【WJJC2019】スーパーヘビー級 下からの崩しでライバル対決=アリーを制し、メレガリが2階級制覇を達成
【写真】昨年は通じなかったオープンガードからの攻めで、アリーを掌握したメレガリがスーパーヘビー級を制した(C)MMAPLANET
5月30日(木・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するこのムンジアル・レビュー第15 回は前回優勝のモハメッド・アリーと、一昨年のヘビー級優勝のニコラス・メレガリのライバル対決が実現したスーパーヘビー級の戦いの模様を紹介したい。
昨年、スーパーヘビー級で初優勝を飾ったモハメッド・アリー(チーム・ロイド・アーヴィン)は、準決勝でギリャルメ・アウグスト(アリアンシ)と対戦。中盤にスタンドからアウグストの襟を煽って崩すと、見事なレベルチェンジからのダブルレッグを決めて先制。その後もアウグストの50/50からの攻撃を凌いでニアパスを取り、2-0で勝利して2年連続の決勝進出を決めた。
もう一方のブロックから決勝に上がってきたのは、一昨年のヘビー級の決勝でレアンドロ・ロを大激闘の末に下し、世界を震撼させたニコラス・メレガリ(アリアンシ)だ。準決勝でルイス・パンザ(チェックマット)と対峙したメレガリは、パンザ必殺の足狙いを防いで背後から三角絞めを仕掛けると、そのまま腕を極めて一本勝ち。優勝候補の二人が順当に勝ち上がったこととなる。
なお、この両者は昨年の世界大会の準決勝でも対戦し、その時はアリーが、当時優勝候補筆頭と見られていたメレガリのオープンガードを上から遮断し、パスガードからニーオンザベリーを決めて5-0で完勝している。メレガリとしては、最高の舞台での雪辱戦の実現だ。
<スーパーヘビー級決勝/10分1R>
ニコラス・メレガリ(ブラジル)
Def. by 送り襟絞め
モハメッド・アリー(ブラジル)
試合開始後に引き込んだメレガリは、アリーの左足に絡む。立って対処しようとするアリーに対し、メレガリはその左袖と襟を引いて前に崩し、自らの左足を一瞬高く上げてトライアンクグルへ。
アリーが背筋を伸ばすと、メレガリはその左腕に絡んでのオモプラッタに移行。するとアリーはメレガリの体を横に飛び越えて何を逃れる。それでもアリーの左腕を離さないメレガリは、アリーと正対してバタブライからその体を跳ね上げる。アリーは卓越したボディバランスで上をキープした。
アリーの左腕の袖口をキープし続けるメレガリは、再びオモプラッタへ。アリーは背筋を伸ばして絡んでくる足を振りほどくが、メレガリはまたしてもオモプラッタに入る。アリーは先ほどと同じようにメレガリの体を飛び越えようとするが、それを察知したメレガリはアリーの左足を捕まえる。それでもアリーは崩れずにスタンド状態を保つと、左腕を抜くことに成功した。
依然としてアリーの左足を右腕で掴んでいるメレガリは、左腕でアリーの襟を取って前に引いて崩して頭をマットに着けさせると、さらにもう一度オモプラッタへ。
アリーは前傾姿勢ながらも立ち上がり、絡んでいるメレガリの右足を解除しにかかる。が、ここでメレガリはその右足のアリーの喉元に移動させつつ、もう一方の左足でアリーの右足を刈って尻餅をつけさせながらアリーの左腕を伸ばしに。さらにメレガリは、右足でそのままアリーの上半身を後ろに倒して腕十字に移行する。
完全に左腕を伸ばされているアリーだが、そのまま強引に起き上がりにかかる。ここでメレガリはすかさず背後に回り、チョーク狙いへ。それもアリーが体をずらすと、メレガリはサイドで抑え込んで2点を先取した。
アリーは下から動いてうつ伏せになってスペースを作ると、両足をメレガリの右足に絡めるが、メレガリは上半身をぴったり密着させ、背後からアリーの襟を掴んで絞めにいく。絶体絶命と思われたアリーだが、それでも顎を引いて動き続けてディフェンス。ここでメレガリは一旦両足フックを入れて4点追加。6-0とする。
その後メレガリが再び角度を調整してから強烈な送り襟絞めを仕掛けると、開始5分半のところでアリーがたまらずタップ。メレガリがアリーに昨年の雪辱を果たすとともに、2年前のヘビー級に続き2階級制覇を達成した。
昨年の両者の対決では、急成長したアリーのトップゲームの前に得意のオープンガードを封じられてしまったメレガリだが、今年はそのトップゲームを真っ向から打ち破る技術──強烈無比なオモプラッタの仕掛け──を用意して世界大会の舞台に帰ってきたこととなる。
一方、反撃の機会を一切掴めずに一本負けを喫してしまったアリーは、次回どのような対策を用意してくるのか。戦いを通じてお互いを高め合う両者の次の対戦が、今から楽しみだ。
■スーパーヘビー級リザルト
優勝 ニコラス・メレガリ(ブラジル)
準優勝 モハメッド・アリー(ブラジル)
3位 ルイス・パンザ(ブラジル)、ギリャルメ・アウグスト(ブラジル)