【Gladiator003】44歳、寒川慶一のMMAチャレンジ<01>「練習することが楽し過ぎて」
【写真】1972年10月23日生まれの44歳、神戸にSFKを開いて11年目を迎えた寒川 (C)MMAPLANET
3月5日(日)、和歌山市の和歌山ビッグウェーブで開催されるGLADIATOR003。昨年6月以来の本拠地でのイベント開催のメインのバンタム級王座決定戦でバン・グヮンギと対戦する寒川慶一。
神戸、いや関西を代表するキックボクシングジム=SFKの代表を務め、キックではJ-NETWORKスーパーライト級王者となり、K-1にも出場経験がある寒川がなぜ、2年3カ月振り2度目のMMAを戦うのか。
19日、HEATで教え子の皇治がISKA世界ライト級王座を獲得した直後に、45歳の挑戦について尋ねた。
──愛弟子の皇治選手がISKA世界王座を獲得しました。おめでとうございます。
「ありがとうございます。映像を見てヨーロッパの空手流というか、ハイキックが変則的でローが強い選手だと分かっていました。ただ、パンチを振り回してくることも分かっていたので、ローとボディを執拗に狙う。
ボディを打つときは頭を下げるとハイキックが危ないのでそこは注意していました。ガードが開いているので、真っ直ぐ打つのとか、対策してきたことが出たと思います。
予定通りの動きで勝てましたね。アイツは『2Rで倒す』って言っていましたけど、僕はタフな選手やって分かっていたので。他の試合を見ても、打たれ強かった。だから『絶対に5Rまでいく』と言い続けてきました(笑)」
──そんな皇治選手とは対照的に岸本選手は残念な結果に終わってしまいました。
「対戦相手が二転三転しても動揺せずに、岸本選手はしっかりと戦えていたんですけどね。サウスポーのグラップラーからオーソのストライカーに変っても、ギリギリで映像もチェックすることができて。キックとMMAではスタンスが違うっていうのも分かっていました。
前後のステップ、プレスを掛ける時を明確にして、打撃を打って打ち返してくるところでテイクダウンを合わせるという練習を最後まで一生懸命していました。
試合でもそこがちゃんと出て問題ない試合運びだったのに……。バスターした時に跳ね上がりで頭が当たって、あの割れ具合を見た時にストップになると思いました。散々とヒジ打ちでのカットを見てきたので。でも、三角も全然タイトじゃなかったみたいですし、血が流れて動きが少し止まっていたのが、裁定に影響を及ぼしてしまったんですかね……。いや、問題なかったのに」
──岸本選手に打撃を指導されているので、今回の勝敗は本当に納得しかねるようですね。そんな寒川代表ですが2年3カ月前にDemolition で祖根寿麻選手と戦って以来、2度目のMMAに挑みます。この間、随分とMMAの造詣が深まったのではないでしょうか。
「そうですね、もともと総合の選手がウチに打撃を学びに来ていて、自分はキック……立ち技しか経験したことがなかったので──そういう経験したことがない人間が、多分こうであろうと指導をすることが、自分では許せなかったんです。それやったら経験してみたい。やるなら強い選手と戦いたいということで、祖根選手と戦わせもらったのですが、練習期間も少なかったですし……。
前回も当然、MMAを舐めていたということはないのですが、今回は『もうMMAの練習しかせんッ』って宣言して……キックの試合前の選手しかちゃんと指導してないです(苦笑)。
基本的にはスタンスも何もかも変えるようにして、練習をやってきました。本当に練習することが楽し過ぎて、このままずっと練習し続けたいって思ってしまいますね(笑)」
──以前、ジムには広斗選手などMMAにチャレンジしていたと記憶しています。
「服部(浩典※広斗より、本名に戻しキックボクシングで活躍)ですね。DEEPの関西の方で優勝したり、あと柔術で頑張っている岩崎(正寛)も、ブラジルに行く前にウチにいたんです」
──おお、岩崎選手も。ところで祖根戦以降、MMAを戦いたいという気持ちをずっと持っていたのですか。
「いや、自分の中では前の試合で終わりやと思っていました。年齢的なこと、立場的なこともありますので。それが、皆さんと練習させてもらっていると、まだやれる状態なのにやらんで終わるというのは人生勿体ないと思って。
やれるんやったらやれよ──と思ったら、次の日にはGladiatorの櫻井代表にお願いしに行っていました(笑)」
──今年で45歳になりますが、SNSなど拝見させていただくと、かなり練習に没頭しているように感じます。
「岸本選手、手塚(基伸)選手とか、コブラ会の選手と練習させてもらう機会も多かったですし、神戸では住村(竜市朗)選手、修斗ジム神戸、KINGジムの選手も一緒に練習させてもらっています」
──2年前のチャレンジより、MMAを理解し打撃がより使えるようになったという自信はありますか。
「前に比べると、テイクダウンディフェンス、差し合い、スクランブルができていますし、寝技の展開もトップ選手の方々に指導してもらっているので、ハイ」
──打撃はMMAの指導をしつつ、ご自身でも練習することにより理解が深まるということはありますか。
「打撃の幅が本当に広がりました。発想も全く違いますよね。打つ角度とか、タイミングも全く違いますし。テイクダウンにくる相手に合わせるフック、アッパーとかも、頭が切れるのがこっちだから、こう打つんだっていうのとか……。もうそれが楽し過ぎて(笑)。
どんどん洗練されています。MMAもキックもレベルが凄く上がって来ていますしね。UFCなんてバケモノの集まりだし、あんな動きを日本人選手も真似て、どんどん強くなっています。
そんなMMA選手の影響かキックやボクシングもフィジカルトレーニングをバンバンやるようになりました。体つきから変わっています。同時に頭が柔らかくなってきましたね」
──ところで、今回は当初の予定は辻川凌平選手との対戦だったのが、韓国のバン・グヮンギに変更されました。
「最後のチャンスをくださいとお願いしたとき、やっぱりできるなら強い選手と戦いたくて。それで辻川選手に決まっていたのですが、年末に辻川選手がケガをしてしまいまして。お互いの縁だと思います。そういったものだと思っていますし……ただ、韓国人選手──データがなくて……」
<この項、続く>
■GLADIATOR003対戦カード
<グラジエイター・バンタム級王座決定戦/5分3R>
バン・グヮンギ(韓国)
寒川慶一(日本)
<グラジエイター・ライトフライ級次期挑戦者決定戦/5分3R>
宮城友一(日本)
草信孝謙(日本)
<バンタム級/5分2R>
北崎拓実(日本)
三宅輝砂(日本)
<フライ級/5分2R>
加マーク納(日本)
和田教良(日本)
<国際対抗戦ウェルター級/5分2R>
別府敬祐(日本)
ムン・ジュンヒ(韓国)
<バンタム級/5分2R>
辻川力也(日本)
林優作(日本)
<フライ級/5分2R>
大前健太(日本)
田代悠生(日本)
<ライト級/5分2R>
SHUNYA(日本)
調整中
<国際対抗戦ウェルター級/5分3R>
レッツ豪太(日本)
ルイズ・デストリ・アビダァラ(ブラジル)
<国際対抗戦 フライ級/5分2R>
ナベ(日本)
イ・ヒョンミン(韓国)
<バンタム級/5分2R>
今村豊(日本)
渡部修斗(日本)
<フライ級/5分2R>
横溝和也(日本)
KAZUHO(日本)
<バンタム級/5分2R>
松岡高史(日本)
調整中