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【UFC214】7年前の×ガルバォン戦から推測する──ウッドリー×マイアの世界ウェルター級選手権試合

Woodley vs Maia【写真】マイアの出方、ウッドリーの反応。非常に興味深い一戦(C)Zuffa LLC/Getty Images

29日(土・現地時間)、カリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催されるUFC214「Cormier vs Jones 2」。今大会では3階級の世界戦が組まれている。


世界ライトヘビー級選手権試合──ダニエル・コーミエー×ジョン・ジョーンズのグラッジマッチ、ついにクリス・サイボーグが実だけでなく名も世界の頂点に手を掛けたトーニャ・エヴィンガーとの世界フェザー級選手権試合。この2試合も当然のように興味深いが、スタイルズ・マッチアップとして世界ウェルター級選手権試合はより興味がそそられる。

王者ウッドリーはミズーリ大レスリング部時代に2度のD-1オールアメリカンに輝いているレスラー。一方、チャレンジャーのデミアン・マイアは2007年のADCCを制し、コパドムンドで世界の頂点を極めた柔術家だ。単純に考えてテイクダウンの強いフォークスタイル・レスラー×一旦下になっても上を取り返すことに長けた柔術家の対戦となる。

去年の7月にロビー・ローラーを右一発で粉砕し王者になったウッドリーにとって、スティーブン・トンプソンとの厳しい連戦を経て3度目の防衛戦、マイアは7連勝でミドル級時代に続き、2度目のタイトル挑戦権を獲得した形となっている。

ユニファイドルールの定着により、MMAがレスリング+打撃──下になっては判定勝ちができない時代に突入後、トップ柔術家がそのままMMAへ戦いの舞台を移す時代も終焉した。それ以降、マイアほど柔術の技術を使ってMMAで勝利を手にしてきたファイターはいない。マイアは打撃への対応力を高め、組みつく力を進化させることで、今も卓越した柔術の技術をMMAで存分に発揮できるようになった。

つまり、今やMMAにおいて柔術を前面に押し出すファイターは減り、ウッドリーは柔術家との対戦が非常に少ない。タイトルを獲得した相手のローラー、王座防衛を行なったトンプソンはスタイルが違うものの、共にストライカーだ。

それ以前の対戦相手を振り返ってみると組み技主体の選手と戦ったのは、2014年8月のキム・ドンヒョン戦、2013年6月のジェイク・シールズ戦まで遡る必要がある。ただドンヒョンは当時、ラフな打撃を押し出したファイトを転回し、寝技はおろか組み技の局面もないままウッドリーが秒殺KO勝利を収めている。

逆にシールズ戦は互いに距離を取り合い、シールズのケージへの押し込み、テイクダウン狙いを切る展開に終始したウッドリーは、自ら組むこともなく判定で敗れた。これ以前となると2010年10月のストライクフォース時代にマイアの元盟友、そして柔術ではマイア以上の実績を残しているアンドレ・ガルバォンを108秒でKOしているウッドリーだが、それもガルバォンが右を効かされ、テイクダウン狙い&引き込みという負のスパイラルに陥った上での圧勝だった。

もう7年近く前の試合になるが、マイアと他の柔術家の違いがこのガルバォン戦から端的に伺える。稀代の柔術家ガルバォンは打撃戦を打撃戦として挑み、そこにパンチを被弾し遠い位置からのテイクダウンに切り替えた。これを切られるとガードに移行するが、ウッドリーは寝技には付き合わない。スタンドに戻ったガルバォンは遠い位置からテイクダウンを仕掛け、引き込みを繰り返した結果、最後はテイクダウンにパンチを合わされ、背中が伸びた状態で腹ばいとなりパウンドに敗れた。

マイアの場合は立ち技で左を大きく振るい、右の被せるフックも持っている。さらに左の蹴りも見せるが、全ては組みつくための手段。そして、一気にテイクダウンではなく組みつくことを主眼にしており、組めばケージに押し込み、尻餅をつかせることを狙う。

ここから背中をつかせるための仕掛けのなかで、相手がスクランブルに持ち込んでくればバックキープ。背中をマットにつかせれば、柔術トップゲームへ。寝技でも狙いはパスを嫌がった相手のバックを制すること。

このようにマイアはバックコントロール、バックマウント主体のゲーム運びを軸として勝ち星につなげてきた。ガルバォン同様に引き込むこともある。その場合でも違いは密着度。しっかりと距離を潰して組み付くので、ハーフを取って腕を差してからシングルに即移動し、リバーサルを完成させることも可能だ。

つまりマイアはしっかりと距離を詰めて戦うことになる。ここでウッドリーが打撃を合わせて行くのか、距離を取って組みを嫌うのか。マイアもどこから強度の高い仕掛けを狙っていくのかが、この試合の焦点となる。

そのうえでマイアの踏み込みにウッドリーのカウンターが合致すれば短期決戦=ウッドリーの防衛の目が高い。組み合いになり噛み合えばマイアの試合となり、王者の耐久力が問われる。噛み合わなければ、ウッドリー×シールズ戦の再現もありえるといった具合か。このような点を踏まえて5Rの長丁場で、どのような駆け引きが見られるのか、楽しみたい。

■ UFC214対戦カード

<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]ダニエル・コーミエー(米国)
[挑戦者]ジョン・ジョーンズ(米国)

<UFC世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]タイロン・ウッドリー(米国)
[挑戦者]デミアン・マイア(米国)

<UFC世界女子フェザー級王座決定戦/5分5R>
クリス・サイボーグ(ブラジル)
トーニャ・エヴィンガー(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ロビー・ローラー(米国)
ドナルド・セラーニ(米国)

<ライトヘビー級/5分3R>
ジミ・マヌワ(米国)
ヴォルカン・オズテミア(スイス)

<フェザー級/5分3R>
リカルド・ラマス(米国)
ジェイソン・ナイト(米国)

<140ポンド契約/5分3R>
ヘナン・バラォン(ブラジル)
アルジャメイン・ステーリング(米国)

<フェザー級/5分3R>
ブライアン・オルテガ(米国)
ヘナト・モイカノ(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
アンドレ・フィーリ(米国)
カルヴィン・ケイター(米国)

<フライ級/5分3R>
ジャレッド・ブルックス(米国)
エリック・シェルトン(米国)

<女子ストロー級/5分3R>
ケイリン・カーラン(米国)
アレクサンドラ・アルブ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
ジョシュ・バークマン(米国)
ドリュー・ドバー(米国)

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