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【2017~2018】青井人─03─「勝つことを前提に『ヤバいな、コイツ』と思われる試合をしたいです」

Jin Aoi【写真】とにかく夏のリスタートを楽しみに待ちたい (C) MMAPLANET

9人のファイター達が語る2017年と2018年、青井人の足跡と一里塚─最終回。

昨年10月の高橋遼伍戦の初黒星を骨折を経て、青井はこれからどのようなMMAファイター人生を歩もうとしているのか。怖がりで負けん気が強くて厄介──と自らをいうJ-MMAの未来のこれから、とは。

<青井人インタビューPart.01はコチラから>
<青井人インタビューPart.02はコチラから>


──怖がりなのに負けん気が凄いですね。

「そうなんですよ、怖がりで負けず嫌いで。めっちゃ厄介ですよね(苦笑)。すぐに気持ちが収まってくれれば良いのに、収まらないんです。今も悔しいですからね」

──表情がイライラしているように見えます。

「そうですか。ちょっと、あの控室のことを思い出すと……。でも、今は考えてもしょうがないですよね。これまで、ずっと練習してきたので、このケガを自分が休める時として捉えるようにします。で、気持ちも楽にして楽しく過ごしていこうかと(笑)」

──足の回復具合はいかがですか。

「かなりくっついてきました。ただ、まだ練習はできないです。とりあえず焦らず、完治を目指します」

──復帰はいつぐらいに考えていますか。

「夏ぐらいに復帰したいですね。今はゆっくり治して、3月ぐらいに元の自分に戻るぐらいと考えています。そこから上げていこうと思っています。中蔵さんも『焦らんで良いから』って言ってくれています」

──中蔵さんは怖い顔ですが、それぞれの選手の個性をしっかりと把握しているようですね。

「ホント、僕のなかで大きな存在です。大阪に来て3年近くになりますが、日ごとに中蔵さんの存在は大きくなってきました。凄く研究熱心ですし、僕が何を聞いても絶対的に答えがあるんです」

──出稽古はOK。でも出稽古に来る人のセコンドはつかず、所属ジムの選手との差別化をしっかりと図っています。青井選手は下石選手のように出稽古は行っているのですか。

「ハイ、パラエストラ東大阪で練習しています。僕は軽量級のプロ練習に参加することが多いのですが、下石さんや岸本さんたちともやらせてもらっています。ボコボコにはやられないですけど、やられます。下石さんも凄いですし、岸本選手も凄く上手いです。

一つ重い階級に下石さんと岸本さんがいてくれて、一つ下の階級には竹中(大地)選手がいてくれる。凄く良い練習環境やと思います。そういう練習が今、できていないので焦ってしまうのですが、なるべく焦らないように心がけています」

──夏ごろに復帰戦を戦う腹積もりの2018年、特定の選手と戦ってみたいという目標はありますか。

「とりあえず負けないことですね。ただ、それだけだと試合を見てくれる人に面白くない試合をしてしまうので、勝つことを前提に『ヤバいな、コイツ』と思われる試合をしたいです」

──日本のフェザー級は各プロモーションで光る選手がいます。そんななかDEEPで上迫博仁選手が、芦田崇宏選手にベルトを奪われるなど動きも見られました。

「あ、あしだ選手と……うえさこ選手ですか?」

──ひょっとして……。

「スイマセン、知らないんです」

──ではパンクラスのフェザー級戦線に関しても、気にならない?

「気にはなります。ただ、選手のことを余り知らないので。松嶋こよみ選手とか、SNSで情報が回ってくる選手のことは知っています。外国人選手と試合をして、勝ったりして凄いなって。それに選手の名前は憶えていなくてもパンクラスやDEEPのフェザー級の試合をチェックして、『こいつに勝てるかな』とか、『こいつに負けるんとちゃうんか』とか思いながら見ています。

あと松嶋選手の試合だったら、松嶋選手の相手の外国人に僕は勝てないんとちゃうかとか……。試合を見ると、最悪のことばかり考えてしまいます」

──怖がりだったり、そういう部分があって青井選手の試合での強さがあるのかもしれないですね。

「練習の時も怖い、危険な雰囲気があると──ここで攻めると危ないかなとかっていう気持ちが大き過ぎで前に出ることができないことがあるんです。この気持ちの弱さを克服することはできないと思います」

──そのために練習を積むということは?

「ないですね(笑)。もう、無理やと思います。怖くて、不安で。仮に世界の最高峰で戦えても、怖いままのはずです。自分より下の選手と戦うのも怖いですし、最悪な状況ばかり想像します。『コイツと戦って、マグレの一発を貰ってKO負けしたらどうしよう』とか、そういうことを絶対に考えてしまうんです。

もっと勢いよく戦いたいんですけど……。結局、そういう怖さがあるから、狙い過ぎになってしまいます。もっと練習のように上手く戦うことができればと思うのですが。ただ、そんな風に警戒心が強いから、大きなダメージを防ぐことはできていると思います。そんなこと言うても、骨折してしまったのですが(苦笑)」

──この骨折が将来的に生きることを願っています。

「そうですね。今はこの状況でできること、ウェイトなんかをやっています」

──2017年1月に初めて取材をさせていただいた時と、既に顔つきが違って見えます。

「本当ですか!!」

──確実に積んできたものが表情にも表れているのかと。では、最後に復帰に向けて一言ファンにお願いします。

「ハイ。今みたいに弱気な発言を繰り返すんじゃなくて、そういう部分でも少しは強くなっていきたいです。

まだ半年ぐらい復帰まで時間は掛かるのですが、とにかく次の試合では凄い勝ち方をして……またチャンピオンと戦えるのか分からないですけど、チャンピオンよりも上にいって日本のトップファイターになりたいです。

ただ、日本のトップになることが目標ではないので。日本でチャンピオンになって、海外でもチャンピオンになれるよう、これからどんどん進化していけるよう頑張るので、楽しみにしていて欲しいです」

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