【ADCC2019】新・神の階級66キロでニッキー・ライアンがヒルテイラーを下し、タンキーニョが貫禄V

2019.10.06

【写真】昨年のムンジアル・フェザー級王座に微妙なポイントながら、互角にやりあう力があることは十分に見せたニッキー (C)SATOSHI NARITA

9月28日（土・現地時間）と29日（日・同）の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ（ADCC）主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。

2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー3回目は、ADCCならではという十人十色のスタイルを持つ柔術家、グラップラーが揃った66キロ級──岩本健汰が出場した新・神の階級1回戦から、昨年のIBJJF世界王者とポラリス王者の対戦、同様にMMAファイターかつIBJJF世界王者と10thPlanetの気鋭の顔合わせをレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi

＜66キロ以下級1回戦／10分1R & ExR5分＞
ニッキー・ライアン（米国）
Def. by 2-0
シェーン・ヒルテイラー（米国）

ゴードン・ライアンの弟=18歳のニッキーと昨年の世界柔術王者=23歳のヒルテイラーの注目の一戦。序盤に引き込んだライアンは、シッティングで前進して足を絡めながらアームドラッグやスナップダウンを仕掛けてゆく。対するヒルテイラーは距離を取りながらさばきつつ時折りスピードのあるニースライスで反撃を試みるが、ライアンもガードを維持する。

やがてライアンがシットアップからダブルレッグに。しっかりクラッチを組んでヒルテイラーを倒して上を取るが、これはまだ前半戦でポイントにはならず。そのままライアンが上の状態で試合は加点時間帯に。上からプレッシャーをかけるライアンと、その左足に絡みながら崩しを狙うヒルテイラーの攻防が続く。

残り1分。内回りでライアンのバランスを崩したヒルテイラーが上を狙うが、ライアンは外ヒールでカウンター。ヒルテイラーが距離を取って逃れると、ライアンはすかさずシングルレッグへ。

左足一本で立ち上がったヒルテイラーは、キムラグリップを作ると後方にライアンを投げる。が、ライアンも素早く反応して上を取る。するとヒルテイラーは腕十字に移行するが、ライアンはその腕も引き抜いて上のポジションに戻った。この凄まじい攻防の結果、なぜか最初から上にいた（そして結局元どおり上に戻った）ライアンに2点が与えられることに。残り15秒、ヒルテイラーがテイクダウンを狙うも、ライアンがスプロウルして防ぐうちに試合終了、ライアンが2-0で勝利した。米国の、いや世界のグラップリング界の未来を担う二人による実力伯仲の攻防は、ADCCに付きものといえる──不可解な形で終わってしまった。

＜66キロ以下級1回戦／10分1R & ExR5分＞
アウグスト・メンデス（ブラジル）
Def. by 肩固め
キース・クロコリアン（米国）

10th planet柔術のクレコリアンは、引き込んでハーフガードや足狙い。しかしタンキーニョことメンデスは、強固なベースで跳ね返し、やがてハーフで胸を合わせることに成功する。さらにタンキーニョは強烈なプレッシャーでクレコリアンの首を完全に潰し、そのロックダウンを中央突破してマウント。残り3分、そのまま肩固めを極めた。