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【Special】道着を身に纏え──石渡伸太郎、植松直哉&嶋田裕太・鼎談<01>「原理は同じ」(石渡)

Shimada, Ishiwatari & Uematsu【写真】右から植松直哉、石渡伸太郎、嶋田裕太。ブラジリアン柔術、道着を着たトレーニングに関する誤解を解く(C)MMAPLANET

バンタム級キング・オブ・パンクラシスト、石渡伸太郎。日本で最も強い61.2キロ級のMMAファイターはブラジリアン柔術着の袖に腕を通し、会社帰りの一般道場生と一緒に汗を流している。それが植松直哉率いるブラジリアン柔術& MMAスクール=ネクサセンスで見られる日常の光景だ。ネクサセンスには今年の世界柔術茶帯ライトフェザー級で3位に入賞した嶋田裕太のような世界を目指すアスリートも在籍しているが、その多くが趣味で柔術を嗜む人ばかりだ。

そのような環境で練習することが、石渡をMMAで強くする。なぜか──道着の有無に左右されがちな、MMAファイターの柔術トレーニングに関して、石渡、植松、嶋田の3名がとことん語り合った。MMAファイターよ、道着を身に纏え──それが強さにつながることを3者が明らかにしてくれる。

──道着を着た柔術の練習が、なぜMMAファイターに必要なのか。石渡伸太郎選手、植松直哉さん、嶋田裕太選手にお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

一同 宜しくお願いします。

──そもそも石渡選手は道着を着てブラジリアン柔術の練習をなぜ行うようになったのですか。

石渡 なぜですかね?(笑) 別に道着を着た、着ないは関係ないと思っています。違います?

植松 自分の思った通りで良いと思うよ。

石渡 道着を着ているとちょっと邪魔が増えるとか、逆に手助けが増えるぐらいなもんで基本的な部分、原理は同じで変わらないので。

──同じであればノーギだけでも良いですよね?

石渡 それは……植松さんの柔術クラスが道着を着てやっているからです(笑)。ノーギ・クラスがあればノーギ・クラスにも出ていたかもしれないし、道着の柔術クラスがあればそれで良いんで。どっちも一緒だし。

植松 最初はそうは思っていなかったよね?

石渡 ハイ。最初は分かっていなかったです。最初は道着があることで、道着を持つことを意識してしまって。でも、やっているうちに人間がやられる時って同じじゃないかって思うようになったんです。

嶋田 確かに石渡さんは、最初の頃は柔術のクラスに出ているからということで、『道着を掴まなきゃ』っていう感じでいたようでした。でも、ある日、突然変わったんですよね。実際、道着を掴みに来てくれる時にはOTOKOGIの練習の時とは違う石渡さんになっていたんです。それがある日、柔術の練習でもノーギでボコられている時と同じようにやられるようになってしまって(苦笑)。

──嶋田選手が道着を着ていて、石渡選手にやられてしまうということですか!!!

石渡 いやいやいや、嘘っすよ。嘘(笑)。

嶋田 本当です。本当にやられます!!!! 本当にある日からギャップを感じなくなったんです。道着もノーギも。しかも、結構早かったんですよ。

──どれくらい柔術のクラスに出て、道着もノーギも同じだと思うようになったのですか。

石渡 3回目ぐらいですね。

──確かに早い(笑)。

嶋田 本当に早かったです。

石渡 いや、そんなもんだろうなってことで、明確には覚えていないです。感覚的なモンなんで。

嶋田 それぐらいの時に石渡さんが『もう大丈夫』、『もう慣れた』って言ったのは覚えています。

石渡 でも、今でも柔術家の人に道着を掴まれて攻め込まれたら、何をされているのか分からないですよ。だから……何て言うのか柔術として分かってきたというよりは、MMAの練習を柔術の道着を着てやっている感じなんです。

──指導する立場からすると、柔術クラスに出ている石渡選手に何を掴んでほしいと思われているのですか。

植松 普段と……OTOKOGIでのMMAの練習と同じです。MMAで強いポジションと柔術で力を発揮できるポジションに違いがあるのかという、そういうことではないんです。柔術の時の方が力が発揮しやすいポジションがMMAよりも増えることは確かです。道着が使えるので。道着がなくなることで、ブラジリアン柔術的な技の数は減ります。

でも、MMAで戦う石渡君が柔術の練習をすることで、自分の使える技が減るということはない。増えるんです。多くの競技に当てはまることですが、技術の数が増えることで強くなるかといえば、必ずしもそうじゃないのですが……。

ボクシングでいえば、利き手で奥手にしている右腕のパンチ、右ストレートがMMAやキックボクシングで戦う時に打ち方の原理が変わるのか。使う状況は変わりますが、打つ力に変わりはないと僕は思っています。

──それは柔術とMMAにも当てはまると。

植松 襟を持たれたから、こんな踏ん張り方がある。ノーギで頭を引っかけられたから、こんな踏ん張り方がある──なんていう考え方はナンセンスです。同じ人間です。僕と石渡君、僕と嶋田、嶋田と石渡君では踏ん張り方は違います。でも、個人の踏ん張り方は基本、道着の有無では変わりません。柔術の練習でもMMAの練習でも、同じポジションを取ってくれれば良いです。

道着を掴む、掴まないということを言われますが、それは柔術においても勝つため、相手を仕留めるための手段の一つであって掴むことが目的ではないんです。

石渡 そう、そういうことなんです。僕が言いたかったことも(笑)。

植松 必要であれば掴む。掴む必要がなければ掴まなければ良いんです。

石渡 最初は掴もう、掴もうって思っていて手がパンパンになっていました。

植松 だから心肺機能よりも先に筋肉が疲れてしまっていたんだよね。でも慣れてくると、そうじゃない。

石渡 ハイ。いや、疲れますけどね……。

植松 筋疲労でなくなるんですよ、柔術のクラスに出ていても。

石渡 今もしますけど、どうだろう? 最初ほどではないのかな……。

植松 どういう姿勢を取っていれば良いのか、分かって来たんです。

──OTOKOGIでは日本を代表するMMAファイター達がトレーニング・パートナーです。一方でネクサセンスでの柔術クラスでは嶋田選手のようなアスリートも在籍していますが、ほとんどが一般の会員さんが練習相手になるわけですよね。

植松 そうです。会員さんは石渡君に関係なく、ブラジリアン柔術をしています。モダン柔術と呼ばれる技を仕掛けていく生徒さんも当然います。

──ダブルガードの攻防などですね。

石渡 何をされているか、よく分からないです(笑)。でも、取り敢えずそこから仕掛けられた時にひっくり返らないとか、最終的にはバックを取りに来ている技だなと思えば、バックを取らせないことを気にかけています。そうすることが自分のMMAに生きると僕は思っています。

<この項、続く>

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