【AJJC2017】ルースター級王座奪回=5度目の優勝、芝本幸司─01─「橋本選手のおかげでまた強くなれた」
【写真】通算5度目のアジア選手権優勝となる芝本(C)JBJJF
8日(金)から10日(日)まで東京都足立区の東京武道館で開催されたアジア柔術選手権2017で。ヒザのケガを乗り越え、橋本知之へのリベンジを果たしてアダルト黒帯ルースター級の王座に返り咲いた、芝本幸司に話を聞いた。
Text by Tsubasa Ito
――優勝おめでとうございます。3年連続で橋本選手との決勝戦となりましたが、今回はプラン通りの展開だったのでしょうか。
「去年、橋本選手に負けてからの1年は色々なことを考えてやってきましたけど、試合に関しては特にプラン云々というのはなくて、ただ勝負するというだけでした」
――結果的に、序盤にダブルガードから立ち上がってアドバンテージ1を獲得したことが、勝敗を分けました。
「今回は流れでしたね。橋本選手が上を取ってくるかもしれないし、私の引き込み際に合わせてテイクダウンを狙ってくることも当然考えられたので、何かを狙うというよりはその時の状況を見て上を選択するのか、ダブルガードをやるのかという状況でした」
――なぜトップを選択したのでしょうか。
「引き込み際に一瞬、テイクダウンを合わせられたかなという気がしたので、上を選択しました。上になったからはパスガードを狙って攻めていきました」
――残り3分のところで、橋本選手のスイープで2点を献上しました。
「試合の中で返し返されという状況は十分あり得ることですし、残り時間からしても焦りはなかったです。自分が下になった時の作りをして、今度は自分がスイープをする、もしくはバックを狙っていくというだけでした」
――言葉の通り、その後はスイープで2点を奪い返しました。
「自信は常にあるんですよ。下になったら返す自信、上になったらパスする自信は。ただ、パスに関しては今回も思ったよりいけなかったですね」
――昨年と比較して、橋本選手の成長を実感する場面はありましたか。
「今回は私が挑戦者ですからね。彼は世界3位だし、ライトフェザー級の日本1位だし、去年のアジアチャンピオンじゃないですか。私がただ橋本選手に勝つために試合を進めるというだけだったので、ちょっとそこは分からないですね。
ただ、橋本選手が強くなった弱くなったというよりは、自分自身のコンディションが最高だったなと思います。凄く良い精神状態で試合をすることができました。それは立場が逆転したからかもしれないですし」
――受けて立つ立場だった昨年よりも、重圧は少なかったと。
「全くなかったですね。今回は怖いくらい緊張しなかったです。私は私のやるべきことをやるだけという心境になれたので、精神的に落ち着いて試合に臨むことができました」
――結果的に、勝つとすればあの展開しかなかった?
「第三者には守っているように見えたかもしれないですけど、私はもちろんパスガードをする気でいましたし、パスの際でバックを取るつもりでいました。そうしないと、たぶんトップをキープできなかったと思います」
――最後まで攻めの気持ちを失わなかったことが、勝利に結びついたと。
「そうですね。去年彼に負けたことによって、それを学ばせてもらいました。去年は本当に守っちゃいましたね。去年も強い相手が出てきてくれて感謝だなと思ったんですけど、橋本選手のおかげで私がまた強くなれたなと感じますね」
――橋本選手は特別な相手になっている?
「勿論そうですね。私が直接負けたこともそうですし、彼は私以外との試合でも活躍しているじゃないですか。凄くやりがいを与えてくれる相手なので、意識はしています」
――芝本選手はあまり特定の選手を意識するようなイメージがありませんでした。
「ただ、たとえば橋本選手がもうルースターには出ないとなったら、意識はしないです。要するに、自分の出るトーナメントに出る相手は意識しますよということですね。年齢的にもフィジカル的にも、オープンクラスにチャレンジすることはさすがにないので、とにかくルースター級では第一人者として頑張りたい。
そのためには若手であろうと世界3位であろうと、目標を達成するために倒していかなければいけない。それは、カイオ・テハにしてもブルーノ・マルファシーニにしても同じです。自分の階級で勝てていない以上、意識しないでどうするのだと。そこを意識して一つひとつ課題をクリアしていくことが、自分の競技者としての成長につながると思います」
<この項、続く>
■AJJC2017黒帯ルースター級 リザルト
【ルースター級】
優勝 芝本幸司(日本)
準優勝 橋本知之(日本)
3位 澤田伸大(日本)