【Bu et Sports de combat】武術の叡智はMMAに通じる。岩﨑達也─01─澤田の勝利に見えた先を取る打撃
【写真】澤田の勝利の裏にあった先を取る前蹴り (C)SUSUMU NAGAO/SUSTAIN
MMA──Mixed Martial Arts。書いての字のごとく、マーシャルアーツがミックスされたものだ。ただし、このマーシャルアーツという英語は決して、武道でも武術でも、ましてや格闘技と日本語訳できるものではない。
そもそも日本語でも武道、武術、格闘技の境界線は曖昧だ。そして武道、武術、格闘技もイコールではない。ルールある戦いにおいて武道的格闘競技が存在する。格闘競技はコンバットスポーツという単語で言い表すことができるだろう。
その一方で、ルールあるコンバットスポーツのテクニックであっても、そのルールという規制を取っ払い、タガが外れると人を殺める術となる。
格闘技と武術は等しくない──なかで、なぜ武道的な動きがMMAで見られるのか。その多くは多分に武道的格闘競技のテクニックがケージの中で見られるケースがほとんどだ。ただし、その武道的格闘競技のテクニックには本来、格闘技とイコールでない武術、武道の叡智が根底にある。
MMAと武術は同列ではない。ただし、根っこの部分なのか葉先の部分なのかは分からないが、通じているという観点の下、剛毅會空手・岩﨑達也宗師に話を訊いていきたい。
まずはその実例として、4月23日のプロ修斗公式戦で岩﨑氏の指導を受ける澤田龍人×木内崇雅の一戦を一例として、MMAに生かされる武の叡智を探り始めたい。
【先が取れた打撃と先が取れなかった打撃】
<01 先が取れなかった打撃>
<02 先が取れた打撃>
先を取ることで、木内の反撃=パンチを返しても効かせる攻撃にならない。この判断の下、澤田はラッシュを掛けることとなった。ところで、ここでいう先とは何なのか。
写真を撮るにしても、後者の先が取れた攻防は実はストロボを炊いた分解写真を撮ることができなかった。よって、シャッタースピードとISOを上げて撮影している。なぜそうなってしまうのか──も、先を取るとはどういうことなのかという部分に関係してくる。
このようなMMAに生かせる武術の叡智とは何なのかを今後、岩﨑氏の語りで追及していきたい。