【ONE79】ロビン・カタランと対戦、鈴木隼人「判定でどっちが勝ったんだっていう試合はしません!!」
【写真】MMAファイターの(桐生)祐子夫人と二人三脚で頂点を目指す (C)MMAPLAET
6日(土・現地時間)にタイはバンコクのインパクト・アリーナで開催されるONE79「Kingdom of Heroes」で、鈴木隼人がロビン・カタランと対戦する。
昨年8月のONE初陣で現ストロー級王者ジョシュア・パシオをRNCで秒殺している鈴木は、2戦目のアレックス・シウバ戦では逆に腕十字で一本負けを喫した。
1月のヤゴ・ブライアン戦で再起を果たしたものの、そこから試合間隔は空いてしまった。この間、結婚という人生の節目を迎えた鈴木はONEの東京大会で世界王座挑戦というシナリオを描き、実現するためにバンコクのリングに上がる。
──ヤゴ・ブライアン戦から10カ月振りの実戦となります。なぜここまで試合がなかったのか、おめでたいことも含めて説明してもらえますか。
「ハイ(笑)。5月の上海大会ということでオファーはもらっていたのですが、大会の延期があり結果的に6月25日にマカオに開催地をずらして行うことになりました。でも、7月7日に結婚式を控えていたので、もうその頃はバタバタして試合ができる状況ではくなっているの断ったんです。
5月だったら出るということで試合を受けていたので。2カ月ほどあれば戦うことは可能ですし、それが6月の序盤ぐらいに延期になった時も迷いはしましたが、戦うつもりでした」
──その時の相手は誰だったのですか。
「フィリピンでパシオに肩を脱臼させられたポンシリ・ミタシットでした。結婚式が終われば、いつでも試合をするとは連絡していました。もう落ち着いているので1カ月前だろうが、3週間前のオファーだろうがどんどん戦っていくつもりです」
──ともあれ、ご結婚おめでとうございます。式を終えて、気構えなど変わったところはありますか。
「ありがとうございます。結婚前から一緒に暮らしていたので、特に変わりはないですね(笑)。お互い格闘技がメインの生活をして、格闘技に集中してきたので。嫁の方も午前中にアルバイトに行って、午後2時からのプロ練習に参加し、その後は家事をする。その時間は僕はキッズの指導をしています。
家事とキッズの指導が終わるとまた合流して、夜の練習を皆と一緒にやっています。互いに1日2部練と、やるべきことをやっている生活です。1月の試合、その前にアレックス・シウバに負けて色々と覚悟をもって戦ったのですが、セコンドも彼女だけでした。その頃とやることは変わっていないです」
──この間、日本におけるONEの存在感が劇的に変化しました。
「日本でONEが盛り上がるのは嬉しいですし、日本人皆で勝っていきたいという気持ちはあります。同時にこれで日本人同士の競争ということも出てきますから、初期メンバーの部類に入る僕としては、あとから契約して注目を浴びる選手が出てくると嫉妬もあります(笑)」
──9月22日に内藤のび太選手がジョシュア・パシオに敗れました。自身の試合の2週間前にチャンピオンが日本人から一度勝っているフィリピン人に代わったことで精神的な部分で影響はありましたか。
「パシオはコンスタントに試合をして、一本勝ちをしてきたのでタイトルマッチを戦う権利はあると思っていました。ただ、ONE初戦ですぐにやっつけた選手で……あの試合で僕との力の差は感じていたはずです。あそこから練習を頑張って、付けた力がどの程度なのかは分からないですが」
──目指す選手が代わったわけですが。
「のび太選手がチャンピオンでも、僕が勝ち続けていると日本大会で挑戦できる。それが一番盛り上がると考えていました。ただ、のび太選手が負けても、一本勝ちかKO勝ちを続けていればチャンスは絶対に回ってきます。チャンピオンが誰だろうが、3月の日本大会で挑戦することが最高の舞台だと思います」
──パシオがチャンピオンになる可能性はどれぐらいあると思っていたのでしょうか。
「のび太さんとパシオだったら、五分五分だと思っていました。でも、最後の最後にギリギリでのび太さんが勝つかなって……」
──1RでRNCを極めている選手がチャンピオン。今はタイトル奪取にどれぐらい自信を持っていますか。
「パシオに勝った時に、ONEのストロー級のレベルはだいたい把握できました。で、これは結構上に行けるなと思っていた矢先にアレックス・シウバに一本負けをしてしまって……(苦笑)。そこからは一つずつ勝って這い上がらないといけないという気落ちでやってきました」
──アレックス・シウバもタイトルに絡んできたら、リベンジ戦が組まれるかもしれないですね。
「5月に負けてタイトルを失い、それから試合をしていないのですぐタイトル戦というのはないと思っています」
──土曜日に戦うロビン・カタランには負けてはいられないので、どうしても話題がパシオやシウバになってしまいます。
「そうですね……ONEからもらったチャンスだと思っています。ここでしっかりと一本で勝ち、年内にもう1試合あるなら、そこも仕留めて3連勝。そうなれば日本大会でタイトル挑戦というのが、一番良いシナリオかと。
最初は今回の相手はルネ・カタランだったのが、ケガで弟に代わったんです。お兄ちゃんの方は5連勝とかしているので、彼と戦うことで勝てばタイトル挑戦に近づくと思っていました。それが弟になった形ですから、1Rで仕留めるだけです。一本かKOでないとタイトルに近づけない。僕は長谷川賢選手のような殴り合いはできないので」
──ただ何が起こるか分からないのが、MMAです。
「シウバ戦でそれを学びました。あの試合は覚悟が足りていなかったです。中途半端なテイクダウンを取ったのですが、作戦にテイクダウンはなかったんです。遠目からの打撃でプレッシャーをかけて、四つになっても離れ、テイクダウンを潰して寝技は避ける。で、最後に倒してパウンドというのが作戦でした。
それなのに勝手に体が動いて。宮田(和幸)先生も『離れろ』って指示を送ってくれていたのですが、離れようとしたときには体が浮いていました。あんな技は練習でも宮田先生にしか食らわないです。
日本ではテイクダウンして極め、極まらないとパウンド。立ってきても寝かせるということだけで勝てていたので、海外で戦う相手の強さを思い知らされました。あそこでは打撃に切り替えるとか、そういう覚悟ができていませんでした」
──あの負けがその後に生きてきたと。
「ヤゴ・ブライアン戦は左でダウンも奪えましたし、テイクダウンからやりたいようにできました。アレが本来の僕の形なので今回もああいう風に勝ちます。ただダメだった時も焦らず対応するつもりです。とにかく焦らないように戦うつもりです」
──今回はリングが舞台です。
「これまで日本でも2回か、3回ぐらいしかリングで戦ったことはないです。それもロープに触れずに中央で倒してからバックに回って首を絞めて勝っていたので……。ただBRAVE三郷にはリングもあるので、その辺の対策は練ることはできています。
僕は純粋にレスリングの選手なので、金網だろうがロープだろうがあんまり関係ないです。ディフェンスに関しても、純粋にレスリングで倒れないようにできます。ただ相手は、壁があるとディフェンスがしやすくなりますよね。打撃だとコーナーがあって、リングの方が戦いやすいと思います」
──それがカタランの狙いになるのではないでしょうか。
「足を止めて、打撃の距離では戦わないです。遠目の距離でパシパシ入れます。そういう戦いはリングの方がしやすいです。この大会にオファーが来た時、青木さんとセットで呼ばれて『俺で良いの?』って実は思ったんです。
この大きな大会に出ることができるので、ONEに求められていることをやり遂げないといけないです。立ち技の試合が多い中で、僕がやることは決まっています」
──では最後に日本のファンに一言お願いします。
「abemaの放送は格闘技のファンも、そうでない人も見ると思います。そのなかでキックも総合も分からない人に、僕のやる総合はレスリングベースのしっかりとした試合で、バシッとタップを取るので……判定でどっちか勝ったとかっていう試合にはならないのです。その取っているところを見てほしいです」
■ ONE79対戦カード
<WBC世界スーパーフライ級選手権試合/3分12R>
[王者]シーサケット・ソー・ルンヴィサイ(タイ)
[挑戦者]イラン・ディアス(メキシコ)
<キックボクシング世界女子アトム級選手権 (※52.2キロ)/5分3R>
[王者]カイティン・チュアン(台湾)
[挑戦者]スタンプ・フェアテックス(タイ)
<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
青木真也(日本)
エブ・ティン(ニュージーランド)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)
メディー・ザトゥー(フランス)
<キックボクシング・ライト級/3分3R>
アンディ・サワー(オランダ)
アンソニー・ンジョクアニ(米国)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
レアンドロ・イッサ(ブラジル)
ムイン・ガフロフ(タジキスタン)
<キックボクシング・ヘビー級/3分3R>
アラン・ンガラニ(香港)
アンソレー・ムニエ(豪州)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ペットモラコット・ウォー・サンプラバイ(タイ)
アラヴェルディ・ラマザノフ(ロシア)
<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
鈴木隼人(日本)
ロビン・カタラン(フィリピン)
<キック・フライ級/3分3R>
シントンノーイ・ポー・テラクン(タイ)
工藤政英(日本)
<女子ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
リカ・イシゲ(タイ)
ボズヒーナ・アントニヤ(ミャンマー)
<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ペットダム・カイヤンハダオ(タイ)
ケニー・ズィー(豪州)
<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
フー・チャンシン(中国)
リン・サロス(カンボジア)
<フライ級(※61.2キロ)/5分3R>
ドディ・マルディアン(インドネシア)
ラモン・ゴンザレス(フィリピン)