【Pancrase305】小川徹と対戦、戦い続ける哲人マモル「結局、誰とやっても丸裸なんです。人間だから」
【写真】試合前日にも関わらず──本人も分からない部分があるであろうナイーブな話題だったが、非常に分かりやすく話してくれた(C)MMAPLANET
26日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase305で、マモルが約11カ月振りの再起戦で小川徹と対戦する。
昨年7月に若松佑弥にKO負けを喫したマモル。キャリア12度目の敗北は、初めて打撃という彼のフィールドで思ったように動けない戦いとなった。試合の3日後には42歳を迎えるコンバットアーチストは、その現実と向き合い100パーセントの取り組みをしてきた。
計量直後、試合を明日に控えたマモルの話は実に的を得ていると同時に、心に響く──まるで哲学者のような語りであった。
──計量を終えて、何か口に含まれているマモル選手です。
「ボ、ボクは、お、お、おにぎりを食べているんだナ」
──ハハハハ。今日は裸の大将バージョンですか?
「リュック背負って、傘さしましょうか(笑)」
──さすが昨年7月以来の試合ですが、落ち着き払っていますね。ところで前回の試合後、進退について考えることはなかったですか。
「こういう日も来るな、と。長くやっていると、そういう日もある。そんなことがないまま引退できれば良いなとは思っていましたが、仕方ないことです。アレで俺はもう終わりだとは思わなかったです。そう思って、今日までやってきました」
──組みではなく、打撃でマモル選手らしさを見せることができずに敗れた。それはファイターとして生命線が断ち切られたのかという見方も成り立ちます。
「自分も倒されるまでのプロセスだったり、早い段階で殴られているという映像を敢えて何度も見てきました。ほんと、じっくりと見てどこが悪かったのかを探りました。まぁ、自分では何がいけなかったのか分かってきたので。
こういうことをいうのはアレなんですけど、やっぱり正直なところ劣化は否めないんです。でも、それを分かったうえでここにいるので。年齢的に劣化はしている。かといって諦めるのかというのとは違う話で。そこは受け止めて、自分がやるべきことをやらないといけないと思います」
──引退という考えは、まるでなかったということでしょうか。
「そういう気持ちには、そこまでならなかったです。周りはやっぱりソロソロって思うじゃないですか。それに俺の方が試合直後には思わなくても、1週間後にそういう考えになるかもしれない。引退というコトを考えると、これから決まる試合にしてもそういう風な流れになっていくんです。周囲は絶対にそういう風にしてくれようとするから」
──引退を見据えて、花道を用意してもらうのは違うと。
「でも、俺はそんな風に試合をするのは違うと思っているし。だから、変な言い回しですけど試合を戦うことと、現役を続けるのかどうかっていうのは別。試合と引退問題は別なんです。引退を考えて試合をすると、試合に向けて100パーセント取り組めるのかってことで。試合はいつだって100パーセント、自分の全てを出して取り組まないと。
試合は試合です。それだけを考えないと。で、この試合が終わったら最後だとか、そういう取り組みはしたなくない。試合が終わって……しばらくたって、引退だってなるかもしれないけど。
謎なんです。自分がどういうマインドになるのか。だからこそ1戦、1戦、勝つことだけを考えていないと、こういう場に来ることもできなくなると自分では思っています。ホント、ソコに尽きます。引退って考えるモノじゃなくて、スイッチが入るみたいにそうなった時はそうなるもので。今、思うのは……自分が辞める覚悟ができるのかってことですね。辞める覚悟が決まれば、そうなるんだと」
──それはまだまだ辞めてたまるかという気持ちの表れかと思います。明日の対戦相手、小川選手はTribe Tokyo MMAで若松選手と同じ所属ジムです。つまりチームは既にマモル選手のことを研究できています。
「答は単純明快で、ソレを打ち破るしかない。もちろん、実行することは難しかったりするんだろうけど。それに同じチームでも若松選手と小川選手は別の人間ですからね。そこは気にしないです。結局、誰とやっても丸裸なんです。人間だから」
──だからこそ、マモル選手の持ち味が出る試合になってほしいです。
「それが理想ですね。ショートレンジの刹那を……お見せしますよ」
──反応が命のショートレンジ、マモル選手の今を見させていただきます。
「そうですね、3日後に42歳を迎えますけど……もう少し、もう少しというのはおかしいですね。やれるんだというところを見せて、ランキングが上げられる結果を出したいと思います」
■Pancrase305 計量結果
<フェザーKOPT/5分5R>
[正規王者]ナザレノ・マレガリエ: 65.8キロ
[暫定王者]ISAO: 65.7キロ
<フライ級/5分3R>
マモル: 56.7キロ
小川徹: 56.95キロ
<フェザー級/5分3R>
田村一聖: 65.55キロ
摩嶋一整: 65.95キロ
<ウェルター級/3分3R>
近藤有己: 76.4キロ
郷野聡寛: 77.1キロ
<バンタム級/5分3R>
福島秀和: 61.35キロ
春日井たけし: 61.55キロ
<バンタム級/5分3R>
大橋悠一: 61.25キロ
ディションバイ・ベキトベック: 61.4キロ
<バンタム級5分3R>
米山千隼: 61.5キロ
JOEY BOY: 61.65キロ
<フェザー級/3分3R>
杉山和史: 66.15キロ
川那子祐輔: 66.05キロ
<ストロー級/3分3R>
宮澤雄大: 52.55キロ
リトル: 52.4キロ
<バンタム級/3分3R>
坂野周平: 61.4キロ
花レメ紋次郎TK: 61.1キロ
<ライト級/3分3R>
友實竜也: 70.7キロ
山本雄希: キ70.25ロ
<フェザー級/3分3R>
渡辺謙明: 65.45キロ
加藤泰貴: 65.75キロ
<バンタム級/3分3R>
前田浩平: 61.4キロ
宮川峻: 61.45キロ
<バンタム級/3分3R>
工藤修久: 61.7キロ→61.5キロ
関原翔: 61.3キロ
<バンタム級/3分3R>
後藤丈治: 61.4キロ
聖王DATE: 61.25キロ
<ネオブラッドTフェザー級1回戦/3分3R>
齋藤拓矢: 65.5キロ
葛西和希: 66.05キロ
<ネオブラッドTバンタム級準決勝/3分3R>
永井佑虎: 61.4キロ
平岡将英: 61.55キロ
<ネオブラッドTバンタム級準決勝/3分3R>
山本敦章: 60.9キロ
上野惇平: 61.1キロ
<ネオブラッドTフライ級準決勝/3分3R>
赤崎清志朗: 57.1キロ
下田洋介: 55.95キロ
<ネオブラッドTフライ級準決勝/3分3R>
猿飛流: 56.9キロ
三澤陽平: 56.95キロ