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【AJJC2017】ライト級、アンドリス・ブルノフスキー強し。岩崎正寛はオモプラッタに敗れアジア2位に

Brunovskis vs Iwasaki【写真】この左腕へのオモプラッタの仕掛けが秀逸だったブルノフスキー。ワールド・トップクラスの妙技を見せてくれた(C)MMAPLANET

8日(金)に始まり、10日(日)に幕を閉じたアジア柔術選手権2017。9日(土)に行われた黒帯の部トーナメントを軽量級を中心にレポート。レビュー第5弾はライト級の激闘をお伝えしたい。


01ATOSのアンドリス・ブルノフスキーに対し、別ブロックとなった昨年準優勝の岩崎正寛とKSWフェザー級王者クレベル・コイケが準決勝でぶつかることが予想されたライト級。

02岩崎はアリアンシ所属のアリ・ムンファルディと対戦し、開始20秒で得意のハーフガードからのスイープに成功して2点を先行する。このままガードのなかでルーチを指導されない程度でステイするのも選択肢の一つだが、岩崎は担いでパスし5-0とリードを広げる。ムンファルディが立ち上がろうとすると、これを許さず。最後に潜りからのスイープで失点こそしたが、5-2で勝ち切った。

一方のクレベルは今年のジャパニーズ・ナショナルのミドル級3位サワト・カワムラを対戦。目まぐるしいスクランブル戦となり上下が激しく変わる攻防が続く。そして両者が6Pずつ獲得するなか、クレベルはギロチンでタップを奪い岩崎が待ち受ける準決勝に歩を進めることとなった。

03<ライト級準決勝/10分1R>
岩崎正寛(日本)
Def.7-0
クレベル・コイケ(ブラジル)

04世界で勝つためにレスリングの強化を続けてきた岩崎、対してクレベルもMMAで勝つためにトップを取る術を身につけてきた。まず岩崎がダブルレッグを仕掛け、切ったクレベルが左足を取ってシングル。岩崎は足を抜いてクレベルが低い姿勢で組んでくると、これを切る。仕掛けるクレベル、防ぐ岩崎という展開が続き、3分が経過する。と、ここで岩崎が引き込んでハーフガードへ。

05クレベルは左足を大きく踏み出し、反時計回りで逆サイドへ。その刹那、岩崎が左へ肩ブリッジするようにトップを奪い、スイープに成功する。クレベルもすぐにフックスイープを狙ったが、岩崎は下になることもスタンドに戻されることもなく2P先制することに成功した。

06試合は6分半残っており、クレベルも慌てずハイガードから十字や三角を仕掛けるが、これは極めよりも岩崎の反応を待って、スクランブルに持ち込むことが狙いか。逆に岩崎は担いでパスを仕掛け、クランブル&バックでスタンドへ。直後にダブルレッグでクレベルを倒した岩崎は、ギロチンから頭を抜いて2Pを加点した。

07クレベルはこうなるとフィニッシュ狙いに転化、三角絞めを狙う。岩崎は前方に体重をかけてロックをルーズにしていく。さらに担いでパス。続いてバックコントール&スクランブルでスタンドに戻る盤石の展開へ。

7Pを献上したクレベルの三角を凌ぎ、パス狙いからバックコントロールという攻防を続けた岩崎は、10分間に渡りペースを守った試合を続け、タイムとともに両の拳を固めて勝利の雄叫びをあげた。

09<ライト級決勝/10分1R>
アンドリス・ブルノフスキー(ブラジル)
Def.6分21秒by オモプラッタ
岩崎正寛(日本)

082015年アジア・ミドル級優勝、青帯と紫帯ではムンジアル、ノーギワールドを制し、茶帯ではパン柔術で優勝しているブルノフスキーは、間違いなく優勝候補の筆頭だ。初戦で今年の南日本柔術選手権オープンクラス優勝の石牟禮仁に対し、流れるような攻めを見せ8分25秒腕十字で勝利したブルノフスキーは、準決勝でホブソン・タンノに6‐0で快勝しファイナルへ。

試合開始直後にハーフガードに取った岩崎は、この強豪からもスイープでポイントを先取する。ここから先、岩崎はムンジアルのルーカス・レプリ戦のようにステイできるか。あるいはクレベル戦のように仕掛けさせてパス狙いに転じるのか。

11まずハイガードを切った岩崎に対し、ブルノフスキーは大きく煽って横回転。岩崎が腰を引くと、ズボンを取りに行く。正対するやブルノフスキーは腰を浮かすが、岩崎は立たせない。

ブルノフスキーも迷わずシッティングから、ガードを選択して岩崎の右袖を引きよせつつ、左腕を捉えて三角絞めクラッチ、そして左腕にオモプラッタを仕掛ける。

12ブルノフスキーのスイープの仕掛けに場外へエスケープを図る岩崎だったが、これで2Pを失う。直後ダブルガードの攻防から、岩崎が立ち上がるもアドバンは入らず。下になったブルノフスキーは岩崎の左腕をラッソーガードで捉えると、思い切り襟を引きよせて頭を下げさせ──再びオモプラッタへ。

つま先まで伸ばし、腰を抱え盤石の態勢のブルノフスキーがスイープへ。一度、動きが完全に止ったかのように見えた岩崎は、前方に移動しながら回転することを避けていたが、ついにタップ。終了後も右ワキを抑えて暫く立てなかった岩崎は、2年連続で準優勝という結果に、痛みよりも悔しさに身を震わせていた。

■AJJC2017黒帯ライト級の結果

【ライト級】
優勝 アンドリス・ブルノフスキー (ブラジル)
準優勝 岩崎正寛(日本)
3位 ホブソン・タンノ(ブラジル)
3位 クレベル・コイケ(ブラジル)

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