【EJJC2018】ヨーロピアン黒帯フェザー級に挑む、世羅智茂─01─「大塚戦は悲劇を通り越して喜劇」
【写真】インタビュー前編は2017年を振り返ってもらった (C)TAKAO MATSUI
16(火・現地時間)から21日(日・同)までポルトガル・リスボンのパヴィラォン・ムルチウソス・ジ・オジヴェラスでIBJJF主催のヨーロピアン柔術選手権2018が開催される。
海外の強豪選手が揃って参加する同選手権に、日本のトップランナーもエントリーしている。カルペディエムに移籍して結果を残し始めた世羅智茂は、黒帯になって初の海外挑戦となる。初参戦の世羅が、海外の強豪を相手にどんな試合を見せてくれるのだろうか。大会を直前に控えた新星に意気込みを訊いた。
Text by Takao Matsui
――昨年は、カルペディエムへ移籍したこともあり激動の1年だったのではないでしょうか。
「そうですね。移籍して最初の年だったんですけど、3、4ヵ月はなかなか結果を出せずに苦しみました。6月の全日本ノーギで勝つまでは、2大会に出場しましたが勝てなくて躓きましたね」
――新しい環境で焦りもあったのかもしれませんね。全日本ノーギはアダルトエキスパートオープンクラスで優勝、ライト級は岩崎正寛選手とクローズドアウトという結果でしたが、勝因は何だったと思いますか。
「ギよりもノーギの方が、やりやすかったのかもしれません。昨年はノーギやグラップリングの大会にも出ましたが、負けなしだったんです。今成(正和)さんとの引き分けはありましたが、あとは無敗でした」
――TTFチェレンジにおける今成選手との試合はMMAPLANETのインタビューで語られていましたので割愛しますが、世羅選手はノーギが得意ということになるのでしょうか。
「あまり意識はしていないんですけど、結果として昨年はそうなりました。層の違いもあるでしょうし、柔術ではラペラや道着を使って戦うよりも、ギロチンとかフックガードを使う方が多いので、スタイルとしてはノーギの方が合っているのかもしれません。もちろん両方で、結果を残していきたいと思っています」
――道着有りの大会を振り返ってみていかがでしたか。
「アジア選手権やワールドプロの予選でブラジルの選手と対戦することができたので、大きな経験になりました」
――そのアジア選手権は、あと一歩まで勝ち進みました。
「昨年からフェザー級に落としたんですけど、アジア選手権から動けるようになってきました。決勝の八巻祐選手との試合は、ちょっとバテてしまった部分はありましたが、それまでの3試合は動けていたと思います」
――試合の間隔が少なく厳しかったように見えました。
「確かにそうですが、それはみんな条件が一緒ですから」
――ちなみに何キロほど減量をしているのでしょうか。
「3、4キロですね。それまでライト級では減量なしで戦っていたので、慣れて動けるようになるまでは厳しかったです」
――決勝は八巻選手にラペルチョークで一本負けを喫しました。
「先ほども言いましたが、ラペラを使った動きの課題が浮き彫りになりました。そこを克服できるように、今は取り組んでいます」
――全日本選手権では、大塚博明選手と準決勝で対戦して……。
「ああ、あの試合ですね(苦笑)」
――9-0と圧倒的にリードしておきながら、残り1分で腕十字による一本負けでした。
「はい。負けた瞬間、会場の盛り上がりを見て、絶対に後で言われる試合になったなと思いましたよ(笑)」
――一本を取られるまでは、勝てると思ったのではないですか。
「アハハ、そうですね。精神的には余裕を持って戦っていました。最後、腕をすくって一本を狙いに行けるポジションだったんですけど……、大塚さんのカウンターの切り返しを読めなかったです」
――あの試合をことはトラウマになっていますか。
「うーん……、あの試合は僕の中で悲劇を通り越して喜劇になっているので、笑うしかないですね。漫画のように、あまりにも劇的に逆転負けを喫してしまいましたから。その後のアジア選手権で大塚さんに勝てたので、笑えるレベルになりました」
――大塚選手と再戦した際は、気持ちが違ったのではないですか。
「そこまではないですね。またか、みたいな感覚です。腕十字に気をつけようと」――笑うレベルになったので聞きやすくなりましたが、あの逆転負けは油断があったのでしょうか。
「結果的にはそうでしょうね。一本を取りたいという欲が出てしまったのは事実です。おそらく7、8割の選手が固めにいく場面だったと思いますので、いい経験になりました」
<この項、続く>