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【ONE WS】リッチ・フランクリンが話したこと─01─「ファイターを助けることになれば」

Rich Franklin【写真】トライアウトから4週間、ウォリアー・シリーズに関して正式発表がないのは気になるが…… (C)MMAPLANET

1月16日に行われたONE Warrior Seriesのトライアウト。その合否や契約の是非については、色々と論議の対象になっているが、ここでは同トライアウトを監修したリッチ・フランクリングのインタビューをお届けしたい。

ONE WSとは一体、何を目的としたプロジェクトなのか。そして、フランクリンが日本人ファイターや日本のMMA界についてどのような感覚でいたのか。トライアウト直後が話した内容は、彼の実直さが表れていた。


──今回の来日目的を改めて、教えていただけますか。

「ONEチャンピオンシップがアジア全土でイベントを開催していることは分かってもらえていると思う。契約選手も現地のローカルショーなどで戦ってきた。ONEのネットワークによるジムの選手なども育ってきているけど、やはり試合やジムを見歩いて新しいタレントを探すというのは、膨大に時間が掛かってしまう。

そのためにONEでは選手を育てるためのスモール・リーグを創設することになったんだ。それがONEウォリアー・シリーズなんだよ。ここで活躍したファイターが、ONE本戦で戦うことができるようになる。そのONE SWに出場できるファイターのトライアウトを、リョー・チョーナンの協力を得て行うために日本を訪れたんだ」

──つまりONEと契約するためのファイターが戦う人材育成イベントが開かれ、そこで戦う選手の発掘にやってきたということですね。

「そう北京で同じようにトライアウトを実施し、東京の後はそのままソウルへ向かうよ。12月にはバンコクとマニラでトライアウトを開いたので、今日が4度目の試みだった。ソウルでのトライアウトを終えて、できれば3月中に最初の大会を開きたいとは思っている。

人材育成大会は4試合契約、つまりトライアウトに合格し契約を結んだ選手は4度戦ってもらうことになる」

──そして、この試みのウィナーがONEとシックスフィギアの契約を勝ち取るということですか。

「まだ思案中だけど従来のONEとは違った小さなイベントを開催して……最初は慣れた土地のシンガポールが最適だろうね。そこから違う街でも大会を続け、10万ドルの契約を結ぶファイターを見つけるというモノなんだ」

──それはトーナメントになるということでしょうか。

「トーナメントではないよ。勝ち進んでも、勝ったり負けたりしても4試合を戦ってもらう。やはり勝利を続けているアスリート同士の対戦を組んでいくことになるだろうから、契約するのは4勝0敗の戦績を残している選手になる公算が高いだろうね。

ただし、途中で負けた選手も試合機会は与えるよ。最初の試合で負けたアスリートも巻き返しのチャンスはある。1度の敗北で、全てを失うわけじゃない。

試合間隔も毎週ではないし、1カ月からもう少しはインターバルを置くことになる。それに2勝2敗で契約を終えた選手にも、もう2試合の契約延長を申し入れることもあるだろう」

──同じ国籍のファイターが戦うこともあるのですか。

「それはあり得る。ただし、全ての出場選手はトライアウトで選抜されるから、初戦からそういうマッチメイクはしないよ。つまりに日本人選手の最初の相手はタイ、フィリピン、中国、韓国のいずれかの選手になる。その後は試合をこなしていくなかで、同じチームで練習していなければ日本人同士の対戦もあり得るだろうね」

──セレクションの開催される国では、日本と韓国のレベルが一番高いと思われます。

「MMAというのは色々なマーシャルアーツの要素が混ざっている。タイだと物凄くムエタイに造詣があって、でも他ができないなんて選手がいる。そういう意味でも日本人選手が一番、MMAとして多くの局面に適した力を持っていることは僕も理解しているよ。

だから、今日の合否の決定も本当に苦労した。他の国ではもっと良い選手とそうでない選手が明らかだったんだ」

──合格者の発表前に他のイベントで試合が決まっている選手、そして契約下にある選手は教えて欲しいと言っていました。日本のMMAでは複数契約というものはあまり存在せず、契約書に関しても試合の度にかわす。反面、口約束という文化があります。

「そうだね……今も少し話を聞いたら、年間のトーナメントに出る約束をしているという選手がいた。でも、その試合を消化するだけの契約をしていないとか……」

──そうですね、それが日本のMMA界のならわしのようなところがあります。でも、契約社会でいえば契約は交わされていないので、その選手が今回のONE WSに限らず、他で契約することも可能なはずです。

「いや、僕らは日本にやってきた……いわばゲストの身だ。だから日本のやり方に従うべきだろう。無暗にトラブルを起こしたくはないんだ」

──なるほど。日本のMMAは他の国の発展と比較すると、低迷期にあります。以前のように国際戦が組まれず、若い選手は特にそういう部分で経験不足なのでこのプロジェクトで、少しでも若い選手が経験を積むことができればと思います。

「僕らもそのつもりだよ。これはアジア全体の選手に対してチャンスになる。バンコクで聞いた話では、試合に出る選手に対してコーナーマンの旅費も出ないというんだ。このプロジェクトが、少しでそんなファイターを助けることになれば良いと考えている」

<この項、続く

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