【DEEP】2019年中に伝えたかった声──沖縄編─02─安谷屋智弘「ジャッキー・チェンが最強だと」
【写真】闘心が活動停止し、シマジリアンズなど数か所で練習を行っているという安谷屋 (C)MMAPLANET
現在発売中のFight &Life Vol.76では沖縄紀行として、現地のMMAと柔術の現状&将来を語った──砂辺光久と松根良太の対談記事が掲載されている。
同紀行の執筆にあたり修斗、パンクラス、DEEP、GLADIATORで活躍する沖縄在住のMMA選手、そして柔術家の声を多く拾ったが、ページ数には限りがあり記事内ではキャプションでしか伝えられなかった。MMAPLANETでは、そんな沖縄在住の選手たちの声を書き記していきたい。
題して──2019年中に伝えたかった声──沖縄編。その第2弾はDEEPで戦績を積む、安谷屋智弘の声を紹介する。
プロ修斗に続き、パンクラスの沖縄大会が開くことが決まった中、DEEPで王座を目指す安谷屋は沖縄で活動することに拘っているファイターだ。
──今回、プロ修斗沖縄大会があり、2020年7月にはパンクラス沖縄大会を砂辺選手が開催します。そのなかにあって安谷屋選手はDEEPを主戦場に戦っている沖縄在住のMMAファイターです。そして闘心が活動停止して、現在はフリーとして活動されています。
「いやぁ、あっけなく無くなってしまい巻いた。ビックリしましたね(苦笑)」
──そもそも安谷屋選手がMMAを始めたのはいつ頃になりますか。
「19歳の時ですね。今、32歳なので13年前になります」
──それはPRIDE世代ということですね。
「もともとはジャッキー・チェンが好きで。一番強いのはジャッキー・チェンだと思っていたんです。ジャッキー・チェンが最強だと信じていました。で、中学生の時に夜中にジャッキー・チェンの映画があるので、録画予約をしていたんです。
そうしたら違うチャンネルを録画してしまって、それがドン・フライ✖高山の試合が組まれたPRIDEだったんです。『あぁ、これはジャッキー・チェンは勝てないな』って思って」
──アハハハハ。
「寝技を見たのも初めてでした。ジャッキー・チェンは寝技もしないし、彼らと喧嘩をしてもジャッキーは勝てないと中学生ながら分かったんです(笑)」
──沖縄を車で走っていると空手と、ボクシング、武道道具屋さんが多くて驚かされました。ジャッキー・チェン好きから空手に影響を受けることはなかったのでしょうか。
「なかったですねぇ。弟を使ってジャッキーの技を試していたぐらいで(笑)。でも、あの録画からPRIDEにハマって、今度は弟と寝技ごっことかやっていました。そして、高校を卒業してすぐに武琉館という道場に入門したんです。ネットで検索したら最初に出てきたので。
当時、砂辺さんたちの武限の存在は知っていたのですが、検索しても出てこなかったんです。色々探しても、出てこなかったので潰れたんだと思い込んでいました」
──武琉館では、どのような格闘技を習うことができたのですか。
「あそこはダイビングをされている方が、サンボとかムエタイ、柔術の稽古を大阪でやられていて。けっこう年齢もいっていた方で……でも、その道場も人が集まらなくて入門して2年しないぐらいで潰れてしまったんです」
──高校を卒業して2年、東京や大阪に出てMMAの練習をしようという気持ちになることはなかったですか。
「僕はなかったです。沖縄でやりたかったので。武琉館が潰れた時に館長から、闘心を紹介してもらったんです。闘心には熊澤(伸哉)さんがいて、曹(竜也)さんもいたのですが少しして内地に行かれました。あとは寿麻……祖根寿麻に、阪本洋平さんがいましたね」
──阪本選手は沖縄の頃から、相当だったと聞いたことあります。
「やばかったです。狂っていましたね(笑)」
──しかし、面白いメンバーが揃っていたのですね。その後、安谷屋選手は沖縄の天下一でキャリアを積んでいますね。
「ハイ、天下一で戦っている時にOUTSIDERの話がもらって。そこでアウトサイダーで戦い、契約が切れてからDEEPで戦うようになりました。沖縄にいても年に3回、多い時に4回ぐらい試合をさせてもらっているので恵まれていると思っています」
──それでも試合に出るとなっても、首都圏在住の選手よりも出費も多くなりますね。
「ハイ、でも昼間は配送の仕事──病院に薬を配達する仕事を正社員としてやっていて、生活基盤はありますし……赤字にはならないので」
──松根さんがプロ修斗、砂辺選手がパンクラスを沖縄で開催する。DEEPを主戦場にしていても、地元で戦ってみたいという気持ちにならないモノですか。
「昨日の修斗の大会も凄く良い雰囲気でしたし、それは出たいです。地元では、やはり戦いたいですね。一度、VTJの沖縄大会で戦っていますし」
──安谷屋選手が出場すれば、メインイベンター級の実績があるわけですしね。その辺りは地方に関しては、プロモーション関係者も認めてあげてほしいです。と同時にVTJ沖縄大会では飛鳥拳……黒澤亮平選手と判定で勝っていてもおかしくない内容で判定負けでしたね。
「勝てていれば、また違っていたかもしれないですね(苦笑)。でも、昨日の修斗の大会のように沖縄の選手が頑張っていると、自分の発奮材料にもなりますね。僕もDEEPでベルトを巻いて、RIZINだったりONEに出たいです」
──DEEPフライ級戦線、暫定王者は神龍誠選手ですね。
「神龍選手がいて、正規王者の和田(竜光)選手はONEで戦っています。だから、神龍選手と戦えるよう……そうですね、それまでに過去に負けているので柴田モンキー有哉選手に借りを返さないといけないと思っています」──2017年10月の試合ですね。アレも良い試合でした。そこから1ドローを挟み3連勝いています。相手も福田龍彌選手、坂巻魁斗選手とタフな相手が含まれています。タイトルを狙うには、誰を倒さないといけないと考えていますか。
「やはりモンキーですね。それから、負けなしの伊藤裕樹(インタビュー後の12月の大田区大会で初黒星を喫する)を倒して、ベルトに挑戦したいですね。井上直樹選手が日本に戻ってきたのでフライ級でやるなら、やってみたいです」
──そこに向けて。あくまでも沖縄で頑張り続けると。
「ハイ。沖縄で頑張っているヤツがいるんだということで、ここでのMMAの知名度を挙げて、注目されるよう役に立ちたいです」