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【ONE76】シャノン・ウィラチャイと対戦する青木真也─01─「試合は基本したくないモノ」

Shinya Aoki【写真】青木が言う作品とは、試合だけのことではない (C)MMAPLANET

27日(金・現地時間)、フィリピンはマニラのMOAアリーナで開催されるONE76「Reign of Kings」で青木真也がシャノン・ウィラチャイと対戦する。

5月にラスル・ヤキャエフを三角絞めで破ったばかりの青木が2カ月のスパンで試合に出場、そしてウィラチャイはヤキャエフに昨年12月に敗れたファイターだ。

今も日本のライト級のトップ、しかしONEでタイトルを失ってからタイトル戦線に絡むようなファイトが見られていない。

Ameba TVが制作するドキュメンタリー番組= ONE DAY が、青木を追ったなかで、MMAPLANETではファイターとしてウィラチャイ戦をどのようにとらえているのか──を尋ねた。


──5月18日のヤキャエフ戦からインターバルが2カ月というのは、最近の青木選手にとっては相当短いですね。

「こういうのはDREAM以来かと思いますけど、あの当時から考えると普通です」

──そういうなかで調整は難しくなかったですか。

「減量がほとんどないので、あまり変わらない感じですね」

──ONEでも減量をする選手はいるかと思いますが、青木選手はほとんどないと。

「体重を落とさないというか、水を抜かないということですね」

──青木選手もONEの階級ならフェザー級でも戦えるかと思いますが、自分よりやや大きなライト級の選手と戦い続けるのは、どういう理由からでしょうか。

「そこまでしてやろうと思わないです。失うモノのほうが大きくなるから。73キロ、74キロぐらいだったら今の計量システムでも作れます。でも、70.3キロにするにはユニファイドの65.8キロを作るのと同じになってしまいます。そのうえ体重だけでなく尿酸値の検査もあるのでストレスが2倍になる。そんなストレスは感じたくないですね」

──ユニファイド規定でフェザー級にしたときのことが思い出されるというのもありますか。

「う~ん、そこまでして何かを得ようとは思わないということですね。それが正直なところで。それよりも自分が納得することをやって、楽しみたい。フェザー級にしても、何も得するものがない。何かあるかと探しても、あまりない。自分の好きな格闘技の練習が減ってしまいますしね。そうなると豊かじゃないですよね。格闘技をするうえで豊かでなくなると、もう意味はなくなるじゃないですか?」

──好きな格闘技を続けるうえで対戦相手の比重はどれほどあるのでしょうか。

「極論、そこまで重要じゃないです。やれと言われれば、誰とでも戦うし。やりたい相手がいますかと聞かれても、いないと答える。大切なのは自分が豊かであって、自分が楽しく自分のストーリーが良いストーリーであることが大切で。誰と戦いたいとかチャンピオンになりたいとか、そういう外的要因でやっていないです」

──ウィラチャイというオファーでも、何も思うところはなかったですか。

「試合が決まると緊張するし、いつだって試合は基本したくないモノだし」

Wiratchai──試合前に申し訳ないのですが、5月に勝利した相手に負けている相手だと見る側はやはり、違う相手が見たくなります。

「それは……言うても、自分の試合を魅せるだけだし、そのためのプロモーションをやりますし……仕方がない。あくまでも使われる側なので……仕方がない。

だからこそ、もう1回何か気運が来るような流れを作っていくしかないですね。ウィラチャイだから戦わないというわけにはいかないわけじゃないですか」

──ハイ。

「そんなに人を馬鹿にできる立ち位置じゃないし、与えられた仕事をこなして信頼を勝ち取るだけです」

──青木選手もあと何試合戦うことができるのか、先のことは分からないので名前を聞いただけヒリヒリする試合が見たいですね。

「去年、ベン・アスクレンと戦うとか厳しい役回りはやったし……もう来た球を打つしかないですし。どれだけできるか分からないというのは、僕だけじゃない。若い子だってそう。それと僕でいうと、辞めない気でいるから……ずっとやる気でいるので」

──RIZINで北岡選手がディエゴ・ブランダォン、五味選手がメルビン・ギラードと戦うことに関しては?

「北岡さんに関しては表現する者として、なかなか他の人にできない作品を創るだろうし、そういう意味で嫉妬はありますけどね。ああいう選手を呼べるんだなっていうのもあるし……羨ましいです。

基本、ファンなんでギラードというセンスも良いし。こういうのもありだよなって(笑)。僕のセンスでは、昔の名前で出ているとブランダォンよりギラードですね。そういうのを持ってきたのかっていう羨ましさは多少あります。

実際、オファーがあったら悩むだろうし。そこに踏み切れない自分だっていると思っています。俺がやりたかったと気軽には言えない。自分の得るモノ、失うモノを考えるので。自分が代わりにやりたいとは思えない」

──その一方でONEに新規参戦選手が敗れることで、ONEの中堅というかタイトルホルダー以下、東南アジアのデビューしたての選手以上のファイターが、そこそこの力があることが判明してきつつあります。

「だから危機感は持っています。まぁ、落ちていますよね──日本のファイターは。落ちているというか、分散しています。凌ぎ合う場がないというか、凌ぎの削りようがない。いろいろと団体があって、あえて挙げないですけど──この1年で凌ぎを削った試合がどれだけあったのか……。国内のMMAにはスケールがない」

──今後はONEで日本人対決もありえるかと思います。

「まぁ、言われたらやりますよ。朴(光哲)さんとも安藤(晃司)ともやりましたし。下石(康太)や徳留(一樹)が俺より強くなれたとしても、俺以上の作品を創ることはできない。明確に差がでますよ、試合以上に。それは10年、15年以上表現してきた人間と格闘技だけやってきた人間の差は出ます」

<この項、続く>

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