【Pancrase279】鈴木慎吾に完勝、岡見勇信<01>「世界で戦うには近距離で削れないといけなかった」
【写真】強い──その一言で全てを言い表せることができる岡見勇信だった──でも、刀で斬るポーズが見たかった……(笑)(C)MMAPLANET
24日(日)、東京都江東区のディファ有明で開催されたPancrase 279で岡見勇信が鈴木慎吾をRNCで下し、実に11年9カ月振りにパンクラスで勝ち名乗りを受けた。
日本MMA界のメジャーリーガーとしてUFC、そしてWSOFで世界の強豪を相手にしのぎを削りあってきた岡見が2月のDEEPに続き国内の試合で完勝。この勝利は今も世界を見据えて戦う岡見勇信の成長の証でもあった。
──完勝、おめでとうございます。
「ありがとうございます」
──実のところ、世界の岡見勇信であろうが、鈴木選手との対戦には不安材料がありました。
「ハイ」
──具体的にいうと、以前の岡見選手は相手の攻撃を受けない位置で戦うことができていたのが、最近では自分の攻撃を入れることが念頭にきて、パンチを被弾するという場面が増えたことです。
「うん、そうですね。全くその通りです。だから自分も鈴木選手は一発のある相手だし、不安は不安でした」
──周囲に蔓延しているような簡単な試合ではないと?
「ハイ。気持ちが切れない選手ですしね。ただ、鈴木選手の距離に入って自分の攻撃をどんどん当てないといけない。そうでないと、世界のトップに行けないという点は絶対的なんです。そこは動かしようがない事実で」
──レンジの外で強いだけでなく、真正面でも強くないといけないということですか。
「ハイ、中間距離、近い距離で相手を削ることができるようにならないとテイクダウンもできないし。それが世界のトップレベルなのでね、そこを避けるわけにいかない。鈴木選手の距離で、自分のレベルを上げないといけない。それが今回のテーマでした。
鈴木選手の距離でも潰しにいって削らないといけないということを考えて、試合に臨みました」
──テイクダウン防御が上がり、遠距離での戦いが強固になった。それゆえ、MMAは中間距離の攻防を制しないといけなくなり、絶対王者的な存在はなくなり、誰もがいつでも負けてしまう時代に突入したのかと。ウェルター級でいえばGSPの時代とは明らかに違います。
「だからこそ、パンチ力のある鈴木選手にしっかりと勝たないといけなかったんです。鈴木選手の距離、近い距離になった時は基本的にはクリンチからヒジ、ヒザ。遠距離、中間距離では蹴りも含め、積極的に手を出していくこと。そこにテイクダウンを交えて削っていくことを考えていました。近い距離での打ち合いだけは避けようと。そうなったらクリンチか離れる。そこを一番意識していました」
──左を一発被弾しました。しかし、直後に左ストレートを打ち込んで一気に攻め込んでいけました。
「サウスポーでストレートを当てて、そこから組みにいくことを練習してきました。狙い通り、上手く戦えました。鈴木選手と向かい合った時に、ジャブが打ちづらかったんです。本来はジャブで試合を組み立てて行こうと考えていたのですが、向こうもそこはしっかりと警戒していることが伝わってきました。なら、左ストレートから入った方が距離も近づいて、自分の距離になると思ってあのパンチを出したんです」
──手応えは?
「まぁまぁ、まぁまぁです(微笑)」
──過去10年、海外で大きくて瞬発力のある相手と戦ってきたので、あの畳みかけるような岡見選手の攻撃は新鮮に感じました。
「ハハハ。デカい相手が多かったです……」
──テイクダウンからバックに入った流れ、あのスピードは軽量級を思わせる速さでした(笑)。
「アレは勝手に体が動いた感じですね。最近、HIDE’S KICKでヒデ三好さんの指導をストラッサー起一選手の紹介で受けるようになったんです。そこでMMAで戦うことに対して、以前より自由になれたという実感があります。これまでずっとスパー中心の練習が多かったので、打ち込みを継続してしっかりとやり込むことがなくて。打撃とテイクダウンを洗い直すことができたというのか……流れですね。自分だけで考えてやっていると気付かないでいたことを三好さんに指摘してもらえて。凄く助かりました」
──一朝一夕なモノでないことは承知していますが、この間の三好氏とのトレーニングで生かせたことはありますか。
「さっきも言ったように自由になれたこと。色々な視点で指摘をしてもらえたので、自分が何をすべきかという点で視野が広がりました。頭が楽になりました」