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【ONE77】2勝目を目指し、ローマン・アルバレスと対戦する竹中大地─01─「フィニッシュして勝つこと」

Daichi Takenaka【写真】取材当日はストラッサー起一、岸本泰昭、キャプテン☆アフリカ、手塚基伸、鍵山雄介らとパラエストラ東大阪プロ練習を行なっていた竹中 (C)MMAPLANET

8日(土・現地時間)、中華人民共和国は上海のパオシャン・アリーナで開催されるONE77「Beyond the Horizon」に日本から竹中大地が参戦する。

そんな竹中の1日をAmeba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が追った。MMAPLANETでローマン・アルバレス戦に向け、MMAに特化した竹中のインタビューを活字でお届けしたい。

「関西最強」、練習仲間も誰もがそう口を揃える存在──それが竹中だ。プロ修斗環太平洋バンタム級王座獲得も、ヒザの負傷でブランクを経験した。

実戦復帰は日本でなく、今年2月のONEだった。その後、ONEは日本の格闘技界に大接近、今は多くの期待を背負うまでの存在感を醸し出すようになった。「ONEどうなの?」という空気が残っていた時代の最後の日本人契約選手の竹中がONEを選んだ理由、そして今回のローマン・アルバレス戦に向けて、まずは前回の反則勝ちを振り返ってもらった。


──竹中選手がONEで初めて戦ってから半年、日本大会の開催に向け東京で大々的な記者会見を開かれるなどONEと日本の関係が、Abema TVとのパートナーシップが結ばれたことで劇的に変化しました。

「会見には僕も声を掛けていただいていたのですが、調整があるので出席をお断りしたんです」

──このムードがあれば、竹中選手ももっとすんなりとONEとの契約を決めることができていたのではないでしょうか。

「ONEと契約した当時も僕の場合は即答に近かったです。復帰戦をどうしようかと考えている時に、過去の戦績でONEが正式にオファーをくれたのは純粋に嬉しかったので、オファーをもらった日にONEと契約すると決めました」

──その時のONEと今のONE、日本人契約選手の数もまるで違うものとなっています。

「これは予想していなかったです。ONEと契約しようと決めた時、年に何試合できるのか……2試合なのか、1試合なのかって考えて、とにかく生き残れるようにと思って契約したので。それが今となっては試合はAbemaで中継があり、こうやって取材もしてもらえる。凄く良い流れになったなって思います。

やはり1大会に2人は日本人選手を起用してくれるという状況になったのは大きいです。あの発表があった時には、うまくいけば年に3試合戦えるかもって期待し、凄く嬉しかったです」

──新規契約選手ではバンタム級は上久保周哉選手がいます。何れ日本人対決もありえる状況になりました。

「う~ん、日本人対決をしないといけない状況になり、打診されると僕は戦います」

──日本人選手が増えた一方で、日本人選手の戦績が良くない。今の日本でトップになった選手は、上の世代が海外に転じたことで繰り上がり当選のような形になり、その実力の程が分かりにくいということも考えられる状況に陥っています。

「僕に力が備わっているのか。その想いは修斗の環太平洋チャンピオンになった時もありましたし、今でもあります。僕自身は……名前を出したら怒られるかもしれないですが、日本人で戦い選手は石渡(伸太郎)選手でした。それは修斗で戦っていた時も、今も同じです。

MMAが一番格好良いスポーツだと改めて思ったのが、VTJの石渡選手と堀口(恭司)選手の試合だったんです。あの試合を見て、改めて総合格闘技は格好良いと思ったし、本気で頑張ろう、賭けようと思い石渡選手と戦いたいと思ってきました」

──石渡選手は最もMMAの激しさ、MMAファイターの強さを見せ続けてくれる選手です。ところで、改めてというのは?

「アマチュア修斗に出始めた頃から、このスポーツで頑張ろうと思っていたのですが、途中で自分が信じられない時期があったんです。一度、就職をしたこともありました。でも、あの試合を見て、ちゃんとやろうと心が動きました」

──勝った堀口選手でなく、石渡選手と戦いたいと。

「堀口選手はもちろん強いです。ただ試合の時の雰囲気、気迫だとか、倒れるまで戦うという石渡選手の雰囲気に魅せられました」

──漢が漢に惚れる。そんな選手ですね。ただ竹中選手がそこまで石渡選手に影響され、戦いたいと思っていたとは露ほども知りませんでした。

「公で口にしたのは初めてです(笑)。今もチャンスがあれば戦いたいと思っています」

RNC──現実問題として、ONEで戦うことを決めた竹中選手がそのデビュー戦でキム・デフォンと戦い、実力が再確認できました。だからこそ一本勝ちで終わりたかった。改めてスタンドのバックマウントからRNCを極めていた状況で頭から落とされ反則勝ちになった瞬間を振り返ってもらえますか。

「勝ったと思っていたと思います。ただ、頭を打って記憶が飛んでしまって……。映像を見るまで、分かっていなかったです。止められた時は勝ったと思っていたはずです。実際はブレイクだったのですが」

──映像で見て、どのように思いましたか。

RNC02「頭を打たないのが大前提、それが格闘技です。ただあのスラムというか頭から落とす行為はルールミーティングで映像付きで反則だという説明があったので、頭から落とされることを予想していなかったです」

──強さを争う競技でルールが存在するのに、頭を打って意識朦朧となったら、その強さが曇るような印象が残ってしまうのが勿体なかったです。

「それは勿論そうです。自分でも悔しいですし、どんな形であれフィニッシュして勝つことがファイターにとって大事なことだと思うので」

──あそこで絞めのクラッチが外れるぐらいまでアドバンテージで見てくれれば、相手はタップしたはずだとも思えました。

「それも思いました(笑)。なんでこのタイミングで止めるんやっていうのは。映像を見てもレフェリーに止められてから手を離しているので、あのまま進めば取れていたと思います」

<この項、続く

■ONE77対戦カード

<ONE世界女子ストロー級選手権試合(※56.7キロ)/5分5R>
[王者]シィォン・ヂンナン(中国)
[挑戦者]サマラ・サントス(ブラジル)

<ライト級(※77.1キロ)/5分3R>
ホノリオ・バナリオ(フィリピ)
アミール・カーン(シンガポール)

<フェザー級(※70.3キロ)/5分3R>
エドゥアルド・ケリー(フィリピン)
クリスチャン・リー(米国)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
オグニエン・トピッチ(セルビア)
トゥカートン・ペットパタヤイ(タイ)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
ローマン・アルバレス(北マリアナ諸島)
竹中大地(日本)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
ハン・スハオ(中国)
ステルゴス・ミッキオス(ギリシャ)

<ムエタイ・バンタム級/3分3R>
パイコス・ユースフ(キプロス)
ハン・ジィハオ(中国)

<バンタム級(※65.8キロ)/5分3R>
チャン・レイ(中国)
モハメド・アイマン(マレーシア)

<キック73キロ契約/3分3R>
ダニエル・ドーソン(豪州)
ムスタファ・ハイダ(イタリア)

<キック・フライ級/3分3R>
ハキーム・ハメック(フランス)
小笠原裕典(日本)

<ストロー級(※56.7キロ)/5分3R>
パット・ソダ(カンボジア)
エルピトゥア・セレガル(インドネシア)

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