【Deep Cage】フェザー級新チャンピオン上迫博仁 「満足はしていない。目標はUFCしかない」
【写真】殴り勝つ、蹴り上げて勝つ。そこに至るまで、試合までのプロセスが思い通りにいかない戦いを勝利に導いた (C)TAKUMI NAKAMURA
15日(土)、東京都文京区の後楽園ホールで開催されたDEEP CAGE IMPACTでウェルター級、フェザー級、そしてメガトン級で3人の新チャンピオンが誕生した。
フェザー級王座決定戦で石司晃一と対戦した上迫博仁。1Rからスイッチ&フェイントのシャッフル戦法でジャブを当ててペースを掴むと、足払いで石司をこかして立ち際にサッカーボールキックを蹴る。さらにラウンド終盤には右ストレートでダウンを奪って鉄槌の追撃で攻め込んだ。
2Rに入ると石司のパンチを被弾する場面もあった上迫だが、ジャブでペースを取り戻し、このラウンドでもタックルで石司を崩してサッカーボールキックを狙う。3Rも上迫のジャブが冴え、最後はダブルレッグによるテイクダウンからサッカーボールキックを決めてKO勝ちを収めた。
ジャブで試合を組み立て、テイクダウンを交えたサッカーボールキックというDEEPルールならではのフィニッシュでベルトを巻いた上田上迫。試合後の控室ではフィニッシュまでの流れ、そして今後の格闘家としての目標を語った。
――石司選手にKO勝ちして第7代DEEPフェザー級王座に就いた上迫選手です。今はどんな心境ですか。
「うれしいのと……安心っすね。安心感がめっちゃ強いです」
――ベルトを獲ってホッとしたという想いですか。
「こうやってベルトを獲れたんですけど、それは賭けが当たったわけじゃなくて、今までやってきことが間違いじゃなかった。そういう勝ちなんです。それがうれしくてホッとした気持ちですね」
――フィニッシュはKOでしたが、顔の傷と腫れた唇が激闘を物語っています。
「実はボロボロなんですよ(苦笑)。相手の攻撃が的確というか、決して手数が多いわけじゃないんですけど、僕の方が単調になっていて、パンチをかぶされていた感じが多かったと思います。僕も大きいのを狙いすぎましたね」
――1Rはシャッフル戦法がハマり、完全に試合のペースを握っていましたよね。
「そうですね。1Rの時点では全然相手が出てこなくて『逆にこれは何か戦略があるのかな?』と思ったくらいなんですよ。でも2Rになると相手がじりじり前に出てきて。何か技を出してくるというわけではなくて、精神的な感じかな。気持ちで追い詰めてくるような感じでやりづらかったです」
――試合を通じてジャブが冴えていましたが、あれは練習していたものだったのですか。
「何にも練習してないです(笑)。1Rにバンバン左ジャブが入っていて、最初はたまたまかなと思ったんですけど、ずっと入り続けるんでこのまま左で削っていこう、と。大沢(ケンジ)さんとは最初から倒しに行くのではなくて、ダメージを蓄積させて後半に倒そうという話をしていたんですね。
そういう中で左がよく当たっていたんで、ずっと左で削り続けようと思いました。だからダメージを与えている手応えもありましたよ」
――相手に流れが傾きそうな場面でもジャブでペースを取ることが出来たと思います。
「そうですね。中盤~後半は左ジャブに助けられましたね」
――最後のサッカーボールキックは狙っていたのですか。
「すいません、あれも何も練習してないです(笑)。計量が終わってご飯を食べている時に『明日はサッカーボールキックありなんだよな? だったらこかして立ち際に思いっきり顔面蹴ってもいいんだぁ……』って。それでやってみた感じです」
――そうだったのですか!! とはいっても、3R通じてサッカーボールキックはタイミングよく入っていましたよね。
「一発目のサッカーボールキックも全然狙っていなくて。でもタイミング的には合っていたんですよね。で、3Rにもう一回やってみたらがっつり入ったって感じです。最後のサッカーボールキックは蹴った足に相手の顔面が密着するのが分かるくらい感触があって、『これは追撃する必要ないだろ』って思うくらい蹴り応えがありました」
――念願のベルト奪取だったと思いますが、デビューしてからここまでの道のりはいかがでしたか。
「いやぁ長かったですね。自分の中ではもっとすんなり獲れる予定だったんで、ちょっと遠回りしたかなと思います(苦笑)。でもこのベルトが最終目標じゃないし、このベルトを持って色々な大きな舞台で勝負していきたいです」
――レスリング出身の上迫選手ですが、スイッチ&フェイントのシャッフル戦法を身につけて、打撃でKOできる選手になったのも意外だったのではないですか。
「そうですね。最初はレスリング出身で組み主体の選手だったんですけど、腰とヒザを怪我しちゃった時に金原(正徳)さんにバンバンしごかれて……打撃を強くしていただきました(笑)。僕の打撃は大沢さんと金原さんに作ってもらったので、そういう人たちの前で打撃でベルトを獲れたのはうれしかったですね」
――ではここからの目標を聞かせてもらえますか。
「DEEPのチャンピオンにはなりましたけど、これで満足はしていないし、このベルトをぶら下げて色んなところで勝負していきたいですね。やっぱり僕は2015年にRoad to UFC: Japanに参加して、その時に『俺が目指すのはUFCしかない』と思ったんですよね。その気持ちは今も変わらないし、今でもUFCに出たいという想いを持っているので、ここから望みを捨てずに自分を信じてやっていきたいと思います」