【Bellator180】ヴァンダレイ・シウバ×チェール・ソネン、ついに因縁の大河ドラマが完結へ
【写真】長い道のりを経て、ついてに対戦することとなったソネンとヴァンダレイ(C)MMAPLANET
24日(土・現地時間)、ニューヨーク州シューヨークのMSGで開催されるBellator180「Sonnen vs Silva」。メインはイベント名にある通り、チェール・ソネン×ヴァンダレイ・シウバのライトヘビー級3回戦だ。
今回のビッグショーの記者会見で、ブラジルから衛星回線で出席したヴァンダレイに対し、「ブラジルのトイレにいるとは、見つけるのが大変だったぞ」と悪態をつき、試合に関してもMMAではなくケージファイティングだと宣言するソネン。
そんな彼とヴァンダレイの4年に渡る因縁を改めて追ってみたい。MMAに本格的なトラッシュトークを持ち込んだソネンは、まず同じブラジルのアンデウソン・シウバをターゲットに人種差別発言、さらには家庭内のことまで侮辱的に取り上げ、その暴言によりブラジル国民全体の嫌われ者となることに成功した。
2度に渡るUFC世界ミドル級王座挑戦に失敗したソネンは、そのターゲットをアンデウソンからヴァンダレイに変更する。2013年8月にマウリシオ・ショーグンをギロチンで下すと、ソネンはオクタゴンの中から次の対戦相手にヴァンダレイを指名した。
翌年2月2日、UFCではTUF Brazilシーズン03のコーチ対決となる両者の一戦を5月24日のラスベガス大会=UFC173で組むことを発表した。しかし、11日後にソネン×シウバを5月31日にブラジルで行うことを明らかに。ここから、両者を巡るMMA史上に残るドタバタ劇が、乱降下と急上昇を繰り返すローラーコースターのごとく展開されることとなる。
4月7日、5月31日=ブラジル決戦を再びUFCは覆し、7月5日のUFC175に変更された。これはこの1カ月ほど前にアスレチックコミッションが下した、テストステロン補充療法の禁止決定が絡んでいるという見方が大勢を占めていた。そして、その恐れていた禁止薬物使用問題が、両者のその後のMMAファイターを大きく変えていく。
UFC173ファイトウィーク中の5月23日の記者会見で、フェイスオフを演じたヴァンダレイとソネンだったが、5日後にUFCはヴァンダレイがネヴァダ州アスレチックコミッションによるライセンス発行のためのヒアリングを欠席し、ライセンスが発行されないために欠場することと発表する。そして、即ソネンは代役のヴィトー・ベウフォートと戦うことがアナウンスされた。
当然のようにヴァンダレイに罵詈雑言を浴びせ続けたソネンだったが、6月10日に彼自身が5月中に行われていた抜き打ちのドラッグテストで陽性反応が出たことが発覚してしまう。この時、ソネンは避妊薬としてアナストロゾールとクロミフェンを使用し「これは完全に合法。パフォーマンス向上やアンチエイジングに何ら関係ない」とコミッションと真っ向からやりあう姿勢を見せていた。
UFCも静視の構えだったが、その後2度目の抜き打ち検査でソネンからHG(※ヒト成長ホルモン)など、パフォーマンス向上薬の使用が認められるや──彼は現役引退を明言し、UFCもコメンテーター契約をも打ち切ることとなった。
この間、そしてこれ以降もヴァンダレイはライセンス発行に必要な手続きを行うことなく、ついにはUFC批判を繰り返し、契約の解除を求めるようになった。そして、RIIZINでのミルコ・クロコップ戦が幻と終わった2カ月後の昨年2月に、コミッションの出場停止期間が無期だったのが、3年に軽減されるや翌3月に出場停止期間が1年2カ月残っている状態でベラトールとの契約を果たした。
ソネンはWSOFを中継するNBCSNでカラー・コメンテイターを務めるなど、その後もMMA業界から重宝されていたが、ヴァンダレイと同様に昨年6月についにはベラトールと契約し、現役復帰へ。なんとも長い道のりの果てにチェール・ソネンとヴァンダレイ・シウバは、今週末にNYはMSGで拳を交えることとなった。
前述したようにMMAでなくケージファイトと言い切ったソネン、今年の1月に実現したティト・オーティズの引退試合での動きは全盛期と比較する次元にも達していなかったのも事実だ。対して、実に4年3カ月振りのMMAとなるヴァンダレイ。ソネンの発言の真意と自らの役割を理解し、その闘争本能が以前と変わりないなら、開始直後から猛突進、左右のフックを振り回すに違いない。
■Bellator180対戦カード
<ライトヘビー級/5分3R>
チェール・ソネン(米国)
ヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)
<ヘビー級/5分3R>
エメリヤーエンコ・ヒョードル(ロシア)
マット・ミトリオン(米国)
<Bellator世界ウェルター級選手権試合/5分5R>
[王者]ドゥグラス・リマ(ブラジル)
[挑戦者]ロレンツ・ラーキン(米国)
<Bellator世界ライト級選手権試合/5分5R>
[王者]マイケル・チャンドラー(米国)
[挑戦者]ブレント・プリムス(米国)
<ライト級/5分3R>
アーロン・ピコ(米国)
ザック・フリーマン(米国)
<Bellator世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者]フィル・デイヴィス(米国)
[挑戦者]ライアン・ベイダー(米国)
<フェザー級/5分3R>
ジェイムス・ギャラガー(アイルランド)
シンゾー・マチダ(ブラジル)
<ウェルター級/5分3R>
ネイマン・グレイシー(ブラジル)
デイブ・マーフォン(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ヘザー・ハーディー(米国)
アリス・ヨウガー(米国)
<ウェルター級/5分3R>
ライアン・クートゥアー(米国)
ハイム・ゴザリ(イスラエル)
<ライト級/5分3R>
ジェローム・ミックル(米国)
アンソニー・グラッチーナ(米国)
<168ポンド契約/5分3R>
ジョン・サラガド(米国)
ヒュー・マッケナ(米国)
<130ポンド契約/5分3R>
マチュー・リーゾ(米国)
セルジオ・ダ・シウバ(米国)
<ライト級/5分3R>
ネイト・グレッブ(米国)
ブラッドリー・ディジア(米国)