【WJJC2018】ライト級に新風巻き起こしたヘナート・カヌート&エスペン・マティエセン
【写真】並みいる表彰台候補を撃破し続け、ムンジアル・ライト級を席巻したカヌートとマティエセン(C) SATOSHI NARITA
5月31日(木・現地時間)から3日(日・現地時間)にかけて、カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。ブラジリアン柔術の頂点を極める同大会レビュー、ここではライト級の並み居る強豪を倒し、上位進出を果たしたヘナート・カヌート、そして旋風を巻き起こしたエスペン・マティエセンの戦いを中心に群雄割拠のライト級の戦いを追いたい。
恐るべき選手層の厚さを誇った今年のライト級では、序盤から世界最高峰の選手たちによる壮絶な生き残り戦が展開した。特に岩崎やシルヴェリオが参加したブロックでは、優勝候補たちが次々に消えてゆくことに。まず今年のヨーロピアン王者のマイケル・ランギが、ヘナート・カヌートにアドバンテージ差で敗北。カヌートは準々決勝にてシルヴェリオにも競り勝った。
同ブロックもう一つの準々決勝では、ブロック本命と思われたJT・トレスが、元ミドル級世界準優勝者のヴィトー・オリヴェイラと激突。息詰まるテイクダウン合戦が繰り広げられたが、中盤オリヴェイラはトレスの道着を引き寄せてからの大外刈り一閃。これで2点を奪って上のポジションを取ったオリヴェイラは、その後のトレスの下からの反撃を持ち前の強力なベースと低く重いプレッシャーで遮断して勝利。
ランギとトレスという、過酷なブロックを勝ち抜く最有力候補と思われた二人が準決勝前に揃って脱落したのだった。そして準決勝では、カヌートがレフェリー判定でオリヴェイラを下して初の決勝進出。ランギ、シウヴェリオ、オリヴェイラを連破したカヌートのこの快進撃は、1月のヨーロピアンでの岩崎の勝利の価値がどれほど高いものだったかを示しているだろう。
もう一つのブロックでも旋風を巻き起こした選手がいた。今年のワールド・プロ柔術を制したノルウェーのエスペン・マティエセンだ。初戦でマイケル・リエラ・ジュニアに競り勝った23歳の新黒帯は、二戦目で元世界王者のセルシーニョことセルソ・ヴィニシウスと対戦し、ベリンボロからバックを奪ってチョークで攻撃。最後はヴィニシウスの場外逃亡に追い込んでの、実質的に完勝に等しい反則勝ちを得た。
そして準々決勝では極め技師エドウィン・ナジミと対戦。ナジミの強烈なパス狙いを柔軟な体を利したインヴァーテッドを用いて防いだマティエセンは、内回りのベリンボロで崩す。ナジミもダブルガード状態から得意の足関節を狙うが、マティエセンはその足を流してレッグドラッグから上を奪取する。
さらにすぐにパスを奪ってサイドについたマティエセンは、キムラグリップでナジミの右腕をキャッチ。続いて腕十字狙いを見せてからバックに移行すると、すぐに送り襟絞めを極めるという流れるような連続攻撃で、圧巻の一本勝ちを収めた。
こうしてリエラ・ジュニア、セルシーニョ、ナジミという強豪3人を連破した北欧の旋風マティエセンは、世界4連覇中の大本命、ルーカス・レプリとの準決勝戦を迎えた。セルシーニョとナジミを打ち破ったオープンガードからのベリンボロは、世界最高のパスガードの使い手レプリのトップゲームをも崩してしてしまうのか。技術的な面でも大注目の一戦を迎えた。