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【Pancrase273】KOPライトフライ級王者・神部建斗「カッコいい男になりたくて格闘技をやっている」

Kento Kanbe【写真】19歳のKOPチャンピオンが誕生した(C)TAKUMI NAKAMURA

13日(日)に東京都江東区のディファ有明で開催されたPANCRASE 273。19歳・プロ無敗の神部建斗は、93秒、ヒザ十字固めで武蔵幸孝を斬って落とし、最後のライトフライ級王者となった。

自ら望んでかつてないほどのプレッシャーを背負い、万全ではないコンディションの中でも一本勝ちを収めた神部。母に捧げる戴冠劇と今後の展望について語ってくれた。

――見事な一本勝ちでライトフライ級王座に就いた神部選手です。試合を終えた今、率直にどんな心境ですか。

「今回はすげぇ自分で自分を思い詰めるっていうか、背負えるだけのプレッシャーを全部背負って、極端な話、負けたら死んでもいいくらいの気持ちを持ってやってきました。だから今までで一番ヤバい感じで。実は試合の一週間前くらいにアクシデントもあってコンディションも万全じゃなかったんです。だから先に武蔵さんにテイクダウンとられた時もちょっとやべえなと思ったんですよね」

Kanbe vs Musashi――しかしそういった状況の中でもガードからの足関節でワンチャンスをものしました。

「いやぁ、もうあのヒザ十字で(一本)取れなかったら勝てなかったと思います。本当に死ぬ気で取りに行ったんで」

――ポジション的にはケージ際で極めるのが難しかったと思うのですが、どうやって極めたのか聞かせてもらえますか。

「最初に仕掛けた時にバチバチバチ!って音がして、武蔵さんの顔を確認して極まっていると思ったんです。途中で技が緩くなったかなと思ったら、セコンドからポジションを修正しろって指示があったんで、自分のお尻の位置をずらして、技を作り直してって感じです。もう最後は(ホジマール)トキーニョになったつもりで、オラーっ!て感じで極めました。まぁ、気持ちはトキーニョだったけど、武蔵さんがタップしたらすぐ技を解きましたよ。別に相手を傷つけたいんじゃなくて、スポーツとしてMMAをやっているんで」

――先ほどは「背負えるだけのプレッシャーを全部背負う」という言葉もありましたが、それはやはりタイトルマッチという大舞台だったからですか。

「あとはやっぱりお母さんのことがあったから。うちは母子家庭で育って、初めてお母さんを試合に呼んだんです。俺はお母さんに『かっこいい男になりなさい』と言われて育ってきたから、それをどうしても証明したかったんですよね。俺っていつも試合前は『何とかなるっすよ!』みたいなノリで、あんまり試合のことは考え込まないんですけど、今回は気持ちがこもっていました」

――試合後にお母さんがケージに上がってきた時、どんな心境になりましたか。

「やっとお母さんが自慢できる息子になったぞって気持ちですね。うちのお母さんは”さとみ”って言うんですけど、神部さとみの息子はこんなすごいところで試合をして、こんなすごいチャンピオンになったんだぞってところを絶対に見せたかったから。なんかあんまり言うとマザコンっぽく思われるけど(笑)、でもそのくらい俺にとっては最高の人っす」

――これでプロ無敗記録を更新し、自身初のベルトも手に入れました。今まで以上に多くの人たちが神部選手に期待すると思います。

「とりあえず期待やプレッシャーは背負えるだけ背負います。その上で結果を出すのがカッコいい男だと思うし、俺はカッコいい男になりたくて格闘技をやっているんですよね。だからこれからも言うことは言うし、それに見合う努力をして、格闘技を盛り上げて引っ張っていくのは俺だってことを証明したいっスね」

――その「言うことは言う」という部分で「もし階級を下げるなら砂辺(光久)選手とやりたい」という言葉がありました。

「だってみんな見たいでしょ? 俺と砂辺さんの試合。俺もやってみたいし。ただこれから階級をどうするかはまだ分からないんですよ。というのもUFCにはストロー級がないから、それを踏まえた上で高阪(剛)さんと今後のことは考えていきたいです」

――まだ神部選手は19歳になったばかりで、身体そのものも大きくなっていますか。

「なっていますね。8月に曹(竜也)さんとやった時から通常体重が2キロ増えていて、体自体もでかくなってるんですよね。パワーもどんどんついてきているし。ただ世界的に見るとフライ級は背が高い選手が多いから、俺の身長だとかなり小さい。だから階級のことは本当に高阪先生と相談ですね。少なくとも言えることは、俺には時間があるから焦ることはしない。

高阪先生と話しているのは、もしフライ級に上げるなら1年間は体を作る時間を設けて、減量のことまで勉強してフライ級にあげよう、と。だから焦って何かをやるってことはない。一個一個、地道にやるべきことをやるのは変わらないっス」

――分かりました。次戦へ向けて、体をゆっくりと休めてください。

「ありがとうございます。まずはコンディションを良くして、それから再始動ですね。とりあえず……しばらく遊びたいっス(笑)!」

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