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【UFC168】オクタゴンのオンリーワン=バーネット、ブラウン戦へ

Josh Barnett

【写真】戦術が深まり、テクニックは進化の一途にあるMMA界にあって、MMA観を能弁に語れるジョシュ・バーネットのようなファイターは少なくなっている(C)MMAPLANET

28日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのMGMグランドガーデン・アリーナで開催されるUFC168「Weidman vs Silva 2」でジョシュ・バーネットがUFC復帰2戦目を迎える。

ダニエル・コーミエーのライトヘビー級転向で、王者ケイン・ヴェラスケスの独走状態にも感じられるヘビー級戦線にあって、貫録にも似た存在感を8月のフランク・ミアー戦で示したバーネット。レスリング+ボックス基調のMMA全盛時代に、総合格闘技の香りを残すバーネットは、ファイトスタイルだけでなくMMA観を語る話術とともにオンリーワン的な雰囲気を醸し出している。

対戦相手のトラヴィス・ブラウンは、これまでのMMAキャリアは15勝1敗1分、UFCでも6勝1敗1分という戦績を残している。柔らかい肩回りから繰り出されるロングレンジのパンチが強力なブラウンは、バーネットと比較するまでもなく現代MMAファイターだ。サンディエゴのアライアンスMMAから、アルバカーキ―のジャクソンズMMAへ移籍し、引き続きMMAで如何に勝つかを追求したジムで、トレーニングを積んでいる。2013年はガブリエル・ナパォン、アリスター・オーフレイムと2試合連続でノックアウト・オブ・ザ・ナイトを獲得しているが、フィニッシュブローは必殺のオーバーハンドではなかった。

ナパォン戦ではケージに詰められ、組まれた状態でエルボーを連打してKO勝ち、アリスターにはヒザで猛攻を受けながら打ち疲れを誘い前蹴りで事実上勝負を決めている。総合格闘家バーネットは、現代MMAファイターの傾向として「オフェンシブ・ディフェンダー」、「秒殺など結果有きで、組み立ててフィニッシュができるわけではない」、「自らの戦略が外れた場合、応用力に欠けている」という非常に的を得た自論を展開してきた。

確かにフィジカル時代のMMAにあって、技術は体力を上回るケースが少なく、テクニカルという言葉は距離を取った戦略的ファイトを差すことが多くなった。そんななか、オクタゴンで4試合KO勝ちを収めているブラウンは、決して行って来い的なパンチャーでなく、バーネットの言う結果有きのフィニッシャーでもない。上記のナパォン戦は現代MMAの絶対的な進化、際を埋める打撃のKOであり、ステファン・シュトルーフ戦でもスウェイ&ヒザ蹴りというチャクリキ的な攻守一体の攻撃に対し、ガードが疎かになる点を突いて見事なKOを勝ち取った。

バーネットの打・投・極的な情緒あるMMAではないかもしれないが、ブラウソンの戦いは体力勝負というよりも、体力に裏付けされた機能的ファイトといえる。そんなブラウンに対し、バーネットはやはりテイクダウンから寝技勝負を仕掛けたい。ヘビー級でありながら足関節を駆使し、エリック・パーソン的な流れる関節技を愛するバーネットは、実際のところ寝技ではポジションと打撃を駆使して相手を疲弊させるグラインダーの一面も持っている。そのポジションがマウント重視ということもあり、現代MMAのインサイド・ハーフ重視とは明らかにに差異があるが、疲弊させて勝つ――機能的な戦いという点では違いはない。

技を回転させるファイト=バーネットと、技の隙間を埋めるファイト=ブラウン。使う武器が違うことで、戦略面にも差が出る両者だけに、如何に自分の試合に持ち込むことができるかが大切になってくる。そして、自分のスタイルから外れた部分での、応用力という部分に注目したい一戦だ。

■ UFC168「Weidman vs. Silva 2」対戦カード

<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
[王者]クリス・ワイドマン(米国)
[挑戦者]アンデウソン・シウバ(ブラジル/1位)

<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ロンダ・ラウジー(米国)
[挑戦者]ミーシャ・テイト(米国/2位)

<ヘビー級/5分3R>
ジョシュ・バーネット(米国/6位)
トラヴィス・ブラウン(米国/5位)

<ライト級/5分3R>
ジム・ミラー(米国/10位)
ファブリシオ・カモエス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
ダスティン・ポイエー(米国/6位)
ディエゴ・ブランダォン(ブラジル)

<ミドル級/5分3R>
クリス・レーベン(米国)
ユライア・ホール(米国)

<ライト級/5分3R>
グレイゾン・チバウ(ブラジル)
マイケル・ジョンソン(米国)

<フェザー級/5分3R>
デニス・シヴァー(ドイツ/7位)
マニー・ガンバーリャン(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ジョン・ハワード(米国)
シアー・バハドゥルザダ(オランダ)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィリアム・パトリーノ(ブラジル)
ボビー・ヴォルカー(米国)

<フェザー級/5分3R>
ロビー・ペラルタ(米国)
エステファン・パーヤン(米国)

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