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【WJJC2019】ルースター級、澤田伸大ー01ー 「ブルーノが戻ってきたのは良いことだと思う」

Sawada【写真】ムンジアルへのチャレンジも良い意味で他人事として捉えることができるか(C)SATOSHI NARITA

30日(木・現地時間)から6月2日(日・同)にかけてIBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権=ムンジアルが、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内、ピラミッドで開催される。

昨年末のIBJJFノーギワールドルースター級で優勝し、日本人男子初のアダルト黒帯世界王者となった澤田伸大。同門の芝本幸司、そして橋本知之のように世界から注目される柔術家へステップアップした彼に、ノーギワールドの振り返り、そして黒帯二度目となるムンジアルへの意気込みを訊いた。
Text by Satoshi Narita


──ムンジアル直前とはいえ、まずは昨年のノーギワールド優勝について、この機会に改めて伺いたいのですが。

「う〜ん……実は僕、大会ごとでそんなに特別な感情を持たない人間なんですよね。割と淡々としているというか、ノーギワールドも紫帯の頃からずっと出ているし、『世界選手権が二つあるならどっちも出るだろ?』と勝手に思っていて(笑)」

──なるほど(笑)。

「今回はエントリーが締め切られた段階で自信がありましたから、優勝できてもそんなに驚きはなかったです。1試合だけだったし、レフェリー判定で内容的には微妙なんですよね(苦笑)。

やっぱり格闘技なので、どのタイトルを獲ったかというより、人々の記憶に残る──誰を倒したかだと思うんです。トップグループと比べるとまだまだ劣っていると思うし、優勝したからといって胸は張れないですね」

──精力的に海外を転戦されていますが、そうしたビッグトーナメントでも気負い過ぎないものですか。

「もちろん、緊張しないわけではないんですけど、ふらっと気軽にマットに上がった時のほうが良い動きができていて。何と言うか、自分で勝手にストーリーをつくって燃えてしまうと、経験上、良い方向に行かないんですよね。

結局、やっている競技は『柔術』じゃないですか? 普段と同じことをやるわけですから、燃えないわけではないんですけど、一歩引いた目で見ているというか、そういう気持ちであらゆる試合に参加しています」

──入れ込み過ぎずに平常心で臨む、と。

「表現するのが難しいんですけど、自分のことだけど他人事というか。『パワプロ』って野球選手を育てるゲームがありますよね? もう一人の自分がいて、パワプロをやってるみたいな感覚なんです。柔術だけじゃなく、昔からそういう感じで人生歩んでいますから、良い時もあるんだけど、時には冷たく見られたり……(苦笑)」

──難しいところですね(笑)。試合では良い面に働くけれど。

「ノーギワールドの時は明確にそれを意識できました。残り1分で負けていても力を抜けていて、それで最後に追いつけたので(決勝戦、アレスJJのリビオ・ヒベイロに終盤で6-4とされるも残り30秒でスイープに成功し、レフェリー判定で勝利)。

ただ、どこかで入れ込んでしまっている時もあって、今年負けた試合はそれが多かったと思います。まだその境地に達し切れていないというか、こうやって話しているのは理想論であって」

──ノーギワールド以降で周りの変化は感じますか。それこそPolarisに参戦したり、澤田選手への注目度が今年は一気に増したと思います。

「ポラリスも勝てれば良かったんですけどね……。優勝で得たチャンスを生かし切れていないのが現実としてあるので。柔術を良く知っている人からしたら、『カイオ(・テハ)なきカテゴリーでさらっていっただけだろ』と思われているかも知れないし。

やっぱり、新しいチャンピオンは前のチャンピオンを倒してなるべきだと思うので、そういう意味で今回、ブルーノ(・マルファシーニ)がワールドに戻ってきたのは良いことだと思っています。やっぱり勝ち逃げはしてほしくない。もちろん本人の自由なんですけど(笑)」

──昨年のムンジアル2回戦で対戦していますね。

「不思議ですよね。僕は2009年に柔術を始めたんですが、確か、その時すでに世界チャンピオンなんです。そういう人間と戦えること自体が客観的に面白いなと。去年はブルーノだからといってそんなに入れ込んでいなかったし、自分の得意技を狙おうとしたんですけど、それもあっさり返されて……。

彼の試合を見ていて思うのは、何と言うか、引っ張ったら引っ張れるし、押したら押せるんですよ。その上でしっかり対応してくるのが、柔術のひとつの到達点というか。もちろんそこを目指していかないといけないんですけど、間違いなく彼が自分の階級の最高峰だし、長い柔術の歴史で見ても最高峰の選手かも知れない。そういう人に、短い時間とはいえ自分の技術をぶつけることができたのは贅沢な時間でした」

<この項、続く

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