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【WJJC2016】実力伯仲と見られたライトフェザー級。パウロ・ミヤオが頭一つ抜け出した強さ見せ優勝

Light Feather【写真】新鋭が続々と生まれ、実力伯仲と見られたライトフェザー級で圧倒的な強さを見せたパウロ・ミヤオ(C)MMAPLANET

2日(木・現地時間)から5日(日・同)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。レビュー第3弾は──前年度王者パウロ・ミヤオをはじめとして強豪がズラリと顔を揃えたライトフェザー級の模様をレポートしたい。


Kako vs Miyao<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
パウロ・ミヤオ(ブラジル)
Def.24-0
加古拓渡(日本)

日本においてベリンボロ等モダン柔術の動きをいち早く取り入れた加古は、ルーカス・ダンタス相手にラッソーから左右に揺さぶったスイープと、50/50から立ち上がる動きで4点を獲得。

最後は逆転をかけた相手のスイープを受けるも、素早く立ち上がってアドバンテージ止まりで防ぎ、4-2で勝利。念願の2日目勝ち残りを決め、準々決勝にて昨年の覇者のパウロ・ミヤオ戦を実現させた。

Kako vs Miyao 01ダブルガードから上を選択したミヤオは、右足を大きくステップオーバーして加古のバタフライフックを乗り越えると。すぐに逆方向に動いて、ハーフで胸を合わせて首をコントロールする体勢に。

そのまま強烈にプレッシャーをかけたミヤオは、左足で蹴って右膝を抜くことに成功するが、加古は懸命に上体を起こしてうつ伏せになってパスを許すまいとするが、ミヤオは加古をまたいでマウントに。パス+マウントで7点を先制した。

Kako vs Miyao 02まずはぴったりと腰を密着させて加古の動きを封じたミヤオは、そこからクロスチョークを狙っていくが、加古もなんとかハーフに戻すことに成功。するとミヤオは加古のラペルを引き出して首の下を通して掴んで首を制すると、強烈なニースライドで再びパスに成功。さらにニーオンザベリーでリードを広げる。

その後は、加古が戻すたびに過去の首を殺し続けたミヤオがパスとニーオンザベリーで点を重ねる展開が続く。さらにミヤオは加古をサイドで抑え込んだまま、その頭をまたいで素早くスイッチしてまた戻って来るムーブまで披露してみせた。

Kako vs Miyao 03やがて20点を奪ったミヤオは、加古が内回りを狙って来たところでダイブして加古のズボンを掴むと、下から背後に入り込む。上からのベリンボロを決めてバックの奪取に成功した。残り1分、そこからチョークを狙うミヤオだが、加古が辛抱強く守って試合は24-0で終了した。

Kako vs Miyao 04代名詞であるベリンボロ等のいわゆるモダン柔術に加え、かつてのチームメイトであるレアンドロ・ロばりのパスを用いたトップゲーム、ホジャー・グレイシーを彷彿させるような、安定したマウントからクロスチョークを狙う超ベーシックゲーム、はたまた「回転体」という言葉を使いたくなるようなサイドでの自在なポジションチェンジまで見せつけたミヤオ。加古が粘り強く戦い抜いたことで、世界の頂点を掴んでなお進化を続けるミヤオの恐ろしさが浮き彫りになった一戦だった。

Miyao vs Faria<ライトフェザー級決勝/10分1R>
パウロ・ミヤオ(ブラジル)
Def. by 4-2 アドバンテージ3-1
アリ・ファリアス(ブラジル)

準決勝にてミヤオは、マイキー・ムスメシとの新世代対決を制して勝ち上がったアイザック・ドーダーラインと対戦。

パスで煽ってドーダーラインの体を二つ折りにしたところで上からダイブしてのベリンボロでのバックテイクに成功。4-0で完勝して決勝に進出した。

もう一方のブロックから上がって来たのは、準決勝でミヤオと同門のイアゴ・シウバのガードに対してひたすら低く担ぎ噛み付くことで封じ続け、レフェリー判定を勝ち取ったアリ・ファリアス。2連覇を賭けるミヤオと、2013年の決勝戦終了後、歓喜のあまり試合場外に出てしまい減点され奪われた優勝を取り戻すために戦うファリアスという組み合わせとなった。

Miyao vs Faria 01試合開始後お互い引き込み合ってのダブルガードの攻防が続き、2度に渡るペナルティを受けてお互いがマイナスのアドバンテージを献上することに。その後も引き込んだミヤオに対し、ファリアスが上攻めを選択。低く噛み付くが、ミヤオは足を効かせて距離を取る。

Miyao vs Faria 02さらにクローズドガードを取ったミヤオは、ファリアスが低く体重を預けて来たところで左足をゴゴプラッタの要領でファリアスの顔の前にこじいれ、そのままオモプラッタの体勢へ。角度を付けてファリアスの体を潰そうとするが、ファリアスは亀のままミヤオのパンツを持って防ぐ。

やがてファリアスは、オモプラッタで絡むミヤオの体ごと持ち上げて立ち上がると、横にスピンしてミヤオを振り落としてのエスケープに成功。しかし、ここでミヤオがアドバンテージ一つリードした。

Miyao vs Faria 03さらに内回りを仕掛けてくるミヤオに対して、ファリアスは一瞬でステップしてヒザ十字に。ここでも角度をズラしたミヤオは立ち上がって上になり、2点獲得。残り4分の時点でポイント、アドバンテージともにリードする。50/50の体勢で下となったファリアスは、絡んでいない方の左足を振り子のように使ってミヤオの体勢を崩すと、絡んでいる右足を抜きながら立ち上がって2点を返し、アドバンテージ1差に迫る。

Miyao vs Faria 04ここからミヤオは、下になるとすぐにファリアスのラペルを引き出し、あっという間に自らの左足とファリアスの右足をまとめて縛るラペルガードを作って後転。ファリアスのバランスを崩すとそのままベリンボロでファリアスの背後に回り、亀になったファリアスの上を取ることに成功する。

あっさりとファリアスを引き離してみせたミヤオは背後からの腕十字を狙うが、ファリアスは腕を引き抜きながら、ミヤオを前に落として上に。腹這いでダブルアンダーの形を作ってみせた。

Miyao vs Faria 05残り1分半。ダブルアンダーからなんとか状況を打開したいファリアスだが、ミヤオはファリアスの両手首を掴んで、両足を伸ばして腰にフックしてそれを許さず。結局試合終了までこのポジションをキープしたパウロが2連覇を果たした。

並外れたパワーとベースを誇るファリアスに対しても、下を確立するとすぐにオモプラッタやベリンボロで攻撃し続け、付け入る隙を与えなかったミヤオ。昨年とは比べ物にならなないほど強敵が集結した今回も頭一つ抜けた強さを見せつけたことで、この階級の絶対王者としての道を歩みはじめたと言っていいだろう。が、今回3位に終わったドーダーラインや、彼に敗れたムスメシらの米国勢もまだまだ成長過程。来年はまた楽しみが増えそうだ。

■リザルト
【ライトフェザー級】
優勝 パウロ・ミヤオ(ブラジル)
準優勝 アリ・ファリアス(ブラジル)
3位 アイザック・ドーダーライン(米国)
3位 イアゴ・シウバ(ブラジル)

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