この星の格闘技を追いかける

名匠ペデネイラスに聞く、王国と名門のMMA事情

2009.01.14

(C) MMAPLANET1993年11月、UFCが始まり、ホイス・グレイシーが第一回大会のトーナメントを制した。以来、15年に及ぶMMAの歴史で、常に世界をリードしてきたブラジルの格闘家たち。

柔術、ルタリーブリという土着格闘技の出身者が活躍した初期より、彼らは世界中のリングで活躍し、また海を渡って指導したことで、飛躍的にMMAの技術レベルは進歩した。

【写真】自らもMMAでパット・ミレティッチ、宇野薫、須藤元気、佐藤ルミナらと戦ってきたノヴァウニオンの名匠アンドレ・ペデネイラス (C) MMAPLANET

時代がクロストレーニング、そしてプロチーム型に移ってなお、PRIDE~UFCとブラジル産MMAファイターは、この世界のトップとして活躍し続けている。UFC世界ミドル級王者アンデウソン・シウバ、リョート・マチダ、デミアン・マイア、チアゴ・シウバ、ターレス・レイチら中・重量級から、チアゴ・アウベス、JZ・カバウカンチ、ジョゼ・アルド、マーロン・サンドロら軽・超軽量級まで、人材を輩出し続けてきたブラジル。

MMA王国のドメスティック大会の状況、そして軽量級の宝庫であるノヴァウニオンの状況は?――、アンドレ・デデ・ペデネイラスに尋ねた。


「日本のプロモーターが、シャオリンとアオキ、キタオカとレオの試合を組んでくれるなら、二つのベルトがノヴァウニオンにやってくることになるだろう」
Interview by Manabu Takashima

(C) FURY FC――今も昔もブラジル格闘技界は、MMAで欠かせない優秀なファイターを送り出し続けています。その一方で、IVCやメッカVTを経て、ブラジル国内ではMMAイベントが盛んに行われているとはいえません。現在、ブラジルではどのようなMMAイベントが行われ、どのような役割を果たしているのでしょうか。

「決してブラジルのMMAイベントが廃れているというわけではないんだ。大会の規模は大きくないけど、数多くのイベントが開かれている。メジャーといえるのは、フューリーFCだね。去年、彼らは83kgと70kgのGPを行い、どちらも私の教え子が優勝を果たしている。

ジャングルファイトは、今のブラジルで最も資金をつぎ込んでいる大会といえるだろう。ヴァリッジ・イズマイウの努力で、国内のビッグネームが終結している。

そして、手前味噌がだが私が開いている修斗ブラジルも、この国のMMAに欠かせない大会になっているだろう。特に軽量級では、ブラジル・ナンバーワンの大会といってもいいと自負しているよ。

これら以外では、WOCSという新しい大会があり、ここでも新しいファイターを発掘している」

【写真】フューリーFCの70kgGP優勝のエンヒッキ・メーロ(左)と、83kg級GPを制したレオナルド・バタタ。ともにノヴァウニオン門下のファイターだ (C) FURY FC

――デデが率いるノヴァウニオンは、ブラジルでも人材育成で一、二を争う優勝なアカデミーだと思います。そして、世界中にファイターを派遣している。ファイターを送り出すこと以外に、自ら大会運営というハードな仕事を始めた理由は、どこにあるのでしょうか。

「私が修斗の大会を開いたきっかけは、選手に経験の場を与えることだった。2007年当時は、ブラジルではMMAの大会は今ほど行われていなかった。そして、修斗という世界のブランドである公式戦を開くことで、ミスター・サカモトの目にとまるファイターが現われ、また修斗以外にも出場するチャンスが広がると思ったんだ。

修斗ブラジルを開く以前、私の生徒たちは1年間で21試合しか、リングで戦う機会がなかった。自ら戦いの場を提供することで、それが61試合となり、昨年は85試合と飛躍的に伸びたんだ。60名に及ぶノヴァウニオンのファイターたちにとって、経験が何よりも必要が、そのために私は自らイベントを開いているんだよ。今年も昨年同様、6大会を開く予定だ。そして、日本×ブラジルも開催予定なので、楽しみにしてほしい」

――そのような状況が与えられたノヴァウニオンの選手たちのなかで、今年の躍進が期待できるファイターを階級別に教えてもらえますか。

「柔術を長くやってきた教え子たちが、MMAに転向し、次から次へと優秀なファイターが育っている。フライ級では打撃に優れた柔術家のディレノ・ロペスと、柔術の世界王者でレスリングも強いアリソン・キキ・メーロ。

バンタム級はヘナン・バラオォン。彼はパーフェクト・ファイター、打撃、レスリング、柔術と全ての面で優れている。エドゥアウド・ダンタスは、ノヴァウニオンをリードするファイターに成長するだろう。

フェザー級はジョニー・エドゥアウドが、正式にノヴァウニオンで練習するようになったんだ(※ルタリーブリのベテラン選手。かつて五味隆典と戦ったこともある)。しっかりと柔術を学び、グラウンドでは敵なしの状態になりつつあるよ。

ライト級ではムエタイに光るものがあるフェリペ・オリヴィエリ、ダニーロ・シャウマンとハクラン・ディアズの名前は、もう知っているよね?

エルナニ・ペルペトゥオ、アミルカル・アウベス、ジョルジ・ロドリゲスらは、ウェルター級のファイターで、立ち技も柔術も秀でている。

ミドル級はフューリーFCで優勝したレオナルド・バタタ、ヘビー級はヴィトー・ミランダ。ミランダは柔術はまだ青帯だけど、打撃が強く、1年、時間をもらえれば、どんな大会でも通用するファイターに成長するだろう」

――なるほど、凄い陣容ですね。そんな彼らを引っ張る存在として、既に世界の大会で活躍するファイターがノヴァウニオンに存在しています。そのなかの一人、ターレス・レイチが、4月にもUFC世界ミドル級王者アンデウソン・シウバに挑戦するという話があります。

「ターレスが、寝技でアンデウソンを仕留め、世界のベルトを巻くことになるだろう」

(C) GONG KAKUTOGI――米国のMMAでは、そのアンデウソン・シウバに代表されるように打撃が強く、寝技をこなすファイターが主流にあります。その一方で、日本ではグラップラーが打撃系ファイターを破るシーンが破る印象的な試合が、年末年始にありました。

「シンヤ・アオキとサトル・キタオカだね。両者とも、卓越したグラウンド・スキルを持っている。ただし、私の下にはヴィトー・シャオリン・ヒベイロ、そしてレオ・サントスという彼らと同じ階級で、彼らより優れたグラップラーがいることを忘れないでほしい。

日本のプロモーターが、シャオリンとアオキ、キタオカとレオの試合を組んでくれるなら、二つのベルトがノヴァウニオンにやってくることになるだろう」

【写真】かつて柔術界のパウンド・フォー・パウンドと謳われたレオ・サントス。MMAデビュー戦が五味隆典戦だった。実兄はWECで活躍中のヴァグネイ・ファビアーノ (C) GONG KAKUTOGI

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