【Special】第1回、MMA版あいつ今何してる? 神部建斗─03─「無敵感を取り戻してから復帰したい」
【写真】4年半ぶりに話を聞いた神部建斗は、本当に変わっていなかった。変わらないでいる今、ここに至るまでどれだけのことを乗り越えてきたのか……素直にもう一度、ケージで戦う彼が見たい(C)MMAPLANET
MARTIAL WORLD Presents新訪問シリーズ=「MMA版あいつ今何してる?」。第1回、神部建斗インタビュー最終回。
復帰に向け動き始めた神部だが、動き、気落ちがまだ以前のようでないことを認めた。ケガのトラウマもある。そのなかでも彼は格闘技、そして自分としっかり見つめ合っていた。
<神部建斗インタビューPart.02はコチラから>
──今、MMAファイターとしてどこを目指しているのでしょうか。
「う~ん、正直分からないです。それこそ最近もMMAの技術とか……TSUNE選手にケージレスリングとか見てもらっていて、『結構できている』とは言ってもらえました。でも、俺的には全然できていない。もっとデキていただろうっていうのはあります。踏み込みにしても、自分の動きをコントロールできていないし」
──それは感覚のズレなのか、そういう体になったということなのか見極める必要はありますね。
「以前の自分の動きと比べるのではなくて、今の自分の動きを認めないといけないのか……う~ん、でもACLってGSPもそうだし、ドミニク・クルーズもそうで。たくさんのトップ選手がやっていますよね。
僕、ドミニクがACLをやったのに、あのクオリティに戻した……水垣選手にあんな風に勝っているのが、凄く支えになっています。あの動きが、ケガを生んだとしても──ケガをした後に、あそこまで戻せるという部分で。ヒザの違和感、ちょこちょこ顔を覗かせる腰の痛み……ここですね」
──それを気にするということは、最後に一発ということではなくて、しっかりとキャリアを積み直すことを神部選手は考えているということでしょうか。
「そうですね、でも長くはやりたくないです。17歳でデビューして25歳か26歳で辞めるって決めていたので。現状、僕の体もそうですけど、長くはできないです。ただし、やるならちゃんとやりたい。最後に1回、大きなところに出てっていうのより、しっかりと格闘技がしたいです。
ケガ以前はビジネス的に捉えているわけじゃないですけど、パッと花を咲かせて辞める──みたいだったのが、今は現役を退いても格闘技とは一生付き合っていきたい。ライフスタイルとして格闘技を続けたいと思っています。好きだし、もう辞められないです。
ただ勝負をするという部分では時間は多く残されていないです。MMAだから35歳とか過ぎても強い選手がいるけど、僕はそういう風に現役を続けることは無理です。復帰してから1年か2年ぐらい──と考えています。今の気持ちとしては」
──復帰の時期は、いつ頃だとか考えていますか。
「考えてはいるのですが、遅れ気味です。去年の2月に手術して、思った以上に色々なことが起こります。体のこともそうだし、モチベーション的にも波があるのも事実です」
──思い切りやることに怖さは?
「あります。やる気だしてケガをするというのが続いているので、そこは怖いです。格闘技に熱を注いでやってきて、一度切れた。その熱をもう一度、燃やしている最中だから練習で上手くいかないと、以前よりも気持ちがブレます。メンタルに波がありますね……。
一度は辞めるつもりだったのに、こうやって本気になる。格闘技ってヤバイです(笑)。一回ハマると、抜けられない。やっぱり男は強くないたいんですよ」
──神部選手は負傷前も「格好良い男になりたい」と連呼していましたよね。
「喧嘩が強くなりたいんですよ。だから辞められない。まだ強くない。もっともっと強くなれると思っているので。でも皆、そう思っているはずですよ」
──モチベーションに波があるということですが、どうすると戻せるとかありますか。
「今でもKIDさんです。ずっと憧れています。僕が格闘技をやろうと思ったきっかけの選手ですから。で、KIDさんがあの若さで亡くなった。あんなに強い人が、突然亡くなってしまった……俺もその時が来るのは絶対だから、後悔したくない。その気持ちが大きいです。今も復帰に向けて、KIDさんが一番のモチベーションになっています」
──復帰をしたとき、階級はどうなりますか。随分と大きくなっているので、ストロー級は難しいようにも見えますが。
「でも通常体重で61キロとかなんで、ストロー級でもやれます。フライ級だと小さいと思います。今はウェイトやりこんで、たくさん食べてこの体なので。食べる量を調節すると、すぐに体重は落ちるのでMMAを戦うならストロー級ですね。
ストロー級はゴチャゴチャして、誰が強いのか分からないけど、復帰するときはストロー級だと思っています」
──復帰する舞台の候補はありますか。
「ケガをしている間も、いくつかオファーを貰いました。でも明確にココっていうのはないです。それよりも満足いく、練習ができていないですから。まだまだ練習する必要があるので、どこで戦うとかっていう段階ではないです。
自分が試合をできる状態に持っていくことが大切で。その判断は山崎さんや、一緒に練習している人たちと話しつつ、自分でゴーサインを出したいです。やっぱり自分の感覚を戻したいので。
他のことは変わっても、格闘技は変えたくない。動きよりも、あの時のメンタルを……無敵感を取り戻してから復帰したいと思っています」
──再び、神部選手の姿をケージで見られる日を楽しみにしています。
「ハイ、まだ全然燃え尽きていないです。ここからです」