【UFC224】ブラジリアンの祭典。メインでアマンダ・ヌネスに挑戦するペニントン、受動的ファイトの妙
【写真】ブラジル人はホームの熱烈なサポーターの声に萎縮するという一面も見られることがあるが、果たしてヌネスは…… (C)Zuffa LLC/Getty Images
12日(土・現地時間)、ブラジルのリオデジャネイロにあるジュネスアリーナでUFC 224「Nunes vs Pennington」が開催される。
ブラジルにおけるPPV大会は、あくまでもブラジリアンが主役。Fight Nightで地域性が色濃くでるのは当然だが、PPVショーでもブラジル色が強くなるのは偏にブラジル人ファイターの強さからだ。
メインは世界女子バンタム級王者アマンダ・ヌネスの防衛戦。ホナウド・ジャカレはブラジリアン・キラーのケルヴィン・ガステラムを迎え撃ち、ヴィトー・ベウフォートとリョート・マチダは同朋対決、米国生まれながら両親がブラジル人のマッケンジー・ダーンの母国初MMAなど、プレリミからメインカードまで全試合にブラジリアン・ファイターが出場する。
そんなブラジリアンの祭典で、トリを務めるヌネスは2014年9月以来3年8カ月振りの母国での試合で、3度目の防衛戦をラケル・ペニントンを相手に行う。ミーシャ・テイトを破り王座奪取、ロンダ・ラウジーを破って初防衛に成功したヌネス。そんな先人たちがケージを去った今、オクタゴンの女子MMAを引っ張る存在となっている。
挑戦者ペニントンは現在4連勝中で、なんと世界戦が1年半振りの実戦となる。ペニントンは真っ向勝負ができるファイターだが、それを支えているのが打撃と組み技、寝技と全ての局面で受動的な試合運びができるからだ。やや力が落ちていたとはいえ、前回の試合ではテイクダウンとグラップリングに賭けたようなミーシャが、最終的にはテイクダウンに成功しても倒すまでに逆に削れてしまったシーンこそ、ペニントンの強さを垣間見せている。
さらに倒されてもスプロールに持ち込み、ここで離れる選択ができなかったミーシャは逆にテイクダウンを許し、バックを取られ、最終的には引き込むという蟻地獄のような展開に陥ってしまった。この試合では左ジャブに代表されるように打撃でも成長の跡を見せたペニントンの真骨頂は、現時点で最後の敗北となったホーリー・ホルム戦といえるだろう。
オクタゴン一のアウトボックス系女子ストライカーといっても過言でないホルムに対し、さらに堅固なアウトボックスを見せ、焦れて出て来たところでカウンターのテイクダウンやパンチを見せることで、スプリット判定に持ち込む接戦を見せた。
もちろん、ペニントンは積極性が問われポイントを失う危険性もあるが、あの頃とは打撃が進化している。2度のヴァレンチーナ・シェフチェンコが論争を伴った判定勝ちという薄氷を踏む思いで勝利しているヌネスは、距離のマネージメントに長けたファイターを苦手にしている面があり、その前進力でペニントンを捕獲できるかどうかが勝負の鍵となる。
加えて先に挙げたテイクダウン・ディフェンスでの粘り強さと、上下どちらでも防御能力の高いペニントンが、5Rに渡り組みや寝技を交えたファイトでヌネスを焦らし、フラストレーションを与えることができれば、王座交代の可能性は十分にあるメインの世界戦といえるだろう。
■UFC224対戦カード
<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]アマンダ・ヌネス(ブラジル)
[挑戦者]ラケル・ペニントン(米国)
<ミドル級/5分3R>
ホナウド・ジャカレ(ブラジル)
ケルヴィン・ガステラム(米国)
<女子ストロー級/5分3R>
マッケンジー・ダーン(ブラジル)
アマンダ・クーパー(米国)
<バンタム級/5分3R>
ジョン・リネケル(ブラジル)
ブライアン・ケレハー(米国)
<ミドル級/5分3R>
リョート・マチダ(ブラジル)
ヴィトー・ベウフォート(ブラジル)
<ミドル級/5分3R>
セザー・フェレイラ(ブラジル)
カール・ロビンソン(米国)
<ヘビー級/5分3R>
アレクセイ・オレイニク(ロシア)
ジュニオール・アルブニ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ダヴィ・ハモス(ブラジル)
ニック・ハイン(ドイツ)
<ウェルター級/5分3R>
エリゼウ・カポエイラ(ブラジル)
ショーン・ストリックランド(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ヴァルリー・アウベス(ブラジル)
スルタン・アリエフ(ロシア)
<ミドル級/5分3R>
ターレス・レイチ(ブラジル)
ジャック・ヘルマンソン(スウェーデン)
<ウェルター級/5分3R>
アルベウト・ミナ(ブラジル)
ラマザン・エミエフ(アゼルバイジャン)
<ミドル級/5分3R>
マルク・ペレス(ブラジル)
ジェイムス・ボクノヴィック(米国)