【RFC36】佐々木信治の背負うモノと戦う意味。「自分に負けていないか判断してください」
【写真】若い子=覇彌斗の児山佳宏前田吉朗戦の勝利が、佐々木の現役としての将来像に少なからず影響を与えたか。全てを払拭し、勝利に邁進してほしい(C)KAORI SUGAWARA
いよいよ明日11日(土・現地時間)に韓国ソウルのチャンチュン体育館で行われるROAD FC 36で、ライト級トーナメント予選でアルバート・チャンと対戦する佐々木信治。
昨年12月にクォン・アソルの持つライト級王座に挑みも、初回TKO負け。やり切った──と感じる彼を再び、ケージに向かわせたファンの声、支えてくれた人々に勝ってマイクを通して話すために、佐々木は色々な想いを胸に再び金網の中に足を踏み入れる。
──計量を終えて、今の調子はいかがでしょうか。
「いつも通りですね。最後の水抜きで抜く水分量がいつもより多かったので、結構頑張った感じです(笑)。でもその分、ゆっくり戻して調子も良いです」
──今回はパブリック計量でした。
「そうですね、初めてでしたけど普段よりむしろ良かったです。今までは計量が終わってから凄く慌ただしかったのが、パブリック計量だと早く終わって、そのまま計量会場でゆっくりできるんで」
──なるほど。前回のTKO負けからスパンが短いのは、正直なところ気になります。
「いやぁ……自分で気づいてなくても年齢的にはダメージもあると思うんですよね。ただ、前回の試合は不甲斐なく負けてしまったんですけど、韓国のファンからコメントやメッセージが毎日のように届き、反響が凄かった。恥ずかしい映像の関係もあるとは思うんですけど(微笑)……それで、もう一回戻ってこようと思ったんです。
正直、前回の負けで『タイトルマッチまで来て挑戦した』ので一区切りついた感が自分の中にはあったんです。けど、もう一回戻ってきてちゃんと勝って、もう一度、格闘家として頑張れたのは皆のおかげだっていうのをちゃんと言いたくて。
だから試合のスパンが短くてもオファーを受けることにしました。もちろん優勝したら凄い¥ことだと思うんですけど、逆に酷いケガをするかもしれない。でも、良いことも悪いことも、その時考えることにして、今は良くも悪くも先のことはあんまり考えてないです。明日勝たないと何の意味もないので──今はそんな感じです」
──アルバート・チャンの印象を教えてください。
「ロードFCの試合を2試合くらいチェックしました。柔術黒帯ってことですけど、寝技に行かずにパンチもバチバチ振って組んでぶん投げる感じで。テクニカルというよりはパワーが凄そうです。一発貰うと、よろしくないので気をつけてその打撃の間合いは潰していかないといけないですね」
──なるほど。その相手に対し、どのような形で勝ちたいですか。
「KOより、やっぱり一本勝ちしたいです。自分もどっちかというと力の強い方の部類だったと思うんですけど、相手もパワーがありそうだし、削り合いになるんじゃないかと思います。後半は疲れてグダグダになるかもしれないですけど、判定でも良いから明日はとにかく勝ってマイクを持たないと。負けてマイクを持ったまんまで終わっちゃダメなんで」
──終わっちゃダメが、終わりを連想させるのですが……。
「地方でやっているので、環境の問題も気にして今までは言わなかったんですけど……。首都圏でやっている選手のなかには、僕より年上の選手も何人かいるんですけど、この間、自分の教え子が結果を出してくれて、その対戦した相手の選手も自分と一歳しか違わないすごいベテラン選手だし。
2敗している選手が、20歳の子に負けちゃって……。世代交代の波をちょっとずつ感じてはいます。ただ、自分自身は元気は元気なんです。だから『やれる』とは思うんですけどね。周囲に前例になった選手もいないし、教え子と練習しているだけだと正直、自分が何歳までできるかが分からないんですよね。
実際、30代前半で無理かなって思っていたんですけど、今36歳でもう少しで37歳になります。意外にできるなっていう気持ちもあります。同時に何歳までだったら体力が持つのか。技術も向上するのか。そういう選手としてのこれからの話をする相手がいないんで。
自分のなかでは30代前半がピークなんじゃないのかなあと、思っていているので、口にでるんじゃないですかね。
身近に嫁さんはいるんですけど、嫁さんはまた別ですし(笑)。気がついたら37歳でもまだ戦えているな、という感じなんで(笑)。もしかしたら40歳ぐらいまでできるかもしれないし、技術だったり体力だったりっていうのは向上しているのは自分では感じています」
──衰えはないということですね。
「技術だったり、フィジカルだったり、そういう面は色々な経験を積んできたんで上達しています。それが年齢と関係あるのか、分からないです。でも、『なんで、こんなところが?』みたいな箇所が痛くなったりとか、痛めた覚えのない部位が痛くなったりとか──してきました。
もしかして、年のせいなのかなっていうのも思うんですけど、自分より年上で頑張っている選手とかに聞けたら『そういうもんだよ』てぐらいで納得できるんですけど……。そういう相談できる人も身近に特にいないんで、これは一体何でだろうっていう感じですね(苦笑)」
──大丈夫ですか、明日が試合なのに……。
「メンテナンスはできる限りはやっているんで。まあ……整体の先生からも『年のせいだよ』と言われるんすけど、やっぱり治すことを念頭に言って下さるので。それに年齢的にそれが普通なんだったら、自分は我慢してでもやれるメンタルはあるんで、こういうもんなんかなっていう話は心強いなと思います。
自分の場合は世界一になるとか、そういうモチベーションで格闘技をやっているわけではなく、ずっと思い続けているのは自分が作った道をその後輩が歩いてきてくれれば……。そして、更にその先に行ってくれれば、っていうのがあって今頑張っているんですけど。
こないだの教え子の勝利は僕らの中では結構すげえことしたなみたいなのがあるんで、もう道は充分できたかなと一瞬思いました。教え子が結果出してくれたんで、自分が作ってきた道場や格闘技の道だったりは間違ってなかったなって。
そこは個人的に嬉しいですね、素直に。だから、もっともっと先へ行かないといけないなっていうモチベーションは前よりはないかもしれないですね。
40歳でバリバリやっている人は、一人や二人だと思うんです。だから僕に残された時間もあと数年って考えたら、ここから先に道を作るよりも、自分の納得のできるような現役生活を送りたい。
だから今回のトーナメント参加やその先のことは、皆のためというよりは自分のためですね。あと何年できるか分からないですけど、自分のための格闘技人生を歩んでいきたいな、と。そんな感じですね」
──明日の試合には後輩の選手たちも応援に?
「こないだ試合した子はもう次の試合が決まっているので──それに道場も任せているので来られないですけど、大人の人が応援に来てくれます。でも、韓国まで来れれない人達もストリーミングを見て応援してくれます」
──では、そんな応援してくれる皆やファンにメッセージをお願いします。
「いろんな格闘家がいると思います。世界のトップで戦って、世界で一番を目指す人は凄く恰好良いです。自分もそういう人を見て、憧れたはあります。でも、いろんな戦い方がある。俺を応援してくれている人や、慕ってくれている人はその辺はわかって応援してくれていると思うんで。
明日、泥臭い試合をしてでも勝ちたいし、そのあとの自分の格闘技人生も見守って欲しい。なので、とにかく明日の試合は自分を出し切ります。『おい、自分に負けているぞ』なんて風に見えたら、SNSに書き込んでください。ちゃんと謝りの返事を書くんで。
自分に負けない戦いができているかどうかをストリーミングを視聴して判断してください」
■ Road FC36計量結果
<ミドル級/5分3R>
福田力:84.35キロ
キム・ネチョル:84.5キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
佐々木信治:70.4キロ
アルバート・チャン:70.3キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
レオ・クンツ:70.65キロ→70.55キロ
ホン・ヨンギ:70.3キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
ホドリゴ・カポラル:70.5キロ
パク・デソン:70.4キロ
<女子無差別級/5分2R>
世志琥:77.85キロ
チョン・ソンユ:67.6キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
シャミール・ザフロフ:70.5キロ
キム・ウォンギ:70.5キロ
<フライ級/5分3R>
中原太陽:57.5キロ
ムン・ジェフン:57.45キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
ブレンゾリグ・バットムンク:70.2キロ
トニーニョ・フリア:70.4キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
アンディ・メイン:70.25キロ
キム・チャンヒョン:70.4キロ
<ライト級Tトライアル1回戦/5分3R>
ホニ・トーレス:70.4キロ
エメック・トラオフ:70.5キロ
<ライト級Tリザーブマッチ/5分3R>
イ・ヒョンソク:70.5キロ
パク・ヘジン:69.6キロ
<ライト級Tリザーブマッチ/5分3R>
キ・ウォンビン:70.2キロ
ジョン・ジェイル:70.4キロ
<ライト級/5分2R>
ミン・ギョンチョル:69.5キロ
チョ・ヨンジュン:70.4キロ
<フライ級/5分2R>
パク・スワン:57.2キロ
ソ・ドンス:57.4キロ
<バンタム級/5分2R>
ソ・ジンス:61.75キロ
イ・ソンス:61.7キロ