【ACB89】消えたACB初陣、どこまで歯車が狂うのか。田中路教「自分を磨いていくだけ」
【写真】今の気持ちを表す写真を送ってほしいとリクエストすると、このような写真が送られてきた (C)MICHINORI TANAKA
17日(火)、21日(土・現地時間)にキプロス・レメソスのパラディスポーツ・スパイロス・キプリアノウで開催される予定だったACB89がキャンセルされた。同大会に日本から出場し、ドゥクラハ・アスタミルノフと戦うことになっていた田中路教は日を跨いだ18日深夜に羽田を発ち、ドバイ経由で現地入りする予定だった。
MMAファイターとして狂った歯車を戻すべき、掘ってはいけないACB=ロシア挑戦を決めた田中の今の気持ちは……。
──大変な事態に陥ってしまいましたが……。
「アハハハハ」
──笑うしかないというのは分かります。しかし、本当に大会はキャンセルされたのでしょうか。
「決定ですね。飛行機に乗るなと連絡があったので。エージェントのマイケル・ナカガワから、昨日の夜中の3時ぐらいにメールが来ていて。もちろん寝ていたので、起きた時に確認すると『大会がなくなった』と。すぐに電話をかけたら、ACBの人間から大会はキャンセルだとしっかりと言われたということでした」
──試合がなくなると分かった時は、どのような気持ちでしたか。
「自分でも意外なのですが、状況を飲み込むのは早かったです。もう、僕にどうにかできることではないので。落ち込みはしましたが、周囲の人が心配してくれるほど、ダウンはしていないです。それよりもキプロスまで来てくれることになっていた方たちに、キャンセルになったことを報告しないといけないんで、そこからはすぐに連絡を取り始めました。いや、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」
──田中選手の責任ではないですし。
「でも、本当にサポートしてくれている方たちが休みをとって、チケットまで手配してくれていたわけですし。(石原)夜叉坊もサクラメントから来てくれることになっていて、(中村)優作も東京にミットを持つためだけに来てくれていたのに。僕は色々とあって、こういう思いをすることが少なくなかった。だからこそ、しっかりと試合で自分の成長を見てほしかったです。
今はもう先のことも見えていないので、少し休憩してまた練習します。いやぁ、でも今年に入って色々と練習環境を変えてやってきて、自分でも手応えは掴んでいたんですよ」
──練習環境を変えたというのは?
「基本はクレイジービーでMMAトレというのは変わらないのですが、キックでHIROYAさん、大雅たちのトライハード・ジム、日体大でレスリング、グラップリング・スパーはロータス世田谷、あとは嶋田(裕太)選手とのグラップリングのパーソナルも毎週続けていました。ファイトキャンプ中も、打撃でもグラップリングでも、こうなんだって分かることが出て来ていたんです。
ただ自分で強くなったと思っていても、それを証明する場は試合だけじゃないですか。強くなったかどうかは見ている人に判断してもらうモノだし。いや、こうやって話していると本当に戦いたかったです。早く試合がしたいです(苦笑)。また時間ができたので、これまでと同じように強くなるために自分を磨いていくだけですね」
──今後はもうACBには拘らない?「試合が組まれないなら、考えないといけないです」
──ではエディ・ブラボーが認めた漢、勝村周一朗さんと相原雄一さんにドゥクラハ・アスタミルノフをロシアから呼んでもらいGrandslamという手もありますね。
「なるほどぉ。その手がありましたね(笑)。まぁ色々ありますけど、僕なんかより全然厳しい、辛い想いをしている選手もいるわけだし。そのなかで結果を出すことが強さじゃないかと思います。この件も含め、結果を出すことで周囲に伝えられることもできると思っています。今回はスイマセンでした」
──スイマセンではないですよ。
「いや、ホントまた成長することにフォーカスを置いて日々を過ごします」