【UFC196】リーチの長いサウスポー=ネイトを相手に一味違ったマクレガーが見られる??
【写真】自身よりリーチの長いネイトにどのような戦いを見せるか、コナー・マクレガー(C)MMAPLANET
今週末、3月5日(土・現地時間)にネヴァダ州ラスベガスのMGMグランド・ガーデンアリーナでUFC 196「McGregor vs Diaz」が行われる。知っての通りメインは階級を越えたチャンピオン対決、UFC世界フェザー級王者コナー・マクレガーがUFC世界ライト級王者のハファエル・ドスアンジョスに挑戦予定だったが、ドスアンジョスの負傷欠場によりウェルター級でネイト・ディアスと戦うこととなった。
ドスアンジョスの左足甲の負傷で穴の開いたメインの座。対戦相手に事欠かない状況のマクレガーだが、ビッグショーのメインに相応しい相手は限られてくる。フランキー・エドガー、ユライア・フェイバー、ドナルド・セラーニらの候補のなかからネイトがその大役を勝ち取った。
そして、準備期間を考慮してかウェルター級で対戦することになった両者の戦い。マクレガーにとって2階級上だが、普段は180ポンドほど体重があるといわれるだけに、急遽行われた記者会見の席でも、両者の体格差はあまり感じられなかった。
いってみればONEが推進する通常体重に近い体重での顔合わせ。ただし、マクレガーにとってネイトはフェザー級で戦ってきた相手とは、体のサイズが違うことは間違いない。公称で身長は175センチ、リーチが188センチのマクレガー。対してネイトのソレは183センチと193センチで、共に5センチ以上ネイトが上回る。
マクレガーが発した「精度がパワーを破り、タイミングがスピードを下す」というジョゼ・アルド戦後の名言も、その裏には──このサイズの違いが存在していることを忘れてはならない。アルドの身長とリーチは、170センチ&178センチ。ちなみにアルド以前の4人の対戦相手でいえばチャド・メンデスは168センチ&168センチ、デニス・シバーは170センチ&178センチ、ダスティン・ポイエーは175センチ&183センチ、そしディエゴ・ブランダォンは170センチ&175センチと、最もリーチが長かったポイエーですら5センチもマクレガーにアドバンテージがあった。
敢えて書き記すとライト級時代、マクレガーが最後に敗北を喫したジョセフ・ダフィーの身長は178センチで、リーチは185センチだ。もちろん、MMAはサイズだけが物差しになるわけではないが、マクレガーが自身よりも上背と腕の長さがある選手を相手にどのように戦うのかは、両者の戦いを占ううえで大きなファクターになることは間違いない。
加えていえば、過去5試合でマクレガーが戦ってきた相手は、ポイエー以外は全てオーソドックスだったがネイトがサウスポーという点も興味深い。サウスポーのマクレガーは左の前蹴り、あるいは左ミドルという後ろ足での蹴りで相手を突き放し、前に出てきたところに必殺の左ストレート、左クロス、左フックというパンチでダメージを与えてきた。
しかし、相手がサウスポーとなると、体の開いている向きが逆でこの左からの蹴りはこれまでのような有効な手段となりえないことが予想される。現にポイエー戦ではマクレガーは左の蹴りではなく右ジャブを多用していた。フィニッシュも右ジャブのダブルで誘っておいて左ストレートを打ち込むという手口だった。そこで──ポイエーとネイトの違いはリーチの違い。
右ジャブの射程距離がネイトの方がマクレガーより長い。何よりネイトはケージ内外で口撃こそ激しいが、試合になると遮二無二になって前に出てくるようなことはない。先のマイケル・ジョンソン戦(=マクレガー同様サウスポーの相手)でも見て取れたように初回は失っても良いから、距離を測ることに徹し切ることができる。となれば右ジャブを如何に有効に使うか、そこから左へ繋げるのはどちらか。
打撃の展開だけで考えると、面白いのはどちらが前に出るかという点。両者、下がってパンチが打てる。マクレガーは最近でこそ、上に挙げたパンチが主流だが、下がってのアッパーなど見事な切れ味を持っている。
そんな右ジャブでの主導権争いになった時こそ、マクレガーの回転の系の左足の蹴りも気になるところだ。ジャブと同じ踏み込みで放つことができる後ろ回し蹴り系のキック。手をつくような低い位置、伸びあがるような高い位置と、この部分でも自在に自らの足を操ることができるマクレガーだけに、過去5戦、異様に注目度が高くなってからの戦いぶりとは違う一面が──リーチの長いサウスポーのネイトが相手ということもあり──見られるやも知れない。
■ UFC196対戦カード
<ウェルター級/5分5R>
コナー・マクレガー(アイルランド/フェザー級王者)
ネイト・ディアス(米国/ライト級5位)
<UFC世界女子バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] ホーリー・ホルム(米国)
[挑戦者] ミーシャ・テイト(米国/2位)
<ライトヘビー級/5分3R>
ジャン・ヴィランテ(米国/13位)
イリル・ラティフィ(スウェーデン/14位)
<ライトヘビー級/5分3R>
コーリー・アンダーソン(米国/12位)
トム・ローラー(米国)
<女子バンタム級/5分3R>
アマンダ・ヌネス(ブラジル/4位)
ヴァレンチーナ・シェフチェンコ(ペルー/11位)
<ウェルター級/5分3R>
ブランドン・ザッチ(米国)
シアー・バハドゥルザダ(オランダ)
<ウェルター級/5分3R>
エリック・シウバ(ブラジル)
ノーディン・テレブ(カナダ)
<ミドル級/5分3R>
ヴィトー・ミランダ(ブラジル)
マルセロ・ギマリャエス(ブラジル)
<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国/11位)
チャス・スケリー(米国)
<ライト級/5分3R>
ディエゴ・サンチェス(米国)
ジム・ミラー(米国)
<ライト級/5分3R>
ジャスティン・サラス(米国)
ジェイソン・サッゴ(カナダ)
<フェザー級/5分3R>
ジュリアン・エロサ(米国)
石原夜叉坊(日本)