【Special】月刊、青木真也のこの一番:いきなり番外編─フィゲラスよりスペインの格闘技事情を語る
【写真】バカンスっぽさは感じられない青木真也(笑) (C)SHINYA AOKI
過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。
背景、技術、格闘技観──青木のMMA論で深く、そして広くMMAを愉しみたい。そんな青木が選んだ2019年6月の一番、第一弾は……という前に、今回はいきなりの番外編。青木は今、スペインはカタルーニャ地方のフィゲラスを訪問中、未知のカタルーニャ格闘技事情を話してくれた。
──6 月の青木真也が選ぶ、この一番。最初の試合は?と尋ねる前に、今スペインにいるということですか。
「スミマセン、そうなんです(笑)」
──なぜ、またスペインなのか読者にどの状況を説明していただけますか。
「なぜ、スペインなのか……はセミナーで1週間、スペインにいます。フィゲラスという街で、ほとんどの日本人が行かない街だと思います。サルバトール・ダリ……チュッパチャップスをデザインしたダリの出身地で、もうほとんどフランスに近いですね」
──チュッパチャップス、そう来ますか(笑)。カタルーニャ、そしてピレネーの麓ですね。
「ほとんど南仏ですね。バルセロナよりフランスの方が近くて、まさにカタルーニャです」
──どういった経緯で、フィゲラスでセミナーを?
「前に日本まで来て、僕のプライベートを受けた人が呼んでくれて。その呼んでくれた人、おじさんの家に道場があって(笑)。セミナーは週末だけなんですけど、そこに腕に自信のある人間が毎日やってきて、なんだかんだって普通に1時間とかスパーをやっていますね」
──カタルーニャに行っても青木真也はバカンスせず、ですか(笑)。
「バカンスはしているんです。ご飯も美味しいし。北岡さんが全然美味しくないって言っていたけど、凄く美味しいです」
──北岡選手は2009年のADCCバルセロナ大会に八隅孝平選手のセコンドに出向き。あの時に私、北岡選手、八隅選手の3人で食事をしたチャイニーズが、世界で例を見ないほど不味かったので、そのことを話していたんだと思います(笑)。でも基本、スペインの食べ物は美味しいですよね。
「スペインで中華が不味い、アハハハハ。いやあ、獲れるモノが良いし、凄く美味しいですよ。で、そうやっていても練習もするから逆にしんどくなっています(笑)。
まぁ……すぐに格闘技の話に行き着いてしまうんですけど、パスポート・コントロールがないことは経済的にも格闘技的にも大きいと感じました。それだけ人の行き来が活発にできますからね。LCCが一般的になった東南アジアに近くて、セミナーにも国境を越えてフランスからもやってくるみたいです。
スペインにはアムステルダム経由でやってきて、オランダ人って骨格がガッツリしていた大きいじゃないですか。そして、ヨーロッパは血が混ざる状況が日本よりずっと多い」
──ハイ。
「そこら辺の強さというか……血を混ぜろってことじゃないですけど、やっぱり日本人とちょっと違いますよね。地続きで領土を奪い合ってきた人たちは。で、スペインの格闘技はキック文化です」
──キックですか?!
「格闘技の話題になってもONEのキックとMMAを混ぜるのは面白いって言うんですよ。僕らは『えっ?』ってなるようなことを。ジョルジオ・ペトロシアンやニキー・ホルツケンがいて、GLORYが落ちると皆がONEに行くぞとか話していて」
──さすがIt’s Showtime文化です。
「そういう分からない乗りなんですよ。まぁキックは分かり易いんでしょうね。MMAに見慣れた僕らとは違う目があって、チャトリって分かっているんですよね。そのMMAになると、練習しに来る人は皆UFCなんです。『今週の試合はどうなる? どの試合が興味深い?』って聞かれるんです。
もちろん、サッカーの方が話題になりますけど、MMAはUFCなんです。BellatorもACA、KSWとか話題にならないです。ヨーロッパなのにUFCなんです。MMAは地続きのACAやKSWではなくてUFCなんだというは興味深いし、少し悲しいかなって思いましたね」
──なるほどぉ。スペイン、フィゲロアの格闘技事情ありがとうございます。そんな青木選手が選ぶ、6月の一番、第一弾From スペインは?
「ラファエル・ロバトJr×ゲガール・ムサシですね」
<この項、続く>