば、大事にしてくれていることだと思うんで。

75キロっていうのも、彼がライト級で戦うまでに段階を踏むとかではないと思います。ライト級でやるなら、あの時点でライト級でしょうし。で、それを俺が受けたわけだから」

――受けざるを得なかった?

「受けなければ、年末に試合ができなかった。そういうことです。受けたのだから、それであの試合の話は終わりに等しいです。体重とか、何も関係ないから――受けた以上は。それはそういうものですから。

シンプルにいうと矢地戦で負けたからストラッサー戦だったので。そこにまた負けが重なって、悔しさに悔しさの上塗りですよ」

――クルックシャンク戦は打撃戦に付き合う状況になって、あの勝ちがありました。

「ハイ」

――その後、矢地戦とストラッサー戦に関しては、なぜあの距離で戦うのかというのは正直、感じました。

「普通に技術的な問題だったり、練習体系の問題であったりだと思います」

――ストラッサー戦は、おかしな言い方ですがもう負けです。負けでしかない。対して、矢地戦に関しては同じ負けでも、なぜ負けたのだろうと感じる敗北でした。

「矢地戦に関しては、アレコレは言わないです。ストラッサー戦は殴ってタイミングをとらなければテイクダウンを取れないと思い、勝つためにあの距離で戦っただけですよね」

――RIZINだから打ち合ったというのはない?

「それはない、それはないです。結果的にそうなっただけで。そんなことは一切ない。そんな風に思って戦っているなんて思われていたら心外です」

――申し訳ありません。

「想像以上に相手の右が早かった。それが最大の敗因です。テイクダウンを取るためにあの距離に居続けたんです。あの位置にいても被弾しないで戦うことができる技術はあります。実際、リングサイドにいたヴァンダレイ・シウバが『頭を振れ』って言っているのが、見えましたからね。まぁ、そういうことです。

だから、今回の試合に向けてはあの負けの反省、後悔を踏まえて練習してきたところはあります。何だろう……ただただ次の試合に勝ちたいからやるだけですけどね。MMAPLANETに書かれていたけど、僕は別に強さを追い求めているんじゃなくて、勝ちたいだけなので」

――そのために強さを追求するわけですよね。

「そういうことです。でも極端なことをいえば、次の試合は強くなくても良いから勝ちたいです。自分が求道者だとは思っていないです。ここで練習していて、ビックリするほど選手が集まってきて。そういう人達に勝つ姿もそうですけど、強い姿を見せたい。強い練習相手でありたいとは本当に思っています」

――姿勢や頑張っている姿で評価などされたくないのが、北岡悟という人間だというのは重々承知しているつもりです。

「頑張ってるねと言ってもらいたい人ではありますけどね(苦笑)。とにかく次の試合に勝つことです」

――矢地戦、ストラッサー戦で負けて失ったモノは大きいと思います。

「ここまでかと思われて然りだし、順番で下になったことは間違いない。そこを取り返すことができるのかは分からないですけど、選手を続けていなければ取り返す可能性はゼロになります。なんだろう、それこそアガリになる。立ち位置を変えて、あの敗北が無かったことにするというやり方もあるかもしれないけど、そんな風には絶対になりたくない」

――ではRIZINでの日本人対決連敗を経て、このタイミングでパンクラスというのは、おかしな言い方ですが既定路線だったのでしょうか

「普通に連敗したらRIZINからは声が掛からないでしょうし。5月の博多には入らないのは予想できた。そうなるとDEEPかパンクラスとなります。

DEEPは単純に相手がいなかったです。相手をつくる試合が組まれていない。そこでDEEPの佐伯さんとパンクラスの坂本さんと並行して話をして、パンクラスに収まった形です」

――良い試合をしているので、RIZINからオファーがあっても然りだと思いますが。

「このタイミングでなくても声が掛かると思いますし、また出ることになると思います。ここで勝てば。この試合によって、僕がどうなるかも分からないですけど」

――分からないというのは?

「心身ともにこの試合の後は、どうなっているのか分からないということです。先のことは分からないから」

<この項、続く

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