【JBJJF】ノーギ柔術全日本2階級制覇、西林浩平 「ギリギリの攻防を日々、想定していた」
【写真】際を譲らず。ノーギ全日本でフェザー決勝戦とオープン、2階級を制した西林(C)YUTA KIMURA
22日(日)、東京都台東区の台東リバーサイドスポーツセンターで「第4回東日本柔術選手権&第1回東日本キッズ選手権&第5回全日本ノーギ柔術選手権」が開催された。ノーギ全日本でアダルト・エキスパート・フェザー& オープンの2階級を制した西林浩平に激戦を振り返ってもらった。
Text by Takao Matsui
こうなったら、攻めるしかない。ノーギ全日本アダルト・エキスパート・フェザー決勝戦。下からの攻撃が得意な西林浩平はトップのポジションにいたため、そう覚悟を決めた。相手は、2015年の第11回ADCC世界選手権への出場権をかけたアジア&オセアニア予選決勝戦でも対戦した平尾悠人。何度も対戦してきた両者だが、この時は平尾が西林を下して日本代表となった経緯がある。負けられない思いは、西林の方が強かったと思いきや――。
「確かにアブダビ予選のリベンジ戦ではありましたが、そういう意識はありませんでした。平尾選手は徹肌イ郎選手などにも勝っていたので、正直、自分との差がついてしまっていて、ちょっと勝つことは厳しいかなと思っていたんです」
挑戦者の気持ちになった西林は、積極的に攻めてアドバン3ポイントをリードした。初戦は動きが悪かったが、開き直ったのが良かったのだろう。ところが、後半になって猛攻を受けることとなった。
「後半になって攻めてくるのは分かっていました。毎回、そういう展開になるので」
残り1分。このままリードすれば逃げ切れる。リバーサルのアドバンテージを取られて、3-1。さらにオモプラッタでスイープされそうになり、腹這いになって必死に耐える。ここでポイントを奪われれば、逆転負けとなる。西林の脳裏には、今年3月に設立したばかりのジム=パトスタジオでの光景が浮かんでいた。
「ギリギリの攻防になると、その際で諦めるかどうかが、大きなウエイトを占めることになります。でも、日々の練習でこの攻防を想定して取り組んでいたので、慌てることなく暴れて逃げることに成功しました」
オモプラッタからリバーサルをアドバンにとどめ、2Pを献上しなかった西林は、アドバン1差で平尾に雪辱を果たすとともに優勝を決めた。その西林。オープンクラス決勝戦でも村田卓美に仕掛けられたオモプラッタを同じように回避し、頂点に立っている。
「優勝できたことだけではなく、パトスタジオがノーギ団体で準優勝したことも嬉しかったです。これをキッカケに、さらに盛り上げていきたいですね」
ちなみに盟友の中村大輔とともに設立したジム名のパトは、ポルトガル語で鴨の意味がある。ジムが東京都の巣鴨にあることから、つけたと言う。「鴨が葱を背負ってやって来る」の諺は、本来、良いことが重なるという吉兆の言葉。西林が、勝利と団体優勝を運んでくれたとつなげるのは、いさかか強引か。今後の目標については、次のように語る。
「中村と二人で盛り上げて楽しくやれるジムにしつつ、強い選手も育てていきたいです。それを達成するためには、自ら試合もしていきます」
際を耐えることができたのは、仲間との絆があったからなのかもしれない。ならば、パトスタジオの充実が、西林の実戦に好影響を当たることになるだろう。
■第5回全日本ノーギ柔術選手権エキスパート リザルト
優勝 長谷部悠(リバーサルジム新宿Me,We)
準優勝 駒木根啓靖(パラエストラ吉祥寺)
【ライトフェザー級】
優勝 岡市尚士(リバーサルジム新宿Me,We)
準優勝 村田卓実(バルボーザジャパン東京)
3位 上田直毅(パラエストラ東京)
3位 坂本純(トライフォース柔術アカデミー)
【フェザー級】
優勝 西林浩平(バトスタジオ)
準優勝 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)
3位 江端講平(BOHEMIANS)
3位 櫻井徹也(DRAGON’S DEN)
【ライト級】
優勝 樋口翔己(パラエストラ吉祥寺)
準優勝 鷹島大樹(リバーサルジム新宿Me,We)
3位 稲野岳(トライフォース柔術アカデミー)
【ミディアムヘビー】
優勝 佐藤竜太(無所属)
準優勝 吉田享平(頂柔術)
【オープンクラス】
優勝 西林浩平(パトスタジオ)
準優勝 村田卓実(バルボーザジャパン東京)
3位 吾妻エメルソン(リバーサルジム新宿Me,We)
3位 平尾悠人(X-TREME柔術アカデミー)
【団体】
優勝 リバーサルジム新宿Me,We
準優勝 パトスタジオ
3位 奄美ブラジリアン柔術クラブ