【UFC101】初開催フィラデルフィア メインはBJ×ケン・フロ
8日(土・現地時間)米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのワコビア・センターではUFC101『DECLARATION』が開催される。大会名デクラレイション(=宣言)は、フィラデルフィアが1776年7月4日に独立宣言がなされた土地から取られたものと思われる。
【写真】天才BJ・ペンだが、ライト級のレベルアップは著しくケン・フロ戦は決して絶対的有利とはいえない。いや、むしろ不確定要素が多いのは王者の方かもしれない (C) ZUFFA
メインはUFC世界ライト級選手権試合BJ・ペン×ケニー・フロリアン。NBAのフィラデルフィア76ersもこの独立宣言の年を指すチーム名で、同大会が開催されるワコビア・センターが本拠地だ。
NBAファンの間ではコアステート・センター、あるいはファーストユニオン・センターという名称も馴染み深い同アリーナ。ネーミングライツの譲渡や親会社のファーストユニオン・バンクとワコビア・バンクの買収などにより、現在の名称となっており、NBA開催時であれば21600人を収容する。
1年前までMMA開催が認められなかったペンシルバニア州進出は、UFCにとって東部ニューヨーク州やマサチューセッツ州進出への足がかりとなる。
ボストンやニューヨーク開催を目指すうえでも試金石となる大会の主役は、BJとケン・フロ。王者のウェルター級挑戦もあり、待ちに待ったライト級頂上決戦がいよいよ実現となる。
長らくその頂点の座に君臨しているように思われるBJだが、実はこれが2度目の王座防衛戦。キャリア20戦目という節目の一戦となるBJは、ライト級に限ると9勝1敗1分、8つの試合が一本もしくはKOという抜群の成績を残している。
そんなBJに対し、「試合を終わらせる」と宣言したケン・フロ。2000年ブラジリアン柔術世界選手権で、非ブラジル人として初めて黒帯の世界王者という勲章を引っ提げてUFCでMMAデビューを果たした王者とは対照的に、今もMMA開催が認められないマサチューセッツ州ボストンでキャリアをスタートさせた。
【写真】MMA版間合いの達人ケニー・フロリアン。ムエタイ+柔術でUFCに技術革新をもたらした (C) ZUFFA
TUFシーズン1のキャストに抜擢され、ミドル級という階級で決勝進出を果たすも、全米ライブ中継となったファイナルではディエゴ・サンチェスに完敗したケン・フロ。この時点で戦績は2勝2敗(TUF内での非公式戦を加えると、4勝2敗)という目立った点のないファイターの一人だったといっても過言でなかった。その後、ウェルター級の2試合を挟み、ライト級に転向。2戦目でショーン・シャークとライト級王座決定戦を行い、大流血の死闘の結果、判定負けとなった。この2006年10月の一戦以降、現在まで6連勝を遂げている。
対戦相手は、三島☆ド根性ノ助、ディン・トーマス、ジョー・ローゾン、ジョー・スティーブンソンと競合揃い。唯一の判定勝ちの相手も飛ぶ鳥を落とす勢いにあったロジャー・フエルタで、判定といってもジャッジ三者が3-0という圧勝だった。
そのフエルタ戦こそ、ケン・フロの見事なムエタイ・スキルが見られた彼の実力を示す一戦である。ラッシングパワーの権化=フエルタに対し、前蹴りで距離を作り、攻め手を封じると、闇雲に突進してくるところにカウンターでヒザを合わせるという戦法で付け入る隙を与えなかった。
BJと比較すると、派手な戦績こそ挙げていないが、柔術の総本山グレイシー・バッハに何度も足を運んだ、グラウンド・テクニックにも秀でていることは、スティーブンソン、ローゾン、三島というファイターから一本勝ちを収めている事実からも明らかだ。
3歳年長のチャレンジャーを迎え撃つBJ。その縦拳で放たれる左ジャブの精度の高さ、そして柔軟なヒザを利したテイクダウンディフェンスという二つの武器が、GSP戦では打ち破られたが、これがウェルター級だったからなのか、それとも彼の戦い方が多くのファイターに研究されてしまっているのか。
劇的なまでのMMAの進化にあって、9年に渡りトップとして活躍し続けるBJの能力を改めて伺い知ることができる――、ケン・フロとの防衛戦になるだろう。
■UFC101対戦予定カード
<UFC世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]BJ・ペン(米国)
[挑戦者]ケニー・フロリアン(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
アンデウソン・シウバ(ブラジル)
フォレスト・グリフィン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
アミール・サダロー(米国)
ジョニー・ヘンドリックス(米国)
<ミドル級/5分3R>
ヒカルド・アルメイダ(ブラジル)
ケンドール・グローブ(米国)
<ライト級/5分3R>
ジョシュ・ニアー(米国)
カート・ペルグリーノ(米国)
<ライト級/5分3R>
シェーン・ネルソン(米国)
アーロン・ライリー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
タムダン・マックローリー(米国)
ジョン・ハワード(米国)
<ミドル級/5分3R>
ターレス・レイチ(ブラジル)
アレッシオ・サカラ(イタリア)
<ウェルター級/5分3R>
マット・リデル(米国)
ダン・クレーマー(米国)
<ライト級/5分3R>
ジョージ・ソティロパロス(豪州)
ロブ・エマーソン(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ダニーロ・ビルフォート(ブラジル)
ジェシー・レノックス(米国)