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【WJJC2016】頭一つ抜けた強さ、ルーカス・レプリが独走優勝で事実上ライト級3連覇

Light【写真】レプリと攻防ができたのはJT・トレスのみ。新世代のファイターの台頭が目立ってきたライト級でダントツの強さを見せつけた(C)MMAPLANET

2日(木・現地時間)から5日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。レビュー第5 弾となる今回はホベルト・サトシ・ソウザや岩崎正寛らが世界に挑んだライト級の模様をレポートしたい。

<ライト級一回戦/10分1R>
チアゴ・アブレウ(ブラジル)
Def. by アキレス腱固め
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)

先日のアブダビ・ワールドプロ大会で準優勝をし、今年こそ初優勝の期待が掛かっていた日本のボンサイ柔術のホベルト・サトシ・ソウザは、初戦でアブレウ相手に開始早々スイープを決めてみせた。しかしアブレウは下からサトシの右足を取ると、両足を伸ばしてサトシの腰を蹴って距離を作った瞬間にすぐに腹這いに。一瞬で強烈なアキレス腱固めに入ると、サトシはすぐにタップ。なんと30秒もしないうちに敗退となってしまった。

なおアブレウは、続く二回戦でマルセロ・ガウッシアの愛弟子のマンシャー・ケラに敗れている。

Lepri vs Iwasaki<ライト級二回戦/10分1R>
ルーカス・レプリ(ブラジル)
Def. by マルセロプラッタ
岩崎正寛(日本)

今年春のニューヨーク・オープンでマンシャー・ケラを倒して準優勝に輝くなど、力を示した岩崎正寛は、一回戦カイオ・アルメイダと対戦。得意のディープハーフからのスイープと、トップからの安定感を用いて競り勝ってみせ、昨年はクローズドアウトだったが事実上──現在この階級2連覇中のルーカス・レプリとの大一番を迎えた。

Lepri vs Iwasaki 01まず引き込んだ岩崎は得意のハーフガードを作るが、レプリは岩崎のラペルを首に回して押さえつけて必殺のニースライドの体勢に。岩崎は体をずらしてディープハーフに持って行くが、レプリはステップオーバーしてリバースハーフにしてからもう一度体勢を戻し、より有利な形でニースライドの体勢を改めて作り直す。

Lepri vs Iwasaki 02そこから改めて岩崎の上半身を強烈なプレッシャーで無力化したレプリは、膝を抜くと一気に岩崎の体をまたいでマウント三角のような体勢に。ここで岩崎が起き上がろうとしたときにオモプラッタをロックオンしてみせた。さらにレプリは岩崎に背中を付けさせてからバックに回るが、場外ブレイクとなった。

Lepri vs Iwasaki 03再開後引き込んだレプリは、今度はオープンガードから岩崎の体を強烈に引きつけて三角を仕掛けると、またしてもオモプラッタに移行。一度は戻す岩崎だが、レプリは掴んだ岩崎の右腕を足で超えるというごく基本的なセットアップから三角、そしてオモプラッタへ。さらに、岩崎の腕を脇で抱えて足でプレッシャーをかけて極めるいわゆるマルセロプラッタの形で極めてみせた。

正確無比な仕掛けをもって、トップからもボトムからも岩崎の動きを完封、一方的に攻め続けて極めたレプリ。世界の頂の高さを改めて見せつける勝利だった。



Lepri<ライト級決勝/10分1R>
ルーカス・レプリ(ブラジル)
Def. by 送り襟絞め
エドウィン・ナジミ(米国)

岩崎を倒したレプリは、準々決勝ではマンシャー・ケラをオモプラッタで仕留め、さらに準決勝は世界大会上位常連のJTトレスとの接戦を制して決勝に進出、3連覇に王手をかけた。

もう一つのブロックでは、レプリと並ぶ優勝候補のマイケル・ランギが準々決勝、ガブリエル・ロロにレフェリー判定で敗れるという波乱が起こる。そのロロと準決勝で戦い、飛び三角、アキレス腱固めと次々と極めを狙ってゆき、そしてダースチョークで仕留めたのがエドウィン・ナジミだった。世界大会黒帯の部初挑戦のアルメニアン・アメリカンの若者は、パン大会での秒殺一本勝ちでの優勝に次いで、世界大会初制覇にも王手を賭けたのだった。

Lepri vs Edwin 01いかにも柔術家らしく腰を引いて構えるレプリに対し、ナジミは不用意に見えるほど背筋を伸ばしリラックスした構えで歩いてゆく。すぐに座って距離を詰めたレプリは、ナジミのラペルを引き出して膝の裏から掴むと立ち上がってシングルレッグへ。

Lepri vs Edwin 02片足で粘るナジミだが、レプリはその足を払ってテイクダウン。すると次の瞬間あっという間に必殺のニースライドの形を作って股間を抜けてパス。一分も経たないうちにレプリが5-0でリードした。

Lepri vs Edwin 03その後ニーオンザベリーで2点を追加したレプリは、ナジミのスパイダーガードからの攻撃を盤石のバランスで守ると、その後再びシッティングガードから後転して豪快にナジミを舞わせて加点。ナジミの必殺の跳び付き三角も未然に防ぎ、さらに横に跳んでのパスガードを極めて圧倒。最後は動こうとしたナジミの背後について送り襟絞めを極めた。

下からのスイープの仕掛けの速さと正確さ、そして上からの圧倒的なパスガード力。今年もレプリがその実力を見せつけて3連覇を果たした。この絶対王者の牙城を崩す選手は、来年現れるだろうか。

■リザルト
【ライト級】
優勝 ルーカス・レプリ(ブラジル)
準優勝 エドウィン・ナジミ(アメリカ)
3位 TJ・トレス(アメリカ)
3位 ガブリエル・ロロ(ブラジル)

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