【UFN123】世界最高グラップラー=ダヴィ・ハモス、剣が峰のオクタゴン2戦目
【写真】MMAは全ての格闘技の良さも出せる戦い。なので、この距離も作れる(C) GLEIDSON VENGA
9日(土・現地時間)、カリフォルニア州フレズノのセーブマート・センターで開催されるUFC Fight Night123「Swanson vs Ortega」。フェザー級ランカー新旧世代交代対決=カブ・スワンソン×ブライアン・オルテガがメインの同大会でアーリー・プレリミに出場する1人のファイターに注目したい。
第2試合でクリス・グラッツマーカーと対戦するダヴィ・ハモスだ。2015年ADCCサブミッション・レスリング世界選手権の77キロ級でジルベウト・バーンズ、そして道着柔術ライト級最強のルーカス・レプリを下して世界王者となったハモス。特にあのレプリからタップを奪った飛び込み腕十字の鮮烈さが、今も瞼の裏に焼き付いている柔術ナードは世界中にいるはずだ。
柔術家だが、特にノーギで強さを発揮しテイクダウン・ポイントが後半から認められるADCCではテイクダウン&スクランブルからのバック奪取というMMAに通じる流れで勝利を量産してきた。
スタンドだけでなくシッティングからのアームロドラッグ&バック奪取、もしくはテイクダウンorリバーサル。シングルレングからのバック奪取あるいはテイクダウン。ニータップ的な差し上げテイクダウンの強さも抜群で、トップを奪取すると怒涛のパスガードの圧力でスクランブルに持ち込み、バックマウントを奪うことができる。
ハモスはそのパスの強さがあるので、懸命に足をきかせてくるファイターのその足を飛び越えて一気に腕を取る――彼の代名詞となった飛び込み十字が可能になる。このようにアグレッシブなグラップリングがハモスの持ち味。ノーギでこれだけの得意技を持ち、世界最高峰で結果を残しているのだからオクタゴンのなかでも、その能力を十分に発揮できるはずだと多くの柔術界の人間が、今年3月のハモスのUFC初戦を前にして思っていたに違いない。
しかし、同じ柔術家のセルジオ・モラエスの長いリーチと突き放す前蹴りに対し、踏み込んでワンツー、それをかわされ次なる手がないという内容で、彼は成す術なく判定負けを喫してしまった。上に書き並べたハモスの得意パターンは何一つ見られず、牽制と踏み込みに終始した打撃戦に敗れた。
もちろんグラップリングとMMAは違う。打撃があることによって、その距離には明確な差が存在する。現にハモスの得意のテイクダウン&スクランブルは、頭が近いレスリングのスタンドポジションから繰り出されている。ただし、MMAでもこの距離は作ることは当然のように可能だ。
モラエス戦のハモスは、相手の打撃を見ることに専念し、ダメージを受けないことを重視するばかりに、パンチこそ振るものの余りにも守備的なファイトに終始してしまっていた。他団体で強さを見せていたファイターが初めてのUFCで委縮するか、力が入り過ぎて実力を発揮できないケースは決して少なくなく、UFCジッターという言葉も存在する。
8カ月前のハモスがUFCジッターであったことを願いたい。そうでなければ、彼はMMAの特性に合わないグラップラーということでそのキャリアは終わりを迎えるだろう。相手のパンチを食う覚悟が、絶対的に必要だ。1発2発被弾しても距離を詰めてテイクダウンを決める――あるいはクリンチから頭のついた形を作り、自分が得意とする攻撃手段に出ることができるか。
そこに集約されるハモスのグラッツマーカー戦は、UFCファイターとして、正念場を迎えた世界最高のグラップラーの剣が峰となる戦いだ。
■ UFN123対戦カード
<フェザー級/5分5R>
カブ・スワンソン(米国)
ブライアン・オルテガ(米国)
<フェザー級/5分3R>
ジェイソン・ナイト(豪州)
ガブリエル・ベニテス(メキシコ)
<バンタム級/5分3R>
マルロン・モラエス(ブラジル)
アルジャメイン・ステーリング(米国)
<ライト級/5分3R>
スコット・ホルツマン(米国)
ダレル・ホーチャー(米国)
<ミドル級/5分3R>
アリク・アンダース(米国)
マルク・ペレス(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
ベニト・ロペス(米国)
アルバート・モラレス(米国)
<女子フライ級/5分3R>
アレクシス・デイヴィス(カナダ)
リズ・カモーシェ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ルーク・サンダース(米国)
アンドレ・スークムタズ(米国)
<フライ級/5分3R>
アレックス・ペレス(米国)
カールス・ジョン・デ・トーマス(フィリピン)
<バンタム級/5分3R>
フランキー・サエンツ(米国)
マラブ・デヴァリシビリ(米国)
<バンタム級/5分3R>
ユーリ・アルカンタラ(ブラジル)
アレハンドロ・ペレス(メキシコ)
<フライ級/5分3R>
エリック・シェルトン(米国)
ジェネル・ラウサ(フィリピン)
<ライト級/5分3R>
クリス・グラッツマーカー(米国)
ダヴィ・ハモス(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
アントニオ・ブラガ・ネト(ブラジル)
トレヴィン・ジェイルス(米国)