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【Grachan37xGladiator008】昇侍と引退試合を戦う中村謙作─02─「楽しく終わりたいです」

Kensaku Nakamura【写真】今の日本のMMA界の縮図が見て取れる言葉の数々だった(C)MMAPLANET

12月2日(日)に東京都大田区の大田区産業プラザPIOで開催されるGrachan37 xGladiator008で、昇侍を相手に引退試合を行う中村謙作インタビュー後編。

引退を決めた中村が、昇侍戦に対してどのような想いがあるのか。大丈夫かと思わせる言葉が多いのも、彼の人柄。そんな中村を支えてくれた人達に見せたい、最後の雄姿とは。

<中村謙作インタビューPart.01はコチラから>


──あくまでも自分自身の問題だと。

「もう1回やったら、勝てる自信もありますけど……でも、今からベルトとか目指しても1年以上掛かるじゃないですか。疲れちゃいましたね」

──MMAは戦う場所を変えると、またそこで新たな目標を立てることもできますが……。

「若かったらやっているかもしれないですけど、もうそうじゃないし。そもそも安定していないし、安定しているビジョンが持てない。だったら応援してくれている人がいる場所で頑張れることができれば良いと思います」

──吉田道場時代の仲間が今も頑張っていますが、そこに触発されることはなかった?

「ないですね。逆に釜谷がもう1回、よくやる気になったと思います。喉までケガして手術をしたのに……元谷君に惜しかったとは言われても、惜しいは惜しいけど……釜谷は凄く良く戦ったけど差は分厚い。でも自分と同い年で、アイツはまだ戦うっていうのは凄いことですよ。

竜ちゃん(和田竜光)はヒョロリヒョロリとやって強いから、それは凄いです。彼はまだ若いし。そうやって思うと、長倉も1歳下で……強いのにここ一番でこけて、運がない。彼らが続けるなら、頑張って欲しいです。皆、俺より才能があるので」

──中村選手としては、生活のことも考えての判断でしょうか。

「生活というか減量も、体重が本当に落ちなくなってきたので。もうなんか、疲れましたね(苦笑)。ずっと僕を応援してくれている職場の人達も、『もう、そろそろ』という風になってきましたしね。『もう、いいじゃん』と」

──ところで今の練習環境というのは?

「もう3年ぐらい漆道場のプロ練習と、試合前には夜も使わせてもらっています。あとは試合前にセッティングしてくれる人がいて、共栄や角海老宝石でスパーリングをして、その人が練習する人間を集めてくれる東京イエローマンズでも練習しています」

──勝っても引退を決めている選手は、どこかそれまでとは精神的に違い、ファイトにも影響を与えるようなことが多いです。

「まぁ、それはあるんじゃないですか。モチベーションを保つのは難しいですね。特に減量に関しては。今回は契約体重だから、約2キロ重くて良くて。でも全然、体重が落とせるような気がしない(笑)。最初に体重を落としたくないっていう気持ちがあって。

そもそも昇侍さんを指名したのは、フェザー級だから体重を落とさなくて良かったからなのに……。でも昇侍さんが、契約体重で……なんて意味が分からないですよ(笑)。フェザー級で良かったのに、なんで体重落とすなんて言うんだよって……」

──そのような気持ちで、ケージに入って大丈夫ですか?!

「大丈夫ですよ。もう開き直っているので練習も集中できています。相手は昇侍さんなんで、絶対に殴り合いになる。それで1分とかで倒されたくないですからね。そんな試合になったら、見てくれている人に申し訳ないです。ずっと応援してくれた人にちゃんとした姿を見せないといけないし、下手したら勝てるかなって思っているし(笑)」

──そうなるとまた欲がでてきませんか。

「ないとは言えないです。でも、やりませんッ!!」

──MMAファイター人生、どのように振り返ることができますか。

「本当に大したことなったです(笑)。アマチュアで全然勝てなくて……判定とかも意味が分からなくて。でもプロでは勝てるようになったし、ただ今の職場の人たちに応援してもらえるようになってから、勝ち星が減った。それが本当に申し訳なくて。

噛み合わなくなったんですよね。練習でやったことが試合で出ない。そういう風に考えて戦うこと自体が、もうダメになったということなんですよね。それまでは自然に体が動いていたので」

──中村選手の試合がメインです。

「そこも職場の社長の頑張ってくれて。ゴリ押しでメインにしてくれたんだと思います(笑)。仕事先の人達がこの場を創ってくれた」

──最後に勝ち名乗りを受ける姿を披露したいですね。

「いや勝ちには拘らないです。殴り合って終わりたい。勝つより、盛り上げたい。見ている人たちに分かりやすい試合をして……そんなこと言って、ビビってテイクダウン狙うかもしれないですけど(笑)。まぁ、死ぬほど殴り合って……全部出したいです。

3Rですしね。俺は2Rで良かったのに、昇侍さんが3Rでやるなんて言うから(笑)。昇侍さんがそう言ってくれているのに、俺が渋々OKするわけにもいかないから『お願いします』と言い切ってしまいましたよ(笑)。

もうやるだけです。見てくれている人も盛り上がって、楽しく終わりたいです」

■ 対戦カード

<63キロ契約/5分3R>
昇侍(日本)
中村謙作(日本)

<GRANDウェルター級王座決定戦/5分3R>
レッツ豪太(日本)
ルクク・ダリ(コンゴ)

<フェザー級/5分2R>
MIKE(日本)
古根川充(日本)

<ウェルター級/5分2R>
長岡弘樹(日本)
竹川光一郎(日本)

<フライ級/5分2R>
山本聖悟(日本)
ねこ☆佐々木(日本)

<バンタム級/5分2R>
上嶋佑紀(日本)
大村知也(日本)

<フェザー級/5分2R>
崎山勲(日本)
拓MAX(日本)

<女子アトム級/5分2R>
沙弥子(日本)
パンナコッタみのり(日本)

<ライト級/5分2R>
鈴木一史(日本)
中西聡(日本)

<ライトフライ級/5分2R>
草信孝謙(日本)
X(日本)

<バンタム級/5分2R>
廣川懸三(日本)
松本尚大(日本)

<女子バンタム/5分2R>
AYA(日本)
イ・ヨロク(韓国)

<キック60キロ契約/5分2R>
山口恒幸(日本)
大澤匡弘(日本)

<グラップリング/4分2R>
杉内由紀(日本)
森倖椋(日本)

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