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【European Open】最強ハファ・メンデスに挑む、パウロ・ミヤオ

Paulo Miyao

【写真】ADCCのジョアオに続き、ハファエル・メンデスと同じフェザー級にエントリーしたパウロ・ミヤオ(C)MMAPLANET

23日(木・現地時間)から26日(日・同)にかけて、ポルトガルの首都リスボンはパピリャオン・ド・コンプレッソ・デスポルチーボ・ムニシパル・ド・サカウ・ヴィストソで、IBJJF主催のヨーロピアンオープン柔術選手権が開催される。

本大会はヨーロッパ全土を中心に、各国から強豪が参戦するIBJJF4大トーナメントで一つとなる、一大イベント。東欧や北欧からも多くの選手が出場するため、国際色の豊かさにおいては世界選手権にも劣らないほどだ。

特に今年は、昨年まで「驚異の茶帯」として旋風を巻き起こしていたジャンニ・グリッポ、ミヤオ兄弟、キーナン・コーネリアス、ジャクソン・ソウザらがこぞって黒帯として参戦。彼ら若手が、世界に名だたる強豪黒帯相手にどう戦うかが注目される。そこに勇躍参戦する日本人選手たちの健闘にも期待が集まる。

Caio Terra【写真】軽量級の帝王カイオ・テハ。柔術界アンチ・ドーピングの急先鋒でもある(C)Susumu Nagao

そんな今大会の黒帯の部の見所を2回に分けて紹介したい。まずは軽量3階級から見てみよう。最軽量ルースター級の大本命は、長年この階級世界最強の座に君臨するカイオ・テハ(カイオ・テハ・アソシエーション)。去年のムンジアルを制したテハは、11月のワールド柔術エキスポにおいても、UFCで活躍するナム・ファンをノーギの試合で圧倒し、最後は難技バラトプラッタで一本勝ちを収めている。まさに軽量級の帝王と呼ぶに相応しい選手だ。

日本からは芝本幸司(トライフォース)と、吉岡崇人(徳島柔術)の2人が参戦する。芝本は2012年の本大会で優勝、去年は準優勝と好成績を挙げており、打倒テハの一番手と見ていいだろう。吉岡は去年10月に行われたADCCの本戦に出場し、ハファエル・メンデスと戦った。2階級上の世界最高峰を体感した吉岡の戦いにも期待したい。

ライトフェザー級には、今や世界で注目を集めるミヤオ兄弟の弟、ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)が登場。ADCC本戦ではルールが災いして4位に終わったものの、準決勝ではハファエル・メンデス相手に互角の攻防を繰り広げ、3位決定戦ではジャスティン・レイダー相手に下から一方的に攻撃を続け、その実力を世界に見せつけている。

このミヤオを迎え撃つのは、上述のバラトプラッタの元祖にしてTUF18にも登場したハファエル・フレイタス(グレイシー・バッハ)や、ガブリエル・ウィルコックス(ウィルコックス・チーム)らのベテラン勢。新世代の旗手に対して、長年世界の黒帯の舞台で戦って来た意地を見せることはできるだろうか。また、日本から山田秀之(デラヒーバ・ジャパン)、スウェーデンからデイヴィッド・ジャーマン(ヒルティ柔術ストックホルム)が出場するなど、この階級には国際色豊かな顔ぶれが揃った。

Rafael Mendes【写真】2006年から青帯、07年紫帯、08年茶帯で世界王者となったハファ・メンデスは、09年から3年連続で黒帯でも世界柔術を制している(C)MMAPLANET

フェザー級では、怪物ハファエル・メンデス(アトス)がエントリー。ベリンボロや50/50ガード等の新技術を武器に、長年ギ&ノーギの両方の分野で世界最強の名を欲しいままにしてきたメンデス。しかし、去年は世界選手権ではタンキーニョことアウグスト・メンデスに、ADCC本戦ではコブリーニャことフーベン・シャーレスに、いずれも限りなく僅差の敗戦を喫してしまった。それでも、敗戦そのものが「事件」となるこのメンデスが未だに世界一の座にもっとも近いところにいることに変わりはない。

そのメンデスの対抗馬が、ミヤオ兄弟の兄にして、昨年度の茶帯同階級の覇者パウロ・ミヤオ(シセロ・コスタ)だ。メンデス兄弟が世界に広めた新技術のさらなるヴァリエーションを次々と開発し、競技柔術の最先端を進むミヤオ。ADCCにおいて、弟のジョアオがメンデス相手に互角の闘いを展開してのけたことを考えると、よりアグレッシブな兄が初対決でメンデス越えを果たす可能性も決して低くないだろう。

またこの階級には、ミヤオ兄弟、キーナン・コーネリアスらとともに新時代柔術の旗手として色帯時代から活躍してきたジャンニ・グリッポ(アリアンシ)がエントリー。昨年度茶帯の部の同階級決勝にて、パウロ・ミヤオと延々ダブルガード合戦を繰り広げた末に惜敗したグリッポは、先日ついに師のマルセリーニョことマルセロ・ガルシアから黒帯を授与された。黒帯の舞台での宿敵ミヤオへの雪辱なるか? また世界最強ハファエル・メンデスへの挑戦は実現するか? グリッポの戦いぶりも見逃せない。この充実の出場メンバーに加えて、強豪サミール・シャントレ(カイオ・テハ・アソシエーション)や日本の細川顕(ALIVE)も出場するこの黒帯フェザー級こそ、今大会最注目といえるだろう。

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