【ADCC2017】最大激戦区88キロ級─05 ─優勝はダナハー門下の22歳 、ゴードン・ライアン!!!
【写真】昨年4月のEBI06の優勝から1年半で、ライアンはノーギグラップリング界の頂点に立ってしまった(C)SATOSHI NARITA
9月23日(土・現地時間)と24日(日・同)の2日間、フィンランドのエスポーにあるエスポー・メトロ・アリーナでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・レスリング選手権が行われた。
2年に1度のノーギグラップリングの世界最高峰の舞台で行われた戦い。今回は最大激戦区となった88キロ級ファイナルの模様をレポートしたい。
<88キロ級決勝/20分1R>
ゴードン・ライアン(米国)
Def.11分34秒by ギロチンチョーク
キーナン・コーネリアス(米国)
超大物が集結したこの階級の決勝は、米国人同士の組み合わせに。スタンドでライアンはしきりにキーナンの頭を抱えて下げさせてのギロチンを狙う。やがてその動きに乗じて、キーナンはライアンの右足を抱えることに成功。そのままライアンの体勢を崩してみせたコーネリアスだが、ライアンはやがて体勢を立て直して右足を振りほどいてみせた。
その後キーナンはシングルからのボディロックでライアンのサイドに組みつくことに成功。ここでライアンが前傾姿勢になると、キーナンのセコンドのアンドレ・ガルバォンからはすかさず『足関節に気をつけろ!』との声が飛んだ。が、ライアンは(兄弟子のゲイリー・トノンのように)カニバサミや前転を狙うのではなく、オーバーフックから投げを放って体勢を戻す。
続くスタンド戦では今度はライアンが逆にシングルでキーナンの片足を捕獲し、回してのテイクダウンに成功する。引き続きヒザを両足にこじ入れる等圧力をかけてのパスを狙うが、極めて柔軟な股関節を持つキーナンは、インバーテッドガード等を使って巧みに防ぐ。そのうちライアンが足首を持とうとすると、ガルバォンが今度は『エスティマロックに気をつけろ!』とアドバイスした。
やがてライアンは立とうとしたキーナンを追いかけてゆき背後に付こうとし、さらに前に落ちながらも腕を狙ってゆく。しかしキーナンはその腕を引き抜き、両者はスタンドに戻った。ここでライアンは再びキーナンの首をスナップダウンで下げさせ、アームインギロチンの体勢に。そのまま後方にキーナンを投げるが、体勢を立て直され首も抜かれる。
試合が加点時間帯に入ってからも、ライアンはキーナンの首を抑える動きを見せる。対するキーナンが、シングルからまたもライアンの右足を捕獲すると片足で立ちながらアームインギロチンの体勢に。深く入ったかライアンの右足を離すキーナン。
ライアンは首を捻り上げながら前進し、キーナンが下がったところで後方回転。マウントの状態を作って絞めあげるとキーナンがタップ!! 初参戦、弱冠22歳のライアンが世界の頂点に立った。
試合中何度も狙っていったギロチンで、百戦錬磨のキーナンをついに捕らえてみせたライアン。ゲイリー・トノン、エディ・カミングスという極め業師を輩出してノーギグラップリング界を揺るがすジョン・ダナハー一門だが、真の最終兵器はこの若者だったこととなる。
近年ダナハー勢は、その最新足関節技システムで脚光を浴びているが、もともとはギロチンをはじめとした首技で名高い軍団。ジョー・ダースにダースチョークも伝えたのもダナハー本人であり、また米国五輪代表トラヴィス・スティーブンスが12年のロンドン五輪準々決勝にて、グルジア代表のアブタンディル・チリキシビリを仕留めたギロチンもダナハー直伝だ。
マスターマインド・ダナハー、兄弟子のカミングス&トノン譲りの技術に加え、彼らにないフィジカルを兼ね備えたライアンが今後、どのような進化&変貌を遂げていくのか。グラップリングの未来が、そこにある。
■リザルト
【88キロ以下級】
優勝 ゴードン・ライアン(米国)
準優勝 キーナン・コーネリアス(米国)
3位 シャンジ・ヒベイロ(ブラジル)
4位 クレイグ・ジョーンズ(豪州)