【UFC162】ソネン以上の総合力、パンチでワイドマン新王者に
<UFC世界ミドル級選手権試合/5分5R>
クリス・ワイドマン(米国/1位)
Def.2R1分18秒 by TKO
アンデウソン・シウバ(ブラジル)
タッチグローブを拒否しながら、一礼をした王者アンデウソン。ワイドマンはオクタゴン中央、アンデウソンは左右に回る。ダブルレッグから肩に担いでテイクダウンに成功したワイドマンが、パウンドをまとめる。ハーフガードでパンチを受けるアンデウソンは、スペースを作ることができない。
体を起こして左右のパウンドを落すワイドマンは、パスを狙う。ガードに戻したアンデウソンは蹴り上げを見せる。担いでパウンドを落すワイドマンは、ヒザ十字を狙う。ジョン・ダナハーの影が感じられる足関節への攻撃は、ヒールに移行される。逆足を押しやられ懸命にヒザを伸ばすアンデウソンは体を捩じって立ち上がる。近距離でもプレッシャーを与えるワイドマン、アンデウソンは脇を差して耐えると、ノーガードで立ち塞がる。と、ジャブから鋭いロー、右ストレートを見せるアンデウソン。ワイドマンは惑わされずに手を出す。
挑発を繰り返すアンデウソンは、右ローから左ミドル、さらにワンツーを見せるがワイドマンが距離を取る。初回はワイドマンのものとなった。2R、観客も煽るアンデウソンはおどけた仕種を見せつつも、目は真剣だ。サイドステップからサイドキック、上半身をクネクネとくねらせ、ダブルレッグはスプロールする。左ローを見せたアンデウソン、右ハイをかわして左ローを入れる。と、ノーガードで挑発するアンデウソンに対し、左フックのダブルを打ち込み、右からさらに左につなげたワイドマン。アンデウソンはスウェイしきれず、しかも顎が思い切り揺れ、そのまま後方に倒れる。すかさずパウンドを入れたワイドマンが、歴史を変えるTKO勝ちで新UFC世界ミドル級王者に就いた。
ワイドマン・キャンペーンのようなUFCファイターたちの予想すら裏切る、打撃でのワイドマンの勝利。アンデウソンのノーガード戦法に関して、余裕を見せすぎたという声もあるが、あれは初回で思った以上に攻撃を受けた焦りと取ることもできる。特にパウンドでなく、足関節を仕掛けるだけの自信に対し、常勝アンデウソンのなかで何か崩れたといってもいいだろう。慢心でなく焦りが生んだノーガードを切り崩したワイドマン。試合前からアンデウソンが負けた場合のリマッチを約束しているダナ・ホワイトだが、果たして現役続行の意思はあるのか。
「生活を変えたい。ずっとハードなトレーニングをして、ずっとチャンピオンだった。もう疲れた。彼がチャンピオンだ」とアンデウソン。引退は否定したが、「もう少し戦う。でも、タイトルを獲るためじゃない。家族のために生活を変える。米国のファンをリスペクトしている」とコメントした。