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【TOP FC05】フェザー級王座決定戦に挑むチョ・ソンウォン「デビュー戦はZST、目標は須藤元気」

Jo Sung-Won【写真】1989年9月2日生まれ、25歳のチョ・ソンウォン。憧れは須藤元気、デビューはZST、狙いは三日月蹴りという日本縁(?)のファイターでもある(C)Choi Woo-Suk

7日(土・現地時間)、韓国プサンのBEXCOオーデトリアムで開催されるTOP FC 05。ROAD FCが独走状態の韓国MMA界にあって、ナンバーワンチーム=KTTが主催する同イベント。

今回はフェザー級王座決定トーナメント決勝戦をメインに、グアムのPXC勢、さらには日本から2014年プロ修斗ミドル級(76キロ)新人王の勇星も出場する同大会。地元プサンの名門・チームMAD所属、メインのTOP FC初代フェザー級王座決定戦でベテランのチェ・ヨングァンと対戦するチョ・ソンウォンにインタビューを試みた。猛烈な勢いで進化する韓国MMAファイターのなかでも、隠れた逸材という声もあるチョ・ソンウォンのMMAに賭ける思いとは。
Text by Choi Woo-Suk

――TOP FCフェザー級王座決定戦に出場するチョ・ソンウォン選手ですが、日本のメディアには初出場だと思います。MMAを始める前に何か格闘技歴はありましたか。

「チームMADのあるプサンではなくチンジュという街で高校生の時にキックボクシングをやっていました。ただ、親の方からキックなんかせずにちゃんと勉強してほしいといわれていたので、大学進学と同時に自然と練習はしなくなっていきました」

――それがなぜMMAを?

「大学では映像学科で勉強していたのですが、リラックスするためにも運動を始めようと思い、大学の近くにあった柔術道場に通うようになりました。柔術を練習するようになり、前にやっていたキックの技術も生かせるかなと思い、腕試しにアマMMAの試合に出場したんです。結果ですか?(笑)、ボコボコにされて負けました。でも、柔術を練習することで本当に格闘技が好きなんだと再確認できたんです。ならMMAをしっかり練習しようという気持ちになりました」

――それでチームMADへ?

「もともと所属していた柔術道場は、ドンチョンペクサンというチームMADの姉妹道場でした。そこでダイエット・キックボクシングの指導をしながら練習を続けていたんですが、週に一度ほどスパーリングの交流があり、チームMADにも足を運んでいました。本気でMMAに取り組む、そしてUFCのような大舞台で戦いたいと思ったので、そのままチームMADに移ることを決めました。ただ、プロMMAファイターになると親にいうと、大反対され家を追い出されてしまいましたけど……(苦笑)」

――本当ですか!!

「今は何とか仲直りできています」

――なるほど。ところでチームMADのトレーニングは厳しいことで有名です。

「チームMADは地下モンスター・ファクトリーという別名があります(笑)。チームMADの練習の厳しさは半端なかったです。他で練習していた者がやってきても3日と持つモノじゃありません。でも、僕はすごく満足しています。ヤン監督は午後2時半の技術トレから体力トレまで、1日で3クラスの指導をしています。その時間、チームMADにいればどんな練習だってできるんです。家族のような一体感のあるチームです」

――プロ戦績は3勝2敗1分ですね?

「いえ、アマチュアの敗北が混ざっているみたいで、3勝1敗1分です。デビュー戦は日本のZSTでした。上田厚志選手と引き分けでした。敗北もZSTで安田けん選手に喫したものです。TOP FCでは3連勝です。最初が判定勝ち、次が三角絞めで一本勝ち。フェザー級トーナメント準決勝はKO勝ちできました。ハイキックに左のカウンターを当てる。ヤン監督の作戦通りにいきました(笑)。本命の選手に勝てたので、すごく自信がつきました」

――唯一の敗北はアラフォー・ファイター、日本のエース・水垣偉弥選手の名セコンドでもある安田選手に喫したモノだったのですね。その後は戦績に表れているように勢いが増しています。そして、いよいよ王座決定トーナメント決勝でチェ・ギョングァンと対戦します。どのような印象を持っていますか。

「チェ・ギョングァン選手はスプリットMCで戦っていたベテランでLegend FCにも出場するなど、経験豊かなファイターでアグレッシブなレスラーですね。チェ・ギョングァン選手は準決勝で本来はオーソドックスなのにわざわざサウスポーに構えて、すごく防御を固くしていました。モンキー・ガードというディフェンスです。そして距離が近づくとヒザ蹴りを狙う。きっと同じように戦ってくるでしょう。

もともと自分は接近戦で戦うタイプだったのですが、ヤン監督との練習でスタイルが変わりました。今ではエリック・シウバのように遠い距離から一気に踏み込んで、スッとステップバックするように戦います。そして菊野選手の得意技である三日月蹴りを決めようと思っています。

大袈裟でなく、チームMADは韓国で最もチャンピオンが多いチームです。そのチームにいて、チャンピオンになると選手がどのようになるのか、ずっと見てきました。彼らは何も変わりません。チャンピオンであろうが、なかろうが。もちろん、死ぬほどベルトは欲しいですが、ここでアピールするのではなく確実に手にするために準備をします。口ではなく、体を使って準備します」

――今後、どのようなMMAファイターになりたいと思っていますか。

「実は須藤元気選手のようなパフォーマンスの上手なファイターになりたいです(笑)。私は皆が喜んでくれるような試合はできていません。でもMMAファイターは観客を盛り上げる商品だと思っています。だから、入場式でダンスを踊ったりパフォーマンスをしています。ファンの皆が楽しいと記憶してくれる選手になりたいので、須藤選手は私のロールモデルなんです」

――ダンスの練習もしているのですか?

「ダンスの工夫や努力はしていないです。練習相手の1人がのめり込んでいるので、『ああだ、こうだ』という話はしますが、どんな風に踊るのかは計量後に決めています(笑)。ただ、音楽に関しては英国の知り合いと話をして、しっかりと選んでいます」

■TOP FC05対戦カード

<TOP FCフェザー級王座決定戦/5分3R>
チョ・ソンウォン(韓国)
チェ・ヨングァン(韓国)

<ミドル級/5分3R>
キム・ジェヨン(韓国)
ライアン・ビグラー(グアム)

<バンタム級/5分3R>
クァク・グァンホ(韓国)
リッキー・キャンプ(グアム)

<フェザー級/5分3R>
キム・ドンギュ(韓国)
ロバート・ウスティッグ(グアム)

<ライト級/5分3R>
カン・ジョンミン(韓国)
イ・ドンヨン(韓国)

<76キロ契約/5分3R>
キム・ドヒョン(韓国)
勇星(日本)

<80キロ契約/5分3R>
イ・ハングン(韓国)
ユン・ドクノ(韓国)

<バンタム級/5分2R>
ナム・ギヨン(韓国)
パク・ギョンホ(韓国)

<バンタム級/5分2R>
ジョン・ハングク(韓国)
キム・ミョング(韓国)

<ウェルター級/5分2R>
パク・ジョンユン(韓国)
キム・ユル(韓国)

<ミドル級/5分2R>
ソン・ヨンサム(韓国)
ゴ・ミンソン(韓国)

<フライ級/5分2R>
キム・ギュソン(韓国)
ユン・スンウォン(韓国)

<フェザー級/5分2R>
イ・ヨンホ(韓国)
ユン・テスン(韓国)

<フェザー級/5分2R>
チェ・ヨンウォン(韓国)
チェ・ウヒョク(韓国)

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