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【AJJC2016】レビュー<03>カラザンスが貫録の2階級制覇。注目、ケリーのフォークスタイル柔術

2016.09.16

ajjc2016【写真】攻めて強し、守って強し。昨年のミドル級世界王者カラザンスは貫禄の2階級制覇となった (C)BJ KEN & TSUBASA ITO

10&11日、東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催された。日本で開催されるブラジリアン柔術で最大級のトーナメントであるアジア選手権。レビュー第3弾はホベルト・サトシ・ソウザが制したミドル級や関根“シュレック”秀樹が初優勝したウルトラヘビー級、ミディアムヘビーとオープンクラスで二冠王になったクラウジオ・カラザンスの活躍を中心に大会を振り返る。

【ミドル級】
satoshi今年のムンジアルで、まさかの初戦敗退で終わったホベルト・サトシ・ソウザ。復帰戦の場となったのが、アジア選手権だった。マイケル・リエラJrとの対戦が注目を集めていたが、リエラの欠場により、サトシの独壇場となる。アレッシャンドリ・オガワを下したサトシは、ホドリゴ・マルティンスと決勝で激突した。

テイクダウンやバックコントロールでポイントを重ねていったサトシは、腕十字で一本勝ち。余裕の勝利に見えたがサトシは、「ムンジアルで負けてしまったので、とても緊張していました。まだ50%しか気持ちは戻っていません。まだまだ勉強です」とコメントを残した。

【ミディアムヘビー級】
昨年のムンジアルミドル級を制し、ADCC世界無差別級チャンピオンのクラウジオ・カラザンスがエントリー。準決勝でレアンドロ・クサノを一本で破ると、決勝へ進出。ここでカラザンスを待ち受けていたのは、今年の全日本選手権のオープンクラスで関根“シュレック”秀樹を苦しめたアリアンシのアレク・ボールディングだった。

ここで一昨年の世界王者カラザンスが鉄壁振りを発揮。守りを固めるアレクからパスガードで3ポイントを先取したカラザンスは、アレクは反撃に対し隙のないガードワークで完封。手堅く戦ったカラザンスが、ミディアムヘビー級を制した。

【ヘビー級】
ヘビー級は、ATOSのヴィトー・トレドが主役となった。サウスサイドBJJのヘナート・セシリオ・シウバが決勝まで勝ち上がったが、ヴィトーの腕十字であっさりと一本負け。ブルテリア・ボンサイもATOSとして出場したアジア選手権、重量級は彼らの活躍が目立っていた。

【スーパーヘビー級】
kellyワールドマスター選手権でシャンジ・ヒベイロを破ったばかりのエリオット・ケリーが、アジアでも実力を発揮した。腕十字で準決勝を一本勝ちしたケリーは、決勝でアリアンシのフェリッペ・ブエノと対戦。互いに2-2とポイントを奪い合う展開となるが、ラスト30秒でパスガードに成功したケリーが5-2でブエノを下してスーパーヘビー級の頂点に立った。

ケリーの強さはそのバックコントロールにある。柔術ではポイントとなるポジションではないが、腕をクラッチせずに対戦相手をコントロールし、疲弊したところでパスやサブミッションを仕掛けていく。フォークスタイル柔術と呼ぶべきスタイルで、ケリーがスーパーヘビー級を制した。

【ウルトラヘビー級】
sekine今年の全日本選手権無差別級を制した関根“シュレック”秀樹が、ATOSの所属で出場。準決勝でマーティン・ゴベルを一本で下すと、その勢いに乗りハワイのジョセフ・モク・カウアイと対戦した。カウアイはパン準優勝の実績がある強豪。関根の苦戦も予想されたが、結果は圧勝に終わる。「抑え込めなかった」と舌を巻いたが、パスガードやテイクダウンなどで計8ポイントを重ねての優勝となった。

【オープンクラス】
calasansオープンクラスは、11人のトーナメントとなったが主要選手がエントリーしなかったため、クラウジオ・カラザンスに独走を許す形となった。カラザンスは、二回戦でヘナート・セシリオ・シウバの引き込みに合わせたパスガードでアドバンテージを獲得。

バックコントロールで4ポイントを加算。そのままチョークを極めて一本勝ちを収めた。続く準決勝もカラザンスは、ネイサン・アルベルチ・メデルソンを破って決勝へ進出した。

一方のブロックは、レアンドロ・クサノが金子竜也から腕十字で一本勝ちを収めて幸先のいいスタート。準決勝でもエリオット・ケリーとの激闘をアドバンス差で制したクサノが、カラザンスとの再戦に臨んだ。右足を負傷しながらも決勝へ進んだクサノは、カラザンスに挑む。引き込んだクサノに対して、カラザンスはパスガードからギロチンへ。ギロチンから脱出したクサノだが3ポイントを選手される。

カラザンスはタイムアップと同時にギロチンでタップを奪い完全勝利。カラザンスがワールドクラスの強さを見せつけた。

■リザルト

【ミドル級】
優勝  ホベルト・サトシ・ソウザ(ATOS)
準優勝 ホドリゴ・マルティンス(GFチーム)
3位  アレッシャンドリ・オガワ(小川柔術)
    
【ミディアムヘビー級】
優勝  クラウジオ・カラザンス(ATOS)
準優勝 アレク・ボールディング(アリアンシ)
3位  レアンドロ・クサノ(オーバーリミット BJJ)、ネイサン・アルベルチ・メデルソン(Coalition 95)

【ヘビー級】
優勝  ヴィトー・トレド(ATOS)
準優勝 ヘナート・セシリオ・シウバ(サウスサイドBJJ)
3位  ヴィンセント・ゴメス・カバウカンチ(サウスサイドBJJ)、レイド・ジェイム(ピーター・デビーンJJ)

【スーパーヘビー級
優勝  エリオット・ケリー(イエマソBJJ)
準優勝 フェリッペ・ブエノ(アリアンシ)
3位  ジュリオ・ゲレーラ(グレイシーバッハ)、ルアン・アロウサ(小川柔術)

【ウルトラヘビー級】
優勝  関根“シュレック”秀樹(ATOS)
準優勝 ジョセフ・モク・カウアイ(ATOS)
3位  マーティン・ゴベル(GCP)、パク・ヒュンカブ(フランクリン)

【オープンクラス】
優勝  クラウジオ・カラザンス(ATOS)
準優勝 レアンドロ・クサノ(Over Limit BJJ)
3位  ネイサン・アルベルチ・メデルソン(Coalition 95)、エリオット・ケリー(イエマソBJJ)

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