【UFN90】妙なシンクロ、ファン置き去りで意思が疎通した一戦はバーチェックがスプリット判定勝ち……
<バンタム級/5分3R>
アンソニー・バーチャック(米国)
Def.2-1:29-28.29-28.27-30
ジレノ・ロペス(ブラジル)
サウスポーのロペスに右ミドルを入れたバーチャック。即組みついたロペスがボディロックからバックを窺う。胸を合わせたバーチャックだが、ロペスは執拗にバックに回り込もうとする。強引にテイクダウン狙ったロペスから逆にテイクダウンを奪ったバーチェックだが、スクランブルからバックを許し、スタンドながら両足をフックされる。ロペスをおんぶするように別のコーナーまで歩いて、金網を背負うような位置をバーチェックは取ると、前方にロペスを振り落とす。
立ち上がってからテイクダウン狙いを潰されたロペスが、再びバックを許す。向かい合った両者、バーチェックの右ハイキック、さらにワンツーを被弾したロペスが姿勢を崩しながら左フックを打ち返す。ロペスはテイクダウン狙いからバックにまたも回り込む。バーチェックはキムラクラッチも、自ら解いてオーバーフックに切り替える。ここでロペスが両差しからバックを取り、初回を戦い終えた。
2R、やや息が粗くなっているロペスが左ストレートをヒット。接近戦でも左フックを入れる。バーチェックは自ら組みついて両ワキを差し、ヒザ蹴りを狙う。離れてパンチを入れ合った両者、バーチェックの右フックを被弾したロペスの腰が落ちる。何とかスタンドに踏みとどまったロペスはフックを掻い潜って組み付くと、バーチェックをケージに押し込む。体を入れかえたバーチェック、ダブルアンダーフックを取ったロペスが逆に押し込み、四つの組み合いに。力の入った攻防は、ロペスがバックに。バーチェックが再びキムラクラッチを取ったところで2Rが終了した。
ハイタッチが2人で観客を煽って最終回がスタート。バーチェックの右エルボーに対し、右を打ち返したロペスが組みに行くがスプロールされる。右ミドルを受けたロペスが下がり、パンチも軸が乱れる。一方、バーチェックも体力温存か手数が圧倒的に少なくなりお見合いが続く。と、残り2分を切ろうかという時にパンチの打ち合いに。しかし、長続きせず2人も距離を取り直す。左フックを入れるロペス、パンチは荒いがヒット数は彼の方が多いか。
ここでバーチェックが組みを選択し、ケージ際へ。左フックをよけて、離れたロペス。バーチェックは腰に両手をやって、動きを止める。足が前に出ず、拳を振り回すような打ち合いから、ハイタッチを繰り返した両者。直後に組みに行ったロペス、バーチェックがスプロールすると粗いパンチの応酬に。残り5秒、時間が残っているのに距離を取って仁王立ちで見合った両者。
疲れがシンクロした形だが、これはファイターとして失格。ファンが見たいのは、最後の最後まで戦う姿勢のはず。結果、スプリット判定でバーチェックが勝利し、「僕はディエゴ・サンチェス×ギルバート・メレンデスのような試合がしたいんだ」とコメント。ちょっとした空気の読めなさを発揮した勝者だった。