【Gladiator】グラジエイター櫻井裕一郎代表に訊いた──変則タイトルマッチの是非、プロレス、そして今後
【写真】変則的なタイトルマッチとなったグラジエイター・フェザー級タイトル戦のみタイトルマッチ宣言及び、試合前の記念写真撮影は行われなかった (C)MMAPLANET
2日(日)に大阪府堺市の堺市産業振興センターで開催されたGladiator × Demolition 02。計量会場に来ることができなかった選手が、変則タイトルマッチとしてケージに足を踏み入れた。
決して看過できないタイトル戦が行われてしまったことで、関西のMMA界つまりは日本のMMA界で確かな地位を築きつつあったグラジエイターの存在価値、その根幹部分が揺るぎかねない。なぜ、このような事態に陥ってしまったのか。プロレスマッチが組まれたこと、東京進出という話題に関して、大会終了直後に櫻井裕一郎代表に話を訊いた。
──お疲れさまです。
「こちらこそ、遠路取材に来ていただきありがとうございます」
──今大会で船木誠勝選手と池本誠知選手のプロレスが組まれました。もちろん、ファン層の拡大を狙ったものでしょうが、これを知った時は正直驚きました。
「グラジエイターは純MMA団体です。そのなかでプロフェッショナルレスリングを行なうのは、新生グラジエイターでは本来はないことです。ただし、今の関西のMMAの事情を考えた時に船木選手と池本選手という顔合わせということで、このお二人だったからこそ、私自身の希望でもあり今回限りで組ませていただきました。これで格闘技というジャンルが盛り上がるのであればということを考え、悩みに悩んだ末にグラジエイターとしては、最初で最後ということで今回一度だけ組ませてもらいました」
──もう時代は違うのか、お客さんは喜んでいましたね。ただプロレスとMMAを混同されるのは、やはり違和感をもたざるをえないです。
「それはその通りだと思います。MMAとプロフェッショナルレスリングは全くの別モノです。いってみると、格闘技内であってもキックボクシングを組まないのはグラジエイターは純然たるMMAの大会だからなんです。そこが私の拘りでもありますし、特例として今回は組ませていただき、結果お客さんも喜んで家路についてもらえたのであれば、最初で最後ですが、良かったと思います」
──もう一つはより深刻な話ですが、大道翔貴選手が公式計量に間に合わず、リカバリーを行なってから開催地である堺にやってきた。そして、MIKE選手が勝った場合のみ公式戦として認められる変則タイトル戦が決行されました。私が取材をする大会で、飛行機のトラブル等など移動手段の問題以外で、約束の時間に計量会場に来なかった選手が試合を認められたというのは記憶にありません。
「団体の信頼に関わって来る問題だったと思います。もちろん、こういうことを認めたり、推奨しているということではなかったのですが、最終判断をMIKE選手に委ねました。結果、計量時間は過ぎていましたが、71.7キロという体重を確認し『戦う』という判断でしたので組ませていただきました。でも、試合を行うべきでなかったという気持ちは試合が終わった今も持っています」
──選手に最終判断を委ねるというのは、危険ではないですか。
「ハイ。もちろん、そうだったと思います。情けない限りですが、想定外の出来事だったので自分たちにこういうケースでどういう判断をすべきかという答を持たないまま、試合を行うというところまで来てしまいました。今回、こういうことが起こったので次回大会までには書面化して、こういうことがないよう規約を作っていきたいと考えています。
一昨年の6月に新生グラジエイターを始め、順調に来ていたのですが、まだまだ至らないことはあると今大会で気付かせてもらい、また初心に返ることができるきっかけとなりました」
──体重を落とせなかった。それは選手の失敗です。自己管理の問題だと断言できます。と同時に安全面に直結する問題でもあるので、今回のように計量会場に脱水症状で来られなかったけど試合ができたことを悪用されないグラジエイターであってほしいです。
「仰られる通りですね。選手は試合をしたいですし、運営側も試合数は減らしたくない。それでも、今思えることは公平性を大きく欠いた試合、そして万全を期して安全に大会を行うという点から離れていくことはやってはいけないです。そこは運営側が線引きをする必要があります。規定を設けて、規定から外れる試合をさせないことを徹底するようにします。
相手側がそういうことになると、試合はなくなる可能性がある。本来はあってはならないことですが、起こってしまったことなので、これを踏まえた規則を創ります」
──関西MMA界のためにもぜひともお願いします。そしてグラジエイターは次回、12月に東京進出を発表されました。では、今後の関西の活動はどうされる予定でしょうか。
「そうですね、GRACHANと対抗戦という形ではなくもっと広義な意味で協力した大会を行なおうと思っています。関西も年明け、春までには大会を開きます。東京に行ったきりということは絶対にないです。関西のファンの皆さんに喜んでもらえること、関西の格闘技を盛り上げたいという気持ちで始めたことですし、しっかりと目標を達成させたいです」