【ONE102】中国の五味隆典?! リー・カイウェン「試合で見せられるモノはない。1秒でも早く勝つ」
【写真】この面構え、ファイトスタイルもまさに中国の火の玉小僧(C)MMAPLANET
本日8日(金・現地時間)にフィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE102「Masters of Fate」で、リー・カイウェンが1年4カ月振りの復帰戦を行う。
とにかく殴りまくる。レスリングベースの喧嘩上等ファイトは、そのルックスも相俟って五味隆典を彷彿させるリー・カイウェン。ポール・ルミヒ戦を前に怖さ十分、その反面、笑顔で人と話すことが大好きな中国の火の玉小僧に初インタビューを試みた。
そして──通訳に質問すると、意外にもリー・カイウェンは自ら英語を駆使して答え始めた。
──昨年2月にミャンマー大会でカイウェン選手の試合を初めてみて、思ったことがあったのです。
「俺がヤクザだろうって?(笑)」
──アハハハ。そうじゃありません。ファイトスタイルも容姿も五味隆典選手に酷似していると思ったのです。
「あぁ、そっちの方かい。中国のファンからも『この選手は日本の選手に似ている』と言われてきたよ。だからゴミの映像もチェックした。ファイヤーボールキッドだよね。凄くアグレッシブなファイターだ。
そして、クレイジーだった。そこも俺と同じだ。でも、タカノリ・ゴミがクレイジーだったのも分かるよ。彼も若かったから。若さゆえの暴走ファイトだったはずだ」
──つまり24歳になったばかりのカイウェン選手も若さに任せて暴れているということですね。ヤクザだと思われているという勘違いは、全身に見られるタトゥーが原因ですか。
「アハハハハ。その通りだ。でも、これはファッション。クールだからやっているんだ(笑)」
──左目には涙のタトゥーがあります。
「このタトゥーは……誰かを殺ってしまった時の悲しみを表している。もちろん、そんな過去は俺にないよ(笑)。まぁ、見た目が恰好良いから彫ったんだよ(笑)」
──なるほど(笑)。リー・カイウェン選手が五味選手にそっくりだと感じたヤンゴンの試合から全てフィニッシュしての3連勝。これからトップ戦線にという状況になったにも関わらず、今回の試合は昨年7月のクアラルンプール大会以来、実に1年4カ月ぶりの実戦になります。
「これだけ長い間、試合に出ることができなかったのはヒザのケガで手術をしたからなんだ。ずっと以前からヒザは良くなくて、去年の7月の試合で限界がきてしまった」
──ところでいきなり話が飛んでしまうのですが。カイウェン選手はしっかりと英語が話せるのですね。
「あぁ、俺は外国語を学ぶことが好きなんだ。シャイじゃないし、北京語が第一言語で英語も話すことができれば色々な人とコミュニケーションが取れて楽しいだろう? 多くの人と話すことが楽しいんだ。この2つの言葉を話すことができれば、世界中どこの国でも言葉が通じるだろう?(笑)」
──英語と北京語があれば無敵です。では、本題に戻らせてください。16カ月振りのファイトはフェザー級からバンタム級に階級が変わりました。
「手術をして1年間、ちゃんと練習ができなかった。結果、筋肉も落ちてしまったんだ。で体重も落ちた。今の体格だとバンタム級で戦うのに適していると判断したんだよ」
──では不本意な階級変更になってしまうのですね。
「まぁ、しょうがない。そう決めたことだし……それに将来的にはフェザー級と2階級で戦おうと思っているんだ」
──カイウェン選手はスタイル的にはガンガン殴りに行きますが、レスリングがベースでその辺りも五味選手と同じですね。
「そうレスリングがベースだよ。でも、MMAの試合でレスリングを全面に出して戦おうとは思わない」
──それはなぜですか。
「なぜ? レスリングをすると疲れるからだよ。その点、パンチを打っていると、それだけで勝負は決まる。無理だと感じたら、いつでもテイクダウンが取る自信もあるよ」
──レスリングを始めた理由は?
「両親が離婚した時に、レスリングのスパーリングのような激しい動きに没頭したくなって。それで始めたんだ。父親にも勧められたからね。フリースタイル・レスリングでは中国のジュニア選手権で3位になったコトもあるよ。
でも18歳の時にUFCのアンデウソン・シウバの試合を見て、こんなクールなモノはないと思ってMMAをやろうと決めた。あとK-1だけどブアカーオの影響もあったな。抜群にクールだったよ。ただ、俺が生まれ育った湖南省では練習ができる環境がなかったから、天津に引っ越してMMAを始めたんだよ」
──中国のMMAファイターは以前、散打出身の選手が多かったですが、そこもどんどん変わった来たようですね。
「俺、散打は嫌いなんだ(笑)。なんでか、見ていて……う~ん理由は分からないけど、俺はレスリングとボクシングの方がアグレッシブだから好きなんだ」
──現状、ONEにはシィオン・ヂィンナンという女子ストロー級王者がいて、UFCの世界女子ストロー級王者はジャン・ウェイリです。女子は既に世界のトップになりつつあります。
「それは……男は違うってこと? 男はそうじゃない。まだ、そこそこだ。でも、凄く成長も早い。なんといっても中国の人口はとんでもなく多いから、可能性を持った人間も数多く存在している。
いずれにしてもONEチャンピオンシップに関しては、俺が中国人の男で初めて世界王者になるよ。いつだってタイトルに挑戦できるだけのことはやってきた。俺は選手の皆を尊敬しているよ。でも、同時に誰のことも気にしていない。ただ、戦うだけだ」
──では15カ月振りの試合、ポール・ルミヒ戦では何を魅せたいですか。
「申し訳ない。それほど見せることができるモノはない。1秒でも早く、アイツを倒す。そしてファイトマネーを手にして、国に戻ってビールを飲むんだ(笑)。
──この試合を経て、タイトル挑戦に向けて戦いたい選手はいますか。
「誰でも構わない。ただ、前に突き進むだけ。リー・カイウェンの名前を上げる」
──了解しました。では、中国の火の玉小僧リー・カイウェンという選手のことを始めて知る人が多いであろう日本のファンに向けて一言お願います。
「俺、日本が大好きなんだ。前の彼女が日本で勉強をしていたことがあって、日本の良さをめちゃくちゃ話してくれた。俺もいつか日本で戦いたいと思っている。そして日本のMMAファンの皆が、俺の試合を気に入ってくれると嬉しい。リー・カイウェンという名前を憶えてほしい。アリガト」
──謝謝(笑)。
「サヨナラナンテ・ナイヨ。キョウカラ・ミチヲ・ハズレンダ♪♪ サイゴマデ・ミオクッテヨ。エイエンニ・ハナレテクンダ♬♬」
──??
「知らない? 前の彼女に教わった日本の歌だよ(笑)」
──スミマセン。きっと世代が違うんだと思います(笑)。
※ラムジのPLANET。2006年にリリースされた曲で昨年、中国でSNS映えする動画のBGMで多いに引用されNetEase Cloud Music(網易雲音楽)の総合ウィークリーランキングで5位になった~HMV&BOOKS─online─~より
■ONE102対戦カード
<ONE世界ストロー級(※56.7キロ)選手権試合/5分5R>
[王者]ジョシュア・パシオ(フィリピン)
[挑戦者] レネ・カタラン(フィリピン)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
エドゥアルド・フォラヤン(フィリピン)
ツォゴーフ・アマルサナー(モンゴル)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
センマニー・サティアンムエタイ(タイ)
アジス・ハライ(モロッコ)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ジェヘ・ユースタキオ(フィリピン)
トニ・タウル(フィンランド)
<女子アトム級(※52.2キロ)/5分3R>
スタンプ・フェアテックス(タイ)
ビー・ニューイェン(米国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
リー・カイウェン(中国)
ポール・ルミヒ(インドネシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
内藤のび太(日本)
ポンシリ・ミートサティート(タイ)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ゴーンサック・PKセンチャイムエタイジム(タイ)
ハン・ズーハオ(中国)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
ロビン・カタラン(フィリピン)
グスタオ・バラルト(キューバ)
<ムエタイ・バンタム級/5分3R>
トゥカートン・ペットパタヤイ(タイ)
鈴木博昭(日本)
<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
キム・ジェウン(韓国)
ハファエル・ヌネス(ブラジル)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
キム・キュソン(韓国)
藤沢彰博(日本)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ロシャン・マイナン(インド)
コン・シチャン(カンボジア)