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【Bellator155】カルバーリョがマヌーフに防衛成功も……その質に首を傾げ、判定結果にお口アングリ

<Bellator世界ミドル級選手権試合/5分5R>
ハファエル・カルバーリョ(ブラジル)
Def.2-1:48^47.48-47.47-48
メルヴィン・マヌーフ(オランダ)

身長差が大きい両者、まずはマヌーフが左ローを軽く入れる。カルバーリョの左ミドルは緊迫した空気を打開するかのように感じる。この展開にボイジーのファンはすぐにブーイング。カルバーリョは左ハイを見せ、マヌーフが右手で叩く。続いて左ミドルを当てたカルバーリョ、前に出るのはチャンピオンで挑戦者はカウンター狙い、一気のラッシュを終盤に持ってくる腹積もりか。

残り2分から1分25秒まで、ほぼ手が出ずレフェリーが両者に注意を与える。ブーイングにもレフェリーの注意にも姿勢を変えない両者。最後の30秒でマヌーフが一度踏み込むが、カルバーリョは距離を取って左ミドルを返す。大ブーイングがこだまする中、初回が終わった。

2R、マヌーフの動きが速くなり右ミドルを見せる。カルバーリョのローは急所をかすめたが試合は続行。前に出たマヌーフがガードの上から右ハイ、左ローを蹴り込んでいく。カルバーリョの右前蹴りに、強烈な勢いで右ミドルを放ったマヌーフ。カルバーリョはたまらずサウスポーからオーソに構えを変える。マヌーフはここで再び待ちの態勢に。カルバーリョは右前蹴りと右ローを継続的に繰り出す。

マヌーフは右ローを入れるぐらいで、見る展開が続く。残り1分を切り、ようやく左を振るって前に出たマヌーフは、すぐにケージ背負って左を回る。ボディを受けたマヌーフ、カルバーリョは首相撲に取ら江左ヒザを突き上げる。これが急所と判断され試合が中断。ストップの指示にすぐ従わなかった王者に注意が与えられた。再開後、マヌーフは右ハイから右ミドル、直後にラウンド終了を迎える。

3R、前に出たカルバーリョだが、マヌーフの左右のフックを被弾し後退。続くヒザ蹴りを狙った際、足の部分が急所に入り注意を受ける。そのカルバーリョが右ストレートを伸ばすが、精神戦はマヌーフが支配しているか。マヌーフの右ハイに続き、距離を詰めたチャンピオン。この試合初めての組み合いはマヌーフが左を入れて、カルバーリョがヒザをつく。

すぐに立ち上がったチャンピオンはボディロック&小外掛けでテイクダウンに成功も、マヌーフがすぐに立ちあがる。直後にヒザ蹴りを急所に当てたカルバーリョ、セコンドを介して厳しい口調で注意が与えられた。再開後、右フックを振るったカルバーリョは、続く左フックから組みついていく。これを見せるなら初回から。この時点で組みだけに拘ると、打撃戦を避けたと取られかねない。マヌーフは離れ際に右フックを見せたが、離れたからは動きがないままタイムアップとなった。

4R、劣性の王者はダブルレッグもマヌーフがスプロール。勝利にはテイクダウンが必要な王者は、飛びヒザから着地して組みつくや、テイクダウンに成功してサイドを取る。ここは寝技で削る必要があり、ブレイクは避けたいカルバーリョ。と、左腕でワキをさしたマヌーフが立ち上がる。右ミドルでボディを蹴られたカルバーリョは、サウスポーをキープ──肚を決めたか。マヌーフも動かず、またも場内はブーイングに包まれる。カルバーリョは打撃の被弾を嫌がり、マヌーフはテイクダウンを許したくなく、距離があるままラウンド終了となった。


最終回、ローを入れるマヌーフ。スーパーマンパンチで距離を詰め、右ローを蹴り込む。続いて右ミドルを決めたマヌーフは、カルバーリョの飛びヒザをバックステップをかわす。低い姿勢でシングルに出てバックを窺うカルバーリョ、ケージを背にしたマヌーフが立ち上がる。カルバーリョのテイクダウン狙いも、上を取ったマヌーフが何とマウントを狙う。

ここでカルバーリョはスクランブルに持ち込んだが、またもマヌーフがテイクダウンに成功する。寝技で攻めたい王者が、テイクダウンで遅れを取れば勝ち目はない。スタンドに戻っても、ほとんど勝負を諦めたように前に出ることがないカルバーリョ、マヌーフも当然待ちの姿勢を続ける。最後まで大ブーイングが鳴りやまない世界戦が終了、アレキサンダー・シュレメンコを禁止薬物使用で失った世界第2位プロモーションのミドル級のクオリティの低さを露呈してしまった一戦で、マヌーフが新王者に輝いた──と思いきや、何と裁定はスプリットでカルバーリョに凱歌が挙がる。

マヌーフが落としたラウンドは、4Rしかなかったように感じられたが……慎重になり過ぎたと判断されたのか。あれだけ気持ちで圧され、得意分野が通じなかったファイターが勝利するとは。騒然とする場内、実況人も唖然とするなか、喜びの声はカルバーリョ陣営のみ。MMAの世界戦として、首をかしげざるを得ない質の戦いだったが、最もその場に相応しくないのはジャッジのようだった。

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